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【30EGGS】レビューでなくリズムで選ぶ場所(Placy)

今回は30の卵のうち、「Placy」をご紹介します。

Placyは、音楽の好みに基づいて場所を探す地図アプリ「Placy」を運営しています。

そんなPlacyが、D-EGGSの最終30案に採択され、広島県を舞台に実証実験を行います。

起案内容

Interview

代表取締役の鈴木綜真さんにお話を伺いました。

「Placy」はどんなアプリですか。
「Placy」は、レビューやランキングではなく、感性に訴える「音楽」で、自分に合う場所を探せるアプリです。
これまでの観光情報は言葉や☆の数などで表現されているものが多いですが、人が感じた雰囲気まで伝えることが難しい。
そこで、音やリズムでその場所を表現することで、レビューしにくい“雰囲気”まで感覚で伝えることができるのが「Placy」の特徴です。
2019年10月にリリースして、国内で1万人ほどの方に使ってもらっています。

サービス開発のきっかけは、バルセロナを旅行したときに、人の動きが気になったことでした。
バルセロナのまちは、京都と同じようにきれいな碁盤の目になっています。
人の動きをなんとなく見ていたら、一見ランダムに見えるけど、何かに引っ張られているんじゃないか?と考えるようになったんです。
もしかしたらあっちの方が道がきれいだとか、いい匂いがするとか、何か音が鳴ってるとか。
空間のどんな要素が人の動きに影響しているのかということを考え始めました。
調べているうちにおもしろくなって、最終的にイギリスの大学院で都市空間分析を学んだことが、Placyにもつながっています。

D-EGGSではどのような実証実験を行いますか。
尾道市瀬戸田町などで、現地で録音した音や、その場に合う音楽を集めて「プレイ“ス”リスト」を作っています。
フィールドレコーディングでは、例えば波が打ち寄せる音、商店街のお肉屋さんがコロッケを揚げる音、カニが泡をふく音などを集めます。
これらは現地に行かないと聞けない音であり、現地の方が感じているリズム。
集めた音楽は「瀬戸田の音」として2分程度の音楽作品にして、Placy上で聞けるのはもちろん、絵はがきレコードにしてSOIL SETODAで販売します。
絵はがきレコードは、実際にレコードプレーヤーで再生できる絵はがきのこと。
旅行者に対して、「瀬戸田の音楽」を持ち帰るという体験を提供します。
フィールドレコーディングには、都市音楽家の田中堅大さんにご協力いただきます。

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また、広島にゆかりのあるミュージシャンやライブハウスなどにインタビューを行い、思い入れのある場所とそこにひもづく音楽を挙げてもらった「プレイ“ス”リスト」も作っています。

音やリズムでつながる体験ですね。
オランダでは、年間140もの新しい音楽フェスが生まれているという調査があります。
音楽がCDからアプリに移行した現在、音楽産業でも体験を売る時代になっています。
日本でも各地で音楽イベントが開かれていますが、そこに集まる若い世代が、イベントだけ参加して帰ってしまってはもったいない。
イベントをきっかけに周遊して観光すれば、地元自治体も潤います。

例えば分類上は同じ鳥でも、場所によって鳴き方が違うことがあるそうです。
まちにあふれる音やリズムは、その場所だからこそ生まれたもの。
レビューやランキングに疲れている若い世代こそ、リズムで、感性で場所を選べたら、自分が心地いい場所を見つけられるんじゃないでしょうか。

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