災害大国、日本。もしものときに備えて生活用品を備蓄しておかなければならないというのは、もはや常識となっている。
え、これが人数分必要?
え、1週間分も用意しないといけないの?
え、部屋にそんな置き場所ないよ?
え、いつのまにか賞味期限切れてた?
え、電池も切れてるの?
……自分で用意&管理するのなんて絶対ムリ!
そんな人のために「災害備蓄プラットフォーム」はどうだろう?
CHALLENGER「株式会社Laspy」藪原拓人さん
コロナ禍での品不足から
備蓄の必要性を痛感した
株式会社Laspy(ラスピー)代表取締役社長・藪原拓人(やぶはら・たくひと)さんの前職は証券マン。起業なんて考えていなかったところに突然アイデアが降ってきた。
一度ひらめてしまったアイデアは止まらない。コロナでリモートワークなのをいいことに、徹底的にリサーチを進める。参入プレイヤーはいない。市場規模は大きそう。これはいけるのでは?……そして2021年2月、Laspyを創業した。
まだ業態への認知がない中、ひとまずひとつ実例がほしい――そんな中で目に留まったのがRING HIROSHIMAだった。
SECOND「株式会社ローンディール」後藤幸起さん
面白いけど実現できるのか?…
同じ起業家としての共感と不安
一方、今回のセコンドとなるのは株式会社ローンディールのCOOを務める後藤幸起(ごとう・こうき)さん。後藤さん自身も大学時代から自分で会社を興すなど起業家精神豊富な人だ。
現在在籍するローンディールも2015年創業のスタートアップ。大企業社員がベンチャー企業に“レンタル移籍”することで人材育成に繋げるという興味深い事業を行っている。
人材開発や派遣事業が得意分野で、その関係で広島に2年間居住。それゆえ広島の大企業とのパイプも強い後藤さん、「会社としてももっと地域に根を拡げたい」という気持ちからセコンドに応募した。
面白いけど難しい――だから躊躇して第2希望という説明にはリアリティがある。しかし藪原さんと後藤さんには妙な偶然が2つあった。1つは同い年なこと。もう1つは――
どこか似たもの同士だったのだ。
東京と広島、自治体によって
防災意識は異なるという気付き
ということでスタートした広島での実証実験。当初は県や市が所有する公有地や有休スペースを活用して備蓄庫を作る方向で話を進めていた。しかしなかなかうまくいかず。途中から民間企業との協業に切り替えた。
今回の後藤さんは藪原さんに広島の企業を紹介する、“マッチメイク型セコンド”と言えるかもしれない。そして話をする中で見えてきたのは広島特有の防災意識。
最終的に今回の実証実験は、地元フリーペーパーにアンケート広告を掲載し、広島の防災意識を調査するというところに落ち着いた。
藪原さんとしては「一足飛びに成果は出ない。自治体ごとに防災意識は異なるということが分かっただけでも大きな成果」と今回の経験を前向きに捉えているようだ。
「絶対必要な新しい価値を
世の中に提供する」という部分は同じ
さて、タッグを組んで3ヶ月。それぞれの印象はどう変わったのだろう?
実はLaspy、この4月に東京日本橋で1号案件がスタートする。これはLaspyの思想に共感したディベロッパーが倉庫を貸し、オフィスビルの入居者に災害備蓄サービスを提供するというもの。プロジェクトは実現に向けて一歩ずつ動きはじめているのだ。
それだけではない。藪原さんと後藤さん、Laspyとローンディールという新たな協業の芽も吹いている。
背景は異なれど、巡り合った似たものSOUL。今後もベンチャー魂と几帳面なストック癖を引っ提げて、日本全国に新しい“安心”を届けていく!
(Text by 清水浩司)