NPO法人e-Educationが今回D-EGGSに申請した案件は「AIを活用した新しい英語教育の形で日本の中高生全員が英語を話せるようにし、かつテクノロジーの活用で日本と新興国の社会課題を同時に解決する」というもの。
今回採択された30案件中、教育関係で審査をパスした唯一の案件である。
e-Education副代表の坂井 健さん(31)によると、具体的な事業内容は以下となる。
まず“書く”に関しては、生徒の英作文をフィリピン、バングラデシュ、ネパール、ケニアに送り、現地添削者にコメントを入れてもらう。
“話す”に関しては、フィリピンの講師と生徒をオンラインによるマンツーマンでつなぎ、英会話の機会を数多く持ってもらう。
さらに英作文はAI分析を使って、生徒が間違えがちな箇所を自動的にチェック。
これらを踏まえた上で彼らの提案が秀逸なのは、こうしたサービスをトータルで成立させる基盤があるところだ。
e-Educationは英語表現教科書日本トップシェアを誇る啓林館と提携関係にあり、教科書で学んだ内容を元に英作文に仕立て、それをもとに現地講師と会話するという一気通貫したプログラムの開発が可能なのである。
一方でこの事業がもたらすのは、日本の学生の英語力向上だけではないという。
そんなe-Educationの広島での実証実験は理想的な形で進んでいるようだ。
すでに届いたアンケート結果からは、生徒の59.7%が将来海外で活躍したいと思っているが、英語を話す機会がなく、外国の人と話すことに緊張する生徒が84.9%にのぼるという実態が見えてきた。
坂井さんはこうしたデータを冷静に分析する一方、
と熱く語る。
「めちゃくちゃ教育が大好き」というのは、心からそう思ってないと言えない言葉だ。
日本の子どもたちの未来のため、新興国の子どもたちの未来のため、坂井さんの目はまっすぐ前を向いている。