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営業責任者の3年を振り返る。すべての起点になった 「やりたいことを大きく描く技術」

こんにちは、カミナシの富澤です!

この度、2024年3月1日より、カミナシの執行役員を務めることになり、経営メンバーとして新たな挑戦が始まりました。同時に、入社以来およそ3年半勤めてきた既存事業の営業責任者を卒業し、新規事業の立ち上げ責任者を務めます。

新たな挑戦の機会を与えてくれたカミナシ経営陣や快く送り出してくれるセールスチームのメンバー、日頃ご支援いただいている関係者の皆様、そして応援してくれている家族には本当に感謝でしかありません。今はとにかくエネルギーに満ちており、カミナシを日本を代表する会社にするという思いが一段と増しております。

そこで今回は、自分の3年半の事業立ち上げで学んできたたくさんのことから、一番大切だったと思うことについて語らせてください。

それは、「やりたいことを大きく描くことの価値」についてです。ビジネス書やSNSでもその大切さは語り尽くされていますが、長い事ものにできなかったひとりの人間の実践編として、ご自身と重ね合わせながら読んでもらえると嬉しいです。

  • 仕事のレベルを大きく引き上げたい

  • 仕事への不安が大きい

  • マネジメント力を伸ばしたい

こんな方はぜひ、最後までご覧くださいませ。


やりたいことに向き合うことができなかった過去

前提として、自分はやりたいことを考えるのが苦手だったタイプの人間です。1社目の大企業の頃、目標設定は嫌いで億劫で、いつも前回の内容をそのままコピーしてちょっと味付けするくらいの、意思のない作業をただ繰り返していました。

やりたいことがないコンプレックスを強く感じたのは、初めての転職活動の時。面白そうな会社はたくさん見つかるけど、本当にやりたいと思えるものがわからない。何回、何時間考えても、転職本のフレームワークに沿って考えてみても、やりたいことは見つからない。結果的にその時に選んだのは「やりたいことをやるのではなく、スキルや経験を圧倒的に積める環境にいこう」という選択でした。転職したメガベンチャーでもやりたいことを問われるのがすごく苦手で、その度に「ジ、事業責任者です・・」と力無く返答するものの、本気で思っていないから誰にも伝わらない。

ようやくその言葉に魂が込もり始めたのは、マネジメントに挑戦し、自分で意思決定をする機会が増えるようになってからです。自分への自信と共に、やりたいことが膨らんでいった感覚でした。いつの間にか「今度はゼロから会社を大きくしてみたい」と考えている自分に気づき、やりたいことが見えてきました。

そして当時10人のスタートアップ、カミナシに転職するわけなんですが、この時点では「やりたいことが明確。あとはやるだけ」と本気で思っていました。しかし、甘かった。甘すぎました。

足りない自分に直面する

それに気づいたのは、入社して1年が経った時のカミナシ代表・諸岡さんとの会話でした。今後どうしていきたいの?という会話の中で、自分が当たり障りのないことを話していたんだと思います。「会社を主語にしているだけだとつまらないから、ひろし自身で大きく描いたほうが良いんじゃないか」と助言をもらいました。

正直な話、それは諸岡さんの仕事だと思っていたので、すぐには咀嚼できませんでした。しかし、考えてみると経営陣との差分はそこにあるんじゃないかと思い始めました。それまでの自分は「誰かが描いた絵を咀嚼して実行する」という役割は果たせていたかもしれないけど、「自分で描く」というのはほとんど挑戦すらしていない。なので、経営陣からすると物足りなさがあり、対等に話すことができていなかった。

カミナシを大きくしたいという思いは本物です。しかし、具体的に大きくするというのはどういうことなのか、どんな状態になっていることなのか、そういう「自分の頭で考えたビジョン」が不在でした。「変わらないといけない」と思い、次の日の朝に諸岡さんはじめ経営陣やセールスメンバーに共有したのが下記のドキュメントです。思考がまとまりきっていない不安な内容でしたが、slackの送信をエイヤで送ったのを覚えています。

社内ドキュメント[入社2年目の決意表明]

「やりたいことを大きく描くこと」の3つの効用

びびって投稿した自分とは裏腹に、受け取ってくれた方々の反応はとても好意的でした。諸岡さんからは、激励のコメントをもらうほど。もはや何と戦っていたのかわからなくなりましたが、振り返るとこのときの一歩が大きかったんだと思います。

