さしのべる神とアダムの指の間は無窮の悲しみ今し触るがに
ローマに着いて、まず向かったのはバチカン宮殿にあるシスティーナ礼拝堂。お目当ては、ミケランジェロが天井に描がいた「天地創造」だ。その中でも白眉と言えるのが『アダムの創造』だろう。
神が自分の姿に似せて土から作ったアダムに、生命を吹き込もうとしている瞬間を描いていると言われる。
僕は、天井を見上げながら、その指と指の間から目をそらすことができなかった。ミケランジェロによって創り出された1センチばかりの距離こそ、すべてを語っているのではないだろうか。
神に似せて作られたが、