株式会社Yper(イーパー)の事業内容を表すキーワードに“ラストワンマイル”というものがある。
これは「お客様にモノやサービスが到達する最後の接点」という意味。
コロナ時代になり“ネット購入⇒宅配による受け取り”の機会が増す中、配送インフラの再整備は急務の課題となっている。
それを解決するためYperが開発したのが「LOMBY(ロンビー)(「ラスト・ワン・マイル・バイ・イーパー」の頭文字)」と名付けられた配送ロボットだ。
行き先をプログラミングされた自動運転のLOMBYが、人気のない田舎道を荷物を積んでゴトゴト走っている……それは一見SF的な風景に見えるが、代表取締役・内山智晴さん(36)の頭の中では詳細なビジョンが見えているようだ。
今回の実証実験では北広島町役場とフレスタの間でLOMBYの混載搬送をテストするが、それにしても興味深いのはYperという会社のフットワークの軽さである。
Yperは同じく物流のラストワンマイル問題を解決するため「OKIPPA(オキッパ)」という置き配バッグサービスを成功させているが、同じ物流がテーマとはいえロボットの開発は初めてとなる。
さらに内山さんはYper起業2ヶ月で当初想定していた宅配ボックス事業を諦め、別事業に転換した経歴も持つ。
この柔軟な対応力や迅速な行動力はスタートアップに不可欠な資質かもしれない。
日本国内の2020年の配送物個数は過去20年最大伸び率の48億個、この10年では5割増しとなっている。
21年には50億個になると見られており、今後は10年以内に今の倍まで膨れ上がる可能性もある。(*)
人口減少の世の中でこの需要に応えられる配送インフラを維持できるのか、しかも過疎の進む山間部で……改めてその問題を考えていくと、内山さんのイマジネーションに立ち戻る。
どんな現実もはじまりは人の願いから。
Yperは持続可能な物流の未来図を今日も真剣に描き続ける。
*参考 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000235.html