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【30EGGS】2分で栄養価不足がわかる!?(ユーリア)

せっかく健康状態をチェックしようと尿検査に申し込んだのに、結果が出るまで時間がかかりすぎてその時期に何を食べてどんな生活をしていたのかまったく思い出せない……こうした残念な事例に心当たりはないだろうか?
今回水野将吾さん(34)が起案したのは、思い立ったら即検査、そして即結果が判明するという「2分で栄養価不足検査ができる検査キットの製作」である。

「これまで尿を使った栄養検査は、施設から検査機関に尿が送られてそこでの分析を施設にフィードバックするため、1~2週間のタイムラグが生まれがちでした。
でも2週間前の食生活を指摘されても改善の動機にはなりにくいのが人情ですよね。
そこで私たちは2ステップで検査ができるシステムを開発しました。
まず検査キットに尿をかけると、試薬の色が変化します。
その色の変化をスマートフォンのカメラで撮影すると、試薬の変化を色別に認識し、栄養の過不足を画面に表示します。
これを使えばわずか2分で現在の栄養状況を知ることができるのです」

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水野さん曰く、今の日本は“隠れ飢餓”のリスクを抱えている人が85.6%もいるという。
隠れ飢餓とはカロリー自体は足りているがビタミンやミネラルといった基礎栄養素が不足している状態で、健康状態に影響を及ぼす他、不定愁訴を引き起こしたりと仕事の生産性にも影を落とすという。

「栄養の摂取は個人差があるので、こういう形で自身の栄養状況がわかれば食改善にも取り組みやすいと思うんです。
現在はビタミンやミネラルに加え、鉄分や塩分量などがわかる状態
健康の三大要素は食事・睡眠・運動と言われますが、このキットによっていまだ定量的な評価がなされていない食事の中身を簡単にチェックできる仕組みが作れればと思うんです」

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この企画を起案した水野さんは一風変わったキャリアを持つ。
社会人生活と並行して27歳までプロキックボクサーを目指していた
日々減量に励み、栄養管理士を付けて食事に気を使う中で、自分の身体の今の栄養状態を知る術がないことに不満を持つ。
身体の数値化に興味を持った水野さんはその後、東京大学の研究者にコンタクトをとって本案を始動、今回のD-EGGS採択を機に株式会社ユーリアを立ち上げたのは今年の4月のことだ。

では現在の実証実験はどこまで進んでいるのだろう?

「今は侍ジャパンのトレーニングコーチを務めた後藤英行さんが代表をしている広島の接骨院・株式会社RELIEFの協力を得て、キットのテストをしてもらっています。
現在200弱のサンプル数で精度は94~95%という確率。
今後はさらなる精度向上に励んでいきます。
また広島市立大学と産学共同研究を開始し、アミノ酸、タンパク質の解析を進めています。
これまでの栄養素に新たな項目を付け加える予定です」

今後はこちらも広島にあるサプリ開発企業・ベジタブルテック株式会社とタッグを組み、このキットで判明した不足栄養素を摂取することでどれだけ健康状態の改善が図れるかも検証したいという。
水野さんの頭の中でひらめいた栄養素検査キット案は、ここ広島の地で多くの人に出会い、揉まれることで新たな展開を見せはじめている。

「広島は検査に協力的な人が多いんです。
最初は『尿をスポイトに入れて送って』とお願いしてもみんな抵抗するだろうと思ってたけど、『それが人の役に立つならやるよ』と言ってくれる人が多くて
そんな広島の県民性にはすごく救われてますね。
また、最初は普通にキットをネット販売しようと思ってたけど、スポーツジムの方が『お客さんに勧めたい』と言ってくださったり、自治体の方が『住民の塩分チェックにいいかも』と関心を寄せてくださったり。
こうした予期せぬ使い方も含めてどんなビジネスモデルが可能なのか、実証実験の後半ではそこも突き詰めたいと思います」

リングからスタートアップの世界に戦いの場を移した水野さん。
入魂の一撃である栄養素検査キットを研ぎ澄ませて、どんなファイトを見せるのか。
ビジネスのゴングはまだ鳴ったばかりだ。

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