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【30EGGS】配送ロボットでライフスタイルを変える(Yper)

「私たちが今回提案するのは『中山間地域での自動配送ロボットを使った配送インフラの構築』です。
いま全国の過疎地域では人口減少などの影響で配送効率の悪化が進んでいます。
また、労働人口が減っていく中、配送員自体の不足も課題となります。
こうした状況を改善するため、私たちはロボットを用いた配送システムを構築したいと思います。
しかもただロボットを走らせるだけではなく、利便性の向上と配送の効率化のため、地元スーパーの食料などを混載して運ぶシステムを作ろうとしています」」

株式会社Yper(イーパー)の事業内容を表すキーワードに“ラストワンマイル”というものがある。
これは「お客様にモノやサービスが到達する最後の接点」という意味。
コロナ時代になり“ネット購入⇒宅配による受け取り”の機会が増す中、配送インフラの再整備は急務の課題となっている。
それを解決するためYperが開発したのが「LOMBY(ロンビー)(「ラスト・ワン・マイル・バイ・イーパー」の頭文字)」と名付けられた配送ロボットだ。

「LOMBYはセンサーが付いていて、地図データ上を自動走行し、届けたい家の玄関前で止まるという仕組みです。
大きさ的には幅約70センチ、高さ1メートル程度の箱状ロボット。
これに荷物を積めばA地点からB地点まで運んでくれるのです」

行き先をプログラミングされた自動運転のLOMBYが、人気のない田舎道を荷物を積んでゴトゴト走っている……それは一見SF的な風景に見えるが、代表取締役・内山智晴さん(36)の頭の中では詳細なビジョンが見えているようだ。

「私たちは北広島町で実証実験をするのですが、地元スーパーのフレスタ サンクス店さんのご協力をいただいています。
システムとしては2つのサイトを用意しました。
1つ目のサイトで日用品を購入すると、まず荷物がYperからフレスタさんに配送されます。
それと同時に『荷物を発送しました。この配送と同時に生鮮食品を購入されると一緒に配達します』というメールを送り、フレスタさんのサイトに遷移します。
そこで注文が入ればフレスタさんのバックヤードで最初の荷物と生鮮品を混載して、LOMBYで一緒に送るという形です。
将来的には宅配便が届くタイミングで地域ごとのECサイトに飛んで、『荷物が届くけど一緒に牛乳も買おうか?』となったり、物流の配送拠点とスーパーのバックヤードが一体化して、そこにあるLOMBYステーションから随時配送便が出発する――そんな世の中になるのではないでしょうか」

今回の実証実験では北広島町役場とフレスタの間でLOMBYの混載搬送をテストするが、それにしても興味深いのはYperという会社のフットワークの軽さである。
Yperは同じく物流のラストワンマイル問題を解決するため「OKIPPA(オキッパ)」という置き配バッグサービスを成功させているが、同じ物流がテーマとはいえロボットの開発は初めてとなる。
さらに内山さんはYper起業2ヶ月で当初想定していた宅配ボックス事業を諦め、別事業に転換した経歴も持つ。
この柔軟な対応力や迅速な行動力はスタートアップに不可欠な資質かもしれない。

「私たちはスタートアップなので市場や時代の流れ、開発状況や競合他社を見ながら事業の微調整をしなければならないんです。
あとOKIPPAもLOMBYも誰もが思いつきそうなアイデアだけど、それをいかに事業化するかが重要。
私たちは特許で権利を守りつつ、既存の技術を使ってどう実用的な仕組みが作れるかを考えています」

北広島町実証実験LOMBYルート

日本国内の2020年の配送物個数は過去20年最大伸び率の48億個、この10年では5割増しとなっている。
21年には50億個になると見られており、今後は10年以内に今の倍まで膨れ上がる可能性もある。(*)
人口減少の世の中でこの需要に応えられる配送インフラを維持できるのか、しかも過疎の進む山間部で……改めてその問題を考えていくと、内山さんのイマジネーションに立ち戻る。

「地元の人にアンケートをとると『できたらいいけど、できるわけないよね』という意見も目立ちます
確かにモノができて動いてないから、誰も想像できないんですよ。
だけど実証実験でLOMBYが走っている姿を見れば『この選択肢があるならばここにずっと住み続けたい』と思ってもらえるかもしれない。
未来をポジティブに捉えるきっかけになるかもしれない――それを目指したいんです」

北広島町実証実験終了時LOMBYと|Yper

どんな現実もはじまりは人の願いから。
Yperは持続可能な物流の未来図を今日も真剣に描き続ける。

*参考 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000235.html

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