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地域特化型クーポンアプリで、繋がりたい人の「空」になる【RING HIROSHIMA】

まずはこの動画を見てほしい。

孤高の芸人江頭2:50を起用し、2月1日からYoutube公開。広島県内でもテレビCMが流れている地域クーポンアプリ「みせとく!」を作ったのが、今回の挑戦者・池田昌平さんだ。

CHALLENGER「SKY SOCIAL株式会社」池田昌平さん

2021年5月に起業、12月にサービス・イン
地域に愛されるクーポンアプリになりたい

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「思いついたのは3年前。昔からスーパーのチラシを見比べるのが大好きなんです。こういう紙のチラシがひとつにまとまっていたら楽だよね~、っていうのが最初のきっかけですね。そこから、参加してくださるお店が作ったチラシやメニュー表のPDF、最新の営業情報が確認できて、クーポンもついている、今の『みせとく!』アプリが生まれました」。

今年30歳になる池田さんは、島根県浜田市の出身。地元企業を経て23歳で広島へ。とある企業の秘書を務めることになり、「ハイかYESかすぐやります、しか返事の選択肢がない(!)」という厳しい環境のなかで、運転手から資料制作、ホームページ制作までさまざまな仕事のスキルを身に着けた。そして2021年5月、念願の起業。アプリ「みせとく!」を作るために生まれた会社だが、そのノウハウを活かしたコンテンツ企画開発、動画制作などの事業も展開する。会社名は「SKY SOCIAL株式会社」。

「人との繋がりが大事だよね、っていうのが一番で。世の中にはいろんな人がいて、今はインターネットの力を使えばいろんな社会に属してる人が、いろんな場所で繋がれますよね。繋がるための空になりたい、という気持ちで名づけました」。

その「空」の一つとしてサービス・インした「みせとく!」アプリ。ユーザー登録してログインすると、現在地の近くにある参加店がMAPで探せるほか、飲食・美容・アパレルといった業種別での店舗検索ができる。各店舗の詳細ページではクーポンの利用ができ、メニュー表やチラシのPDFの確認も可能。加盟店舗に対してはPR動画の撮影なども請け負う。

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(PR動画の撮影やInstagramでの配信、オプションでのYoutube配信サービスなども行う)

とはいえ、スタートからまだ2カ月ということ、さらにコロナ禍で飲食店との交渉がままならないこともあり、登録店舗・ダウンロード数ともまだまだ少ないのが現状。今後の利用者拡大のため、PR活動とアプリそのもののブラッシュアップとを並行して進めていく。ブラッシュアップに欠かせないのが、利用者からのヒアリングだ。

「予定より少し遅れましたが12月に『みせとく!』アプリを公開することができたので、ここからは認知を高め、たくさんの人やお店に参加してもらって、『このアプリいいね!』って、地元の皆さんから愛される存在になっていきたいです。今回のRING HIROSHIMAでは、2月末までに1万~2万ダウンロードを目指してのPR活動と、今後このアプリを改良していくための、ダウンロードユーザーに対してのヒアリングを行います。『みせとく!』が本当にこういう形でいいのか、とか、もう一度ニーズを確認したりとか、どういう店舗を望んでいるよ、とかを確認できる期間にしたいと思っています」。

SECOND 永井大介さん

小さな商圏でのアプリビジネスは
細かなニーズをいかに拾えるかがすべて

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「これまで30~40社のスタートアップ企業を見てきましたけど、池田さんは抜群に素直です。アドバイスをとりあえず受け入れてくれて、そこからできるかできないかを考える。人の話を素直に聞いて試してみることができるというのは非常に大事な資質だと思います」。

今回の取り組みのセコンドを務めるのは、永井大介さん。毎日新聞社の経済部記者職を経て、スタートアップ支援の子会社「毎日みらい創造ラボ」を設立。スタートアップ支援に留まらず、ビジネスマッチングや第二創業支援などの実績も多数ある、いわば日本のメンターの第一線で活躍する人材の一人だ。広島でのスタートアップ支援の動きに興味を持ち、SNS等でセコンド募集の情報を知って個人的に応募したという。

