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【30EGGS】フードロス削減の鍵は地域との連携(hakken)

今回は30の卵のうち、「hakken」をご紹介します。

hakkenは、「変化を称賛し、時代を駆ける」を企業理念に、新しい食のスタイルを発信。食材が家に届きオンラインでシェフと一緒につくるサービス「いえつなキッチン」などを運営しています。

そんなhakkenは、フードロスにも着眼。廃棄される野菜を美味しく変えるプロジェクトがD-EGGSの最終30案に採択され、広島県を舞台に実証実験を行います。

起案内容

Interview

代表取締役CEOの竹井淳平さん、プロジェクトマネージャーの田村聡さんにお話を伺うべく、安芸高田市にある広島オフィスにお邪魔しました。
縁側や蔵、別棟の物置もある、昔ながらの農家家屋です。

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廃棄野菜に注目した理由を教えてください。
竹井さん)
日本でも人口の6分の1の世帯が相対的に貧困を抱えていて、夏休みにやせてしまう子どもたちもいるほどです。
一方で日本国内の食品ロスは、国連世界食糧計画(WFP)の年間食糧支援総量の約1.8倍と言われています。
この矛盾がとても気持ち悪い。気持ち悪いから解消したいという自然な流れで取り組み始めました。
犬が棒を投げられたら走ってしまうくらい自然な流れです。
田村さん)
私は大学で環境について学んでいたこともあり、食品ロスには高い関心を持っていました。
野菜はそのほとんどが水分で構成されているので、乾燥させることで運送効率の向上にもつながり、温室効果ガス削減にもつながると考えています。
hakkenのメンバーそれぞれ、取り組むきっかけは違っても、食品ロスをなくしていきたいという思いは全員一緒です。

なぜ拠点を安芸高田市に?
竹井さん)
もともと広島県は、スタートアップの支援施策が多いと注目していました。
拠点については、なにかと便利な広島市を中心に考えていましたが、いまいちピンとこなくて。
そんなとき知り合いから、「いいところだよ」って薦められたのが安芸高田市でした。
田村さん)
この家は昨年10月に、市の空き家バンクから賃貸しました。私は4月に住民票も移して、この拠点に住んでいます。
住んでいるからこそ得られる情報もたくさんあります。

まさに地域密着ですね。
竹井さん)
地域おこし協力隊員や市役所の方に、地元の農家さんや関係者の皆さんをたくさん紹介していただきました。
特に市役所のOさんは、いろいろなところで私たちのことを話して広めてくれたり、「じゃあこんな取り組みはどうですか」と積極的に提案してくれたり。30近く自治体を巡りましたが、こんなイケてる職員さんにはなかなか会えません。
そんな職員さんがいる市役所だということも、安芸高田市に拠点を構えた決め手のひとつでした。
田村さん)
この家にも、農家さんや近所の方がふらっと立ち寄ってくれます。でも皆さん気を遣ってくれて、一定の距離を保ってくれているように感じますね。
若い世代はご近所付き合いが苦手だろうと思ってくれているのかもしれませんが、私の場合は、朝起きたとき居間にご近所さんが座っててもいいくらいウェルカムです(笑)。

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( ↑ この日も、借家の大家さんや、地域の方がお見えになりました。)

安芸高田市の野菜で、どのような実証を行っていますか。
竹井さん)
安芸高田市の野菜を乾燥させ、地元の工場にご協力いただき、「四川坦々やさい」を開発しました。一時爆発的に流行した食べるラー油のような製品ですが、大手企業のものよりも具材がたっぷりで、旨みやコクも深い。「大手さんを超えたな」と自負しています。
田村さん)
野菜は、安芸高田市が県内1位の産出額をほこるネギを中心に、ちんげいさい、ほうれん草、トマトなどを乾燥野菜にしています。

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野菜は乾燥させると味がまったく変わります。中には苦すぎて食べられなくなる野菜も。
でもそんな野菜も、新たな商品開発につながっていきます。
JAさんご協力のもと、規格外や廃棄される野菜を買い取って、仕入れ値は、農家さんも消費者もみんなが幸せになる価格を目指しています。

実証実験後の展望は。
竹井さん)
野菜の回収フローや廃棄野菜のデータ収集、エリアや農家さんごとの違いなど、安芸高田市で実績ができたら、他の自治体にも事業を拡大していきたいと思っています。
作る人が楽しんでいると、買う人も楽しくなると思うんです。
「ワクワクする食の未来」を目指して、美味しそう・おもしろそうと思う新商品をどんどん開発していきたいです。

hakkenの考える「ワクワクする食の未来」とは。
竹井さん)
例えば、料理が趣味で人にふるまうのが大好きな人と、忙しくて子どものお弁当を作れない親御さんをマッチング。アプリで注文したら美味しいお弁当が学校や職場に届く。
例えば、ひとり暮らしの学生が歩いていたら煮物の香りがして、「食べたいな」と思ったときにアプリで80歳のおばあちゃんとつながって、美味しい煮物が届けられる。
そういうのいいなって思うんです。
今までなかった食のスタイルでも、おもしろそう・楽しそうなことはどんどんやっていきたいです。

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( ↑ 取材中も新商品のアイディアが尽きない竹井さん(右)と田村さん)

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