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【30EGGS】ファッションが正しく多様化する世界を創る(patternstorage)

“D-EGGS PROJECT ”とは

ニューノーマル時代の課題をデジタル技術で解決するアイディアを募り、その実現に向けて実証実験を行うアクセラレーションプログラムです。
新型コロナウイルス感染症の拡大により3密対策等が必須となった社会環境変化を踏まえて、オンライン化などの新しい生活様式や新しい価値観に適応するソリューション(製品・アプリ・サービス等)の提案を全国から広く募集し、最終審査を経て30の案を採択しました。
アクセラレーションプログラムを実施することで、県内外のプレーヤーの共創によるプロトタイプ開発から県内フィールドでの実証実験を支援します!

今回は30の卵のうち、patternstorageをご紹介します。

patternstorageは、縫製仕様書の読み取りから資材発注までをワンストップで行える、アパレル製造業のためのサブスクリプションサービス「patternstorage」を運営しています。

そんなpatternstorageが、D-EGGSの最終30案に採択され、広島県を舞台に実証実験を行います。

起案内容

Interview

代表取締役社長の今井恵子さんにお話を伺いました。

今井さんはもともと、アパレル製造の現場で働くパタンナーという職人だったとのことですが、何をきっかけに企業の道を選ばれたのでしょうか。
学生インターンの頃から、発注側の間違いを工場で直すなど、二度手間が多く効率が悪い生産状況だと感じることが何度もありました。
メーカーに7年勤めて勉強した後に独立。非常勤講師として母校の講師をしながらフリーランスとしてやっていたのですが、あまりにも若い才能が育たない現場を何度も目の当たりにし、業界を変えたいと思ったのがきっかけでした。

現在のアパレル製造業はどのような状況ですか。
アパレル製造業は「変種変量生産」の時代になってきています。大企業からのロット数の大きな依頼もあれば、個人から小ロットの依頼もあり、種類も多く様々なニーズに応えなければならない。それらすべてに一生懸命対応しても、忙しくなるばかりで利益にはつながりにくいんです。

私たちは、事業者数が減っていく中でそのような苦しい局面にある業界が利益を上げていけるように、製造工程の効率化が進んでいないという課題を解決しようとしています。

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D-EGGSに応募したきっかけを教えてください。
広島県は備後絣の産地で、アパレル製造業の数も多い地域です。そのような場所で、広島の様々な企業様と一緒に実証実験を行えることは、会社にとっても大きなチャンスだと思いました。たくさんのアパレル製造の事業者様としっかり向き合う貴重な機会ととらえています。

D-EGGSを通してどのような実証実験を行いますか。
大まかには2つやりたいことがあります。
ひとつは、既存のシステムで発注に必要な帳票を出力できるサービスを提供していますが、さらにあらゆる書類に対応していきたいということです。

もうひとつは、BtoBのシェアリングエコノミーです。非正規雇用が増えて、人材関係のサービスが増えてきている。人材の流動性が上がってきているんですね。その中でもアパレル関係の専門人材が集まっているプラットフォームがないんです。例えばパターンナーの求人を2年以上出しているのに応募が全くない、でも製造は多品種化が止まらないので、人材の確保がボトルネックになっているということ。それを法人間でシェアして、マッチングできたら生産性を最大化できるのではと思っています。この機会がなければできないチャレンジングな取組みです。

服をひとつつくるために必要な資材は30~40種類、これを4~5社に向けて発注しなければならないんです。これを簡易にできるようにするのがpatternstorageというサービスです。
これまで50社以上ヒアリングした中で、「とにかく効率が悪い」「デジタル化が進んでいない」という課題が聞こえてきました。もともと、裁断の段階に課題が多いのではと思っていましたが、調査やヒアリングを行う中で、パターンナーなど人材に関するニーズが大きそうということになりました。
思考や方針は短期間でころっと変わったり、ぐるぐる回ったりしていますね(笑)。

仕様書サンプル_page-0001


( ↑ 現状の縫製仕様書のイメージサンプル)

実証実験の中で、苦戦していることはありますか。
調査を進めるなかで企業様ならではの課題が見えるなど、決して順調とは言えません。
私たちは県外の無名なベンチャー企業です。そのような企業が、広島県の公共事業として県内事業者さんにご協力いただくことにも苦労しました。最終的には取引関係のつながりをたどって、ご紹介で解決しました。

社のビジョンとして「ファッションが正しく多様化する世界を創る」と掲げていますね。
変種変量生産が進んで、作りたい人のニーズは圧倒的にあります。ただ生産側は受け止めきれずに淘汰されて事業者数が減っているのが現状です。このままでは、結局多様化も進みません。ニーズと生産が、両輪のように正しく回っていく仕組みが、「正しく多様化する世界」につながると思っています。

アパレル製造業は今、瀕死の状態と言えます。事業者数も減って、国内で生産された服もほとんどありません。そうなると国内の技術が失われていきます。本当にそれでいいのか?ということ。
個人でも中小事業者でも「モノを売る」ということは昔よりはるかに簡単になったはずです。でも「服を作る」というプロセスがこのままでは失われてしまうと、国内で服を作ることができなくなってしまいます。
趣味趣向も多様化して、一点モノなどわずかな差別化も進んでいる時代です。そのような小さな工夫が形になる世界を創る。製造業者も潤う循環を創ることを目指しています。

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