世の中にあまたあるクーポンアプリ。そのなかで、池田さんがこれから世に広めようとしている「みせとく!」のストロングポイントは、セコンドの目線から見てどういったところにあるのか。永井さんに尋ねてみると、返って来たのはアプリそのものよりも、池田さんの姿勢に対する評価だった。

「商店主のニーズを、池田さんが一生懸命拾おうとしているところですね。こういう小さい商圏のアプリって死屍累々の世界だとは思うんです。失敗している人も多いなかで、それでもみんながチャレンジするのは、やっぱり『そういうものがある世界がいい』って、たくさんの人が思っているから。その中で池田さんがアグレッシブに店舗を回られて、動画を録ったりもされている。これは池田さんならではの姿勢だと感じています。いかにユーザーからのあれこれと細かい要望を聞けるか、っていうのがこうしたビジネスのすべてだと思うので」

池田さんのセコンドに就くにあたって主にアドバイスしたのは、どうやってアプリ「みせとく!」の魅力を人に伝えるかというPR領域に関すること。そして「信用がない」のが前提であるスタートアップ企業の信頼感をアップさせるためには、どういうビジネスパートナーにどういう提案を行うべきか、といった視点の提供だという。池田さんはこのアドバイスに基づいて広島のとある企業に接触、協業のための提案をする段階までこぎつけている。

TALK ABOUT “RING HIROSHIMA”

スタートアップ企業をはじめ、経営者は孤独
最終的な決断の邪魔をしないよう並走する

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――3カ月にわたりオンラインでやり取りを行ってきた池田さんと永井さん。チャレンジャーとセコンドが二人一組となって行うRING HIROSHIMAについて、お互いどのように感じているのだろうか。

池田さん:企業への提案書を見ていただいた時に言われたことで印象に残っているのは、スタートアップ企業の悪いところについて指摘をいただいたことです。自分たちのやりたいことを一生懸命伝えるんではダメで、相手のニーズに応えるようなことを書かないといけないと。相手はこういうことを望んでるんだから、こういう提案にしないとだめだよね、って。そこはものすごくありがたかったですね。

永井さん:いや嬉しいです、そう言っていただけて。

池田さん:僕の周りにアドバイスしてくれる人ってほとんどいないので、このセコンドシステムはRING HIROSHIMAの一番ありがたいところですね。僕たちのようにまだ信用のないスタートアップ企業にとっては、県に採択された事業というお墨付きがあり、そのうえで加勢してくれるセコンドの方の経験値をお借りできる。しかも、永井さんのように、広島で普通に暮らしてたらなかなか出会えない一線級の人たちに直にご相談ができる…。

永井さん:基本的に、スタートアップに限らず経営者っていうのは皆さん孤独。東京あたりだとメンターや、アドバイスしてくれる人って捕まえやすいけど、広島はそういうマッチングのエコシステムが少ないから、なかなか絶対数が足りてないですよね。とはいえ、最終的に何かを決断されるのは経営者の皆さんなので、私がああしろ、こうしろと言いすぎてガチっとはめちゃうのもまた違う。池田さんのようなチャレンジャーの持っているものを引き出すというのも大事かなと思っています。

池田さん:スタートアップ企業にとって、どんなメンターと出会えるかは資金以上に大事。永井さんに出会えて、僕はすごく恵まれてるなって思っています。

永井さん:コロナの影響で行けなくなっちゃったけど、実際に広島の店舗さんに交渉しているところや、リサーチしているところに立ち会いたかったなあ…。夜行バスに乗ってでも駆け付けたかった(笑)。

EDITORS VOICE 取材を終えて

スタートアップ企業、という言葉から想像する、いわゆる「意識高そ~」なチャレンジャーとは全く違う、素朴で素直な人だな、というのが池田さんの印象。浜田市で育ち、広島で起業した池田さんの一生懸命さやまっすぐさに、セコンド永井さんも応援の気持ちを強くされているという印象を受けました。年齢、キャリア、住む場所、何もかも違うこの二人がタッグを組んで取り組む「みせとく!」。今後も新機能の実装やそのための資金調達、参加店やユーザーの獲得に向けて走り続けます。コロナ禍で利用が落ち込んでいる飲食店や街の商店の「空」になる日が楽しみです。(Text by 山根尚子)

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