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【30EGGS】インフラの点検も、DXで効率的に(ixs)

今回は30の卵のうち、「イクシス」をご紹介します。

イクシスは、社会・産業インフラ向けロボット・ICT機器とAIによるデータ解析サービスを提供しています。

施工現場で利用する遠隔臨場システムも開発したイクシスが、D-EGGSの最終30案に採択され、広島県を舞台に実証実験を行います。

起案内容

Interview

AI責任者の山崎一也さんにお話を伺いました。

現在、インフラが抱える課題にはどんなものがありますか。
インフラの抱える課題として、老朽化、異常気象、人口減による熟練技能者の減少、働き方改革、コロナ禍など様々な要因が複雑に絡み合っていますが、その中で生産性の向上も求められています。
インフラの老朽化という問題では、10年後には築50年を超える橋梁が全体の4割以上になるとも言われています。高度成長期に建築されたたくさんのインフラが、一斉に老朽化を迎える時期になっています。
国が作成したインフラ長寿命化計画に基づいて各自治体も取り組んでいるところです。
DX化を視野に入れている自治体も多い中で、インフラの長寿命化を目指し、既存のインフラの状況を簡易に点検できるシステムを提供しようというのが、今回の提案です。

図5

熟練技能者には65歳を超える方が多く、10年後には大半が引退することになります。一方で若手の入職者が非常に少ない。つまり今後技能者が足りなくなってきますので、貴重な若手技能者の定着を支援することも重要です。
若手の方が現場で点検し、熟練の方が遠隔でサポートすることで、効率的に技術支援することが可能となります。

なぜD-EGGSに応募されたのでしょうか。
当社はAI、ロボット、3Dデータ作成なども強みで、そのような分野を得意とするメンバーも集めてDXを進めていこうとしています。
建設やインフラ業界に向けたDX化を進めている中で、自治体向けにもサービスを向上させたいという思いがあり、今回D-EGGSに応募しました。

当社ではすでに、建設の施工現場で遠隔臨場システムを導入していますが、これを点検の場面にも応用しよういうのが今回の実証実験です。
施工現場では正確に施工できているかということをミリ単位で計測したりもしています。また、タブレットで撮影した写真や映像だけでなく、音声も送れますので、打音検査を遠隔で行うことも可能です。
このようなデータを蓄積していくことで、これまで熟練技能者が感覚で行っていたことをAIに学習させて、自動化することにも役立てることができます。

図3

タブレットで使用する簡易なシステムですので、ロボットなどと比べると費用を低く抑えられることもあり、数多くのインフラで利用することが可能です。
そこで特に自治体など、インフラを多く管理しているところで利用してほしいと考えました。広島県、広島市、呉市、三原市、尾道市などで実証実験を行う予定としていて、ほかに県内事業者にも興味をお持ちいただいています。
さらに情報が集まってくるとAIの精度も向上していきますので、その点でも利用数を増やしていきたいと思っています。

今回の実証実験では、遠隔による点検の効率化を検証します。
熟練技能者が現場に出向く現行の点検費用と比較して、どれだけコストが削減できるか。
点検や遠隔診断の品質向上も目指していきたいところです。

実証実験のパートナーも自治体・事業者あわせて8団体集まり、ニーズが高いことを実感しています。あとは実証実験で成果を出すだけですね。

インフラの管理を効率化することで、業界にどのような変化が起きるでしょうか。
効率化はもちろんですが、これまでの目視の点検では届かなかった部分にも行き渡るよう、高度化の点でも役立てたいと考えています。
人の手ではなかなか難しい経年変化やトリアージなどの管理も、このシステムで自動化・生産性向上を目指し、維持管理の効率化や管理のコスト低減、インフラの長寿命化につなげたいです。

インフラにかかるコストは、実は建設より維持管理の方が大きいこともあるんです。
インフラの建て替えまでの時間が長くなり、維持管理も簡単になることで、浮いたお金が別のところにかけられますので、世の中がより便利になると思います。

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