カミナシ代表 諸岡さんからのコメントの一部

1. 視座が上がり、挑戦のレベルが引き上がっていく

その日を境に、周囲からさまざまな「挑戦の機会」を打診いただけるようになりました。

最初のきっかけは、あるVC様向けのピッチイベントの登壇だったと思います。諸岡さんの代わりに、他社は代表の方が登壇するような場でピッチを行う機会をいただきました。日常業務でも手一杯の状況の中、それまでであれば萎縮してしまうような機会も、躊躇することなくひとつ返事で受け取れるようになり、何かに突き動かされている自分を感じました。

その後も営業責任者として成果責任を追うだけでなく、インタビューの依頼、他社合同イベントの登壇、経営会議での提言、取締役会への参加など多数の機会をいただき、挑戦のレベルが上がっていきます。内心は不安ですが、やりたいことにつながっている感覚が明確にあるので、本気度が違います。その本気はまた周囲に伝わり、次の挑戦につながっていく。このような良いサイクルが回るようになっていきました。

挑戦機会を増やすループ

2. 精神的にタフになる

自分からすると背伸びをした挑戦をしているからこそ、しんどいこと、逃げ出したくなることもたくさんあります。目標の未達、採用の遅延、自らの役割範囲の縮小など、逆に言えば辛いことがゼロな瞬間はほぼありません。

しかし、それらも「自ら描いた絵」があることでポジティブな解釈に変えることができます。つまり、「目の前のネガティブな事象は大きな絵に向かって進んでいるプロセス」と捉えるわけです。おかげで、ずいぶんと精神的に図太くなりました。

それまでの自分は起きた結果に対して、ただ面食らうだけで、リカバリー方法は「誰かに相談に乗ってもらいその先を見出す」でした。聞こえは良いですが、どこかで自分ではない誰かに状況を判断し、決めてほしいという甘えがあったんだと思います。その甘えはいつか他者の意見や評価に依存していき、結局自分が辛くなる。

しかし、目の前の事象が大きな絵へのプロセスであるならば、その先を自らもう一度描きなおさないといけない。
自然と思考は、未来にどう取り返すか、時間をかけてどう良くしていくかというように、時間軸が伸びていくことになります。

自らその先の絵を描きなおして、そこに対しても責任を持つ。結局のところ、責任を持つ範囲を広げていくことで、精神的にも強くなっていくんだと気づきました。

3. マネージャーとしての成長

そして自分自身が「大きく描いたことがある」という経験が、マネジメントにも活きてきます。悩んで思考し、周囲の人と壁打ちをしたプロセスを、今度はメンバー個々人が行うために使うのです。野心的な目標を元々持っている人、持っていない人、それぞれと対話して、次のエネルギーを産む手助けをどんどんやるようになっていきました。

この作業は、腹を割って本音で話さないと成り立たないので、自然と自己開示しあうような場になります。しかも、今のあなたが良い/悪いという話ではなく、未来にどうなりたいかという話なので、マネージャーとメンバーという関係性においても心理的安全性を阻害するようなコミュニケーションではなく、同じ方向を向いて議論ができます。

さらに、その後の日常的な支援の中でも、「なりたい姿」に対する差分で会話ができるため、メンバーからしてもネガティブフィードバックを受け入れられやすい。今できていないことを延々と言われるのはしんどいけど、なりたい姿に向かっていくための必要なピースだと考えるとポジティブに取りにいきたくなる。この作業を通してマネージャーとメンバーで同じ視点を持てると、相互の関係性はぐっと強くなります。

やりたいことを大きく描く技術

では、具体的にどう進めればよいのか?やりたいことを大きく描くための自分なりの方法論を紹介します。目標設定が嫌で仕方なかった自分がどう工夫していったのか、また実践の中でメンバーと会話しながら気づいたことなども全公開します。

1. 現在のスキルや経験を棚上げする

これまで多くの人と会話してきましたが、やりたいことを見つけられない人の多くは、「やりたいことが見つかっていない」のではなく、「本当はあるんだけど自ら蓋をしている」というケースが多いです。たとえば、「営業マネージャーになりたいんだけど、今のメンバーたちをうまくまとめ上げるのは自信がない。だから営業企画がいい」と言ったように、なりたい姿に対して大きめの壁があった場合に迂回してしまいがちです。しかしそうすると、本当にやりたいことから少し離れているので、実行の中で馬力が出なかったりする。

なので、今の環境やスキル、経験は棚上げして考えることがお勧めです。「ポジションがないから」「営業で成果がでていないから」「人間関係をうまく築けるか不安だから」。これらのものは、時間があれば変えられる変数なので、棚上げしましょう。目の前のことに不安になる前に、まず大きな絵を描いてワクワクすることが先です。

