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【30EGGS】スポーツクラブ経営をDX(Spornia.)

株式会社Spornia.(スポーニア)は「SPORTS×PIONEER」という造語の通り、新たなテクノロジーを用いて「スポーツ本来の価値を追求する」というのが企業ミッション。
今回のひろしまサンドボックスには、「DS-Port(ディーエス・ポート)」というサービスを提案してきた。

「DS-Portとは簡単に言うと、アスリートのSNSやYouTubeデータを取得し、それを選手やクラブチームが持つ魅力と組み合わせて作ったスポーツコンテンツ専用のデータベースです。
私たちはそのデータベースを元に広告代理店やスポンサー先を探す企業と交渉して、新たな広告価値を生んでいきたいと考えています」

代表取締役の上山 開さん(32)に話を聞くと、具体的な内容を教えてくれた。
そもそもSpornia.は2020年からサンフレッチェ広島のYouTube番組制作に携わっていた。
これまでYouTube配信は広報・宣伝という意味合いで行われていたが、今回の実証実験ではそれを営業ツールと捉えてクラブのデジタルスポンサー獲得へと乗り出した
実際YouTube番組「マンスリーサンフレッチェ」にはスポンサー企業が付き、新たな収益源を得るメディアとなった。

「これまでスポーツクラブに対するスポンサーの活動って、スタジアムに看板広告を出してそれで終わりだったんです。
だけど今の時代、看板を売るには限界がある。
しかも他の分野ではデジタルマーケティングの浸透で広告の費用対効果やターゲット訴求が声高に叫ばれているのに、スポーツビジネスだけは“応援”や“地域貢献”といった名目で大きく立ち遅れている。
今後スポーツだからこその付加価値を提供していかないと収益が頭打ちになることは必至だと思うんです」

実際昨年のコロナ禍以降、スポーツクラブの経営難は日本全国で問題になっている
集客ができない、チケット収入の大幅減、グッズ収入の減少……こうした窮状を打破するにはデジタルシフトは不可欠であり、SNSやYouTubeといった自主メディアの活用が大きなカギを握る。
Spornia.が挑戦しているのは、こうした過渡期におけるクラブ営業のDX化に他ならない。

「これまで3ヶ月の実証実験では、既存のYouTube番組にスポンサーを付ける努力をしてきました。
おかげで5件の案件を作り、数百万円の売上も立ち、まずはデジタルで広告価値を生めることが証明されました。
ここからの3ヶ月は、こうしたデジタルスポンサーの獲得が継続的にできるよう、社内体制の効率化を進めていきます。
旧態依然とした業務体制を整理することでデジタルスポンサー獲得へとリソースを移行させる――つまりクラブのスポンサーセールスのシステム自体のDX化に取り掛かるつもりです」

上山さんには大きな夢がある。それは「いつか自分のサッカークラブを持ちたい」ということだ。
中学生からの夢のため、大学時代はイギリスに留学し、サッカーコーチングのライセンスも取得した。
この世界に入ったのは、クラブ経営の根幹を支えるのはスポンサーの存在であることを知ったから。
将来の目標を視野に、今はスポーツビジネスに全力で取り組む時期だと決めている。

「僕は指導者とは教育者であり、社会経験も大事だと思うんです。
そして教育者として子供たちに『夢を持て』と言えるには、自分も夢を持って活躍していないといけない
子供たちから憧れられる存在になれるよう、今は僕自身が頑張る時期だと思うんです」

パートナーとしてタッグを組むサンフレッチェ広島は、まだまだ可能性に満ちていると上山さんは言う。

「川崎フロンターレさんや横浜F・マリノスさんなど都会のクラブと違って、いま本当に困っているのは地方のクラブなんです。
サンフレッチェは地方で一番成功しているクラブでありながらDX化の余地が山ほどある。
地域への影響力もあるのに活かしきれていない。
だからサンフレは試金石なんです。
お金をかけずに新たなスポンサーを獲得できる営業のDX化が実現すれば、横展開も容易にできる。
サンフレは全国の地方クラブの希望になることができるんです」

持続可能なスポーツ体験のためのDX推進。スポーツ王国の火を絶やさぬためには絶対に負けられない戦いが、ここにある。

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