コミュニティナース、とは?
このプロジェクトの中心にあるのは“コミュニティナース”という概念だ。人にとっての幸福を探す挑戦者と故郷を愛する2人のセコンドが、これからの地域の在り方について考えた。
CHALLENGER「一般社団法人オーウェル」野村陽一さん
人間が幸福に生きるには
“社会的な健康”が必要
一般社団法人オーウェルの代表・野村陽一(のむら・よういち)さんはこれまで介護・医療の分野で働いてきた。理学療法士、ケアマネージャーとして現場に立つかたわら、「HBMS県立広島大学大学院」でMBAを取得。大学院でテーマとしたのは「人間が生きる上で一番幸福な健康的価値は何か?」ということだった。
言うまでもなく高齢化が進む日本では、高齢者の健康寿命の問題は深刻だ。一方で地域コミュニティは衰退し、社会資源に不足を生じているエリアもある。こうした地域に仕事をリタイアした高齢者が参画して、新たな“生きがい”を見出してもらえたら――と思うのは実に自然なマッチングだろう。
その際にカギになりそうな存在が“コミュニティナース”である。改めて、コミュニティナースとは?
つまりこれまで病院や介護施設内だけで活動していた看護師ら専門職を地域全般に開放すること。それによって彼ら彼女らが持っているナーシング(=ケア)技術をより広いフィールドで活かそうというのが今回のプロジェクトである。
その事業を広島で展開しようとする野村さんの前にあらわれたのが、広島出身で今は他地域で暮らす2人のセコンドだった。
SECOND① 上野浩二さん
まさにコミュニティナースの
気持ちで応募しました(笑)
まず1人目のセコンドは上野浩二(うえの・こうじ)さん。システム営業の仕事をしながら中小企業診断士の資格を取り、いつかは故郷に貢献したいと思っていた自称“広島系関西人”。
プロフィールを見ると……
……なかなか愉快な人のようだ(Zoomの背景も・笑)。
そんな上野さんだが、中小企業診断士の視点から見てコミュニティナース事業の印象はどうだったのだろう?
SECOND② 島本栄光さん
最初は具体性が見えなくて
「よく採用しましたね」と言っちゃいました(笑)
2人目のセコンド・島本栄光(しまもと・さかみつ)さんはIT・システム畑を歩いてきた方。これまで2度、銀行の立ち上げに参画した経験があるということで、堅実な雰囲気が漂っている。
そんな島本さんも野村さんの案に対し、最初は「よくわからない」と感じたのだそう。
まだまだ“やわやわ”でビジネスモデルも不透明だが、それでもこれから絶対に必要になる――そんな共通認識を抱えた上で3人のセッションがはじまった。
セコンドが1人だけじゃない
という心強さはありました
拠点がバラバラの3人は、ひとまずZoomを使って意見をぶつけ合った。
確かに性格やバックグランドを見ても、2人のセコンドはタイプがまったく異なっている。
そしてたどりついたのが2月20日、広島県でのコミュニティナース・キックオフイベントとして開催される「コミュニティナース祭 in 広島」だ。
これはコミュニティナースという存在を世に広く周知し、広島で実践していくための起爆剤イベント。
イベントは下のアドレスから無料で聴講できるので、興味のある方はぜひチェックしてほしい。
2人のセコンドが付きっ切り
それはとても濃密な時間でした
手探りでスタートしたコミュニティナース事業だが、動きはじめたことで少しずつ光が見えてきたという。
(幼稚園で行われたマルシェの様子。800人ほどが参加)
こうした地道な活動により、コミュニティナースという存在、その意義というのは少しずつ伝わりはじめている。プロジェクトはまだ端緒についたばかりなのだ。
最後にこのRING HIROSHIMAに参加しての感想を聞いてみた。
(Text by 清水浩司)