2. 過去に感じた「違和感」に注目する

自分の場合は、やりたいと思ったことを掘り下げていくと、過去に感じた違和感、もっと言ってしまえば怒りみたいな感情が原点になっていることに気付きました。たとえば、「挑戦せずに愚痴ばかり言う同僚」、「社員が辞めていっても平気な顔をしているマネージャー」、「戦略や合理性ばかり追求し目の前の社員を大切にしない環境」。こういう事象が、違和感で仕方がなかった。そしてこれこそが、やりたいことの大きなヒントになります。

一見して変えられなさそうな難しいお題こそ、「変えられるかもしれない」と考えてみるだけで、向き合いたいテーマになります。人より敏感に感じた違和感こそ、本当に大事にしていることが浮き彫りになるんだと思います。

3. 綺麗な状態ではないうちに公表してしまう

自分自身がそうだったのですが、目標というものはアクションプランとセットになっているものだという先入観がありました。「目標は?」と聞かれて答えると、「で、どうするの?」がセットに問われる体験を何度もしているからだと思います。

しかし、よく考えたら野心的な目標なので、最初から具体的な登り方が明確であるわけがありません。むしろそれが明確だということは、目標が現実的すぎる可能性すらあります。なので、勇気を持って先に公表してしまうのがお勧めです。
カミナシ執行役員の宮城さんはこれの天才です。「いや〜自分は○○○にしたいんだよね〜」という類の発言をもうすでに2千回くらい聞いたことがあります。登り方は具体的でなくとも、惹きつけられるし、案外別の誰かが綺麗な登り方を考えてくれたりします。

口にする力は強力です。言霊みたいなもので、口にしたから本気になるという順番もあります。周りからの好意的な反応をもらって、より自分ごと化されるということもあります。なんでもかんでも言ってしまうのは周囲からの信頼を損ねますが、これだ!と思えたものはどんどん口にするのが良いです。

4. 一人で完結しない

やりたいことが見えてきたら、次は現実とのすり合わせが必要になります。本気になるためには、単なる絵空事では難しくて、他のいろんな条件と両立できそうかどうかが鍵になるからです。「給料を稼がなければならない」「足元はこういう役割が求められている」「スキルや経験が不足している」など、現実を見たときにバランスをとらなければならない要素は多面的にあります。

そして、そのバランスを考える上では「その選択肢に影響することができる人」との対話が最も効果的です。多くの場合、それは身近に働く上司や同僚、メンバー、そして家族であると思いますが、そうした人たちに考えたことを開示し、一緒にそこを目指すのにはどうしたらいいか知恵を借りる。

「それだったら1年後にいけそうですね」「これは今にでも手をつけられるんじゃない?」「これってこういう形でも実現できるのでは?」など、思わぬ気づきがあったり、一緒にそのために手を動かしてくれたりする可能性もあります。

方法としては、思いをドキュメントに落とし込み、1on1などでコメントやレビューをもらう形がお勧めです。形に残るし、定期的にメンテナンスもできるので、自分はこれを繰り返し行なっています。

5. 自信がついてからでも良い

ここまで「まずは大きく描くことが先だ」というスタンスで書いてきましたが、とはいえ20代の頃の自分がこれをそのまま実践できるかというと相当怪しいです。20代にがむしゃらに仕事をして、不条理な経験や悔しい経験を通して、後天的にやりたいことが見えてくるようになったからです。

過去の自分のようにどうしても出てこない、口に出してみるけど魂がこもらない、という方は目の前の仕事にがむしゃらに集中するのもアリだと思います。その時は、1年後にまたこのnoteを思い出してもらって、アップデートできるかぜひ考えていただければ嬉しいです。

最後に

以上、今回は実体験に基づいてやりたいことを大きく描く価値と方法論について書いてみました。少しでも、皆様のヒントになれば嬉しいです。

そして実は、本記事を最も届けたいのは一緒に働いているカミナシセールスチームのみなさんです。自分はひとまず既存事業から離れますが、ここまで走ってこれたのは、一緒に働いてきたみなさんが目標に向かってひたむきに走っている姿に勇気をもらい続けたからです。「目標に向かって努力する」という観点において、年齢や役割はまったく関係ないし、常にライバルだなと思っています。この3年半はみなさんのおかげで自分の器以上に成長できました。本当にありがとうございます。

そして自分の場合も、セールスメンバーの皆さんの場合もそうですが、「挑戦したい」と声を上げた人に対して背中を押してくれるカルチャーは稀有です。これこそ、カミナシで働く最大の魅力です。自分は全力でこのカルチャーを守り、育てていきたいと思います。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!

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