見出し画像

ママが今いちばんやりたいことをする場所【RING HIROSHIMA】

ママを対象としたアンケートでは、「今いちばんしたいことはなんですか?」という問いに対して、「10分でもいいからひとりになりたい」「社会復帰のために少しでも勉強したい」という回答が多いのだとか。

AKO株式会社の速水亮子さんが挑むのは、「ママと子どもが集まるカルチャーハウス」づくり。特に、妊娠や子育て、さらには広島での生活を初めて経験する“初めてママ”が気軽に過ごせる空間を作ります。

CHALLENGER「AKO株式会社」速水亮子さん

速水さん自身、3歳の息子がいる初めてママ。
夫婦で起業後、カンボジアへ移住。その後妊娠を機に東京へ戻りました。子どもの予防接種が終わったころカンボジアに帰る予定でしたが、コロナでそれも叶いません。夫の実家が大竹市のため、孫の顔を見せてあげたいという思いもあって広島へ移り住みました。
しかし初めての広島では苦しいことも多く…。

知り合いもいない、情報もない、働くにも働けない。本気で泣く日が続いて、夫婦げんかも多かったですね。
働いている夫がうらやましかったんです。苦しいときが続きました。

画像1

(写真撮影のみマスクを外しています。以下同)

子どものことを考えると、フルタイムで働くのは厳しいママが多いのも現実。かといって時短勤務やパート社員だと、作業的な仕事が多くて、自分が積み重ねてきたものが活かしきれない葛藤があります。

ママたちの中には、経験豊富な人がたくさんいるんです。海外勤務の経験や、貴重な資格を持っている人、「粘土細工教えられます」なんて人も。
せっかく持っているスキルをなるべく活かして収入につなげてほしいと思いますし、ママからのニーズもあると感じています。
ママがママを助けるとか、ママが自発的に気軽に意見を出せて実行していける、ママが主体的に成長していける施設にしていきたいです。
ママでもあるけど、一人の人として自分らしく生きたいじゃないですか。

行政による子育て支援施設も数多く設置されている中で、速水さんがつくりだすのは、行政にできない部分でママを応援する空間

例えば、子どもをキッズスペースに預けてぼーっとコーヒーを飲む、社会復帰に向けてセミナーに参加する、または自らがセミナー講師になって他のママに教える立場になる、ときには親子一緒に楽しめるイベントにも参加する。ママがやりたいことをできる場を目指します。

ほかにも、口コミで評判のいい商品を試せたり買えたりする、ママのためのセレクトショップ。会員制にすることで、特別な情報を提供したり、ママ同士のコミュニティとして使ってもらえたり。公的な子育て支援施設ではできない、民間ならではのことも取り入れていきたいです。

今日はあの施設で子育て相談、今日はこの施設でイベントに参加する。と、ママが気分で選べる選択肢のひとつになれたら。

AKOの社員にはほかにもママがいます。働くママの心配事は、子供の熱、学校行事、夫の都合などさまざま。
できるだけシフトを変えたり、他で補填してもらったり、柔軟に働ける環境を用意しています。

以前は私も仕事優先という考え方でしたが、カンボジアにいって価値観が変わりました。みんな家族優先だし、それが当たり前だなって。
ひとりでも多くのママと、楽しく一緒に仕事をしていきたいですね。

施設オープンに向けて社員も増やしていますが、如何せんゼロから始まる施設。RING HIROSHIMAの短い実証期間が明けてからオープンとなる見込みです。

その代わり、実証期間にはオンラインイベントを実施予定。どんなイベントにするか、セコンドと一緒に思案中です。

SECOND「株式会社テレビ新広島」森星嘉としひろさん

セコンドの森さんも、2002年に東京からアイターン。テレビ新広島の事業開発部で、これまでテレビ局が行ってきた以外のビジネスに挑戦してきました。前例のない企画や営業のサポートなど、いろいろな仕事をしていく中で多くの事業者とも接してきた経験があります。
RING HIROSHIMAには、県内外の新しい事業者との出会いを求めて参加しました。

画像2

「はじめてばこ」でお馴染みの子育て応援キャンペーン「Thank you for zero」事業立ち上げ責任者でもある森さん。このキャンペーンを通じて、ママたちの課題は耳にしていたと言います。

当社内によくあるケースとして、東京支社に異動になり、広島に帰ってくるとき奥さんを連れてくるんです。そういう社員の奥さんは、広島初めてママが多い。速水さんの目指すところは「Thank you for zero」との親和性も高く、コラボもできそうだなと思いました。

私自身、東京からiターンして良かったと思っています。だから、東京で苦しい思いをしている人たちに広島を知ってほしい。
広島県としても移住施策に力を入れていますが、ママ向けのケアが少ないと感じています。移住者を増やすのであれば、そこを厚くするのは重要。新しい知り合いをつくるきっかけや、広島に来てよかったと思ってもらえるお手伝いができれば嬉しいです。

想いは同じ、移住経験という共通点もあるふたり。
“広島初めてママ”の速水さんにとって、先輩移住者の森さんはとても心強い存在です。

広島のどのエリアで始めようかと考えていたとき、調べる手段は主にインターネットでした。でも限界があって、やはり住んでいないと分からない情報もあります。
森さんから、『あの地域は人口が多く見えるけど、ターゲットになる人は少ない』などとエリアに関する詳細な情報をいただけたことがありがたかったです。
知り合いのいない私にとっては、森さんの人脈がなければ難しかったこともあります。

情熱の挑戦者と冷静なセコンド

「どこまでを目指していますか」森さんは最初に、速水さんに対してこう尋ねました。

とりあえず1店舗出そう、まずは数人でも助けられたらと思っていました。ターゲット設定も、『すべてのママ』に届けたいと考えていて。
でも森さんの言葉にハッとしました。それまで、事業を拡大するとか、利益を上げていく「スケールする」という視点がなかったんです。
私は想いばかり強い。一方で森さんは熱い思いを持ちつつも、客観的かつ冷静に道を示してくれたり、情報を整理してくれたり。
この事業を続けるにあたって、そういう視点も持たないといけないなと思いました。(速水)

私としても、人脈や知見が役に立てると分かって嬉しかったです。地域の役に立てる、新しい地元との関わり方として経験になって、今後の仕事にも活きそうです。(森)

画像3

場所は違えど、ママとしての悩みには共通点もあるはず。
速水さんの夢は、同じ施設を全国に展開することです。

RING HIROSHIMAはいいきっかけでした。賞金付きのビジネスプランコンテストに終わるのではなく、セコンドがついてサポートしていただける。優柔不断でなかなか決められない自分にはとてもありがたい取組みです。
曖昧な考えも、セコンドの視点を取り入れて決められるのでスピード感もあがるし、幅も広がります。
締め切りがあったり、「あれどうですか」と聞かれたりするだけでも、“決めなきゃ”“やらなきゃ”という気持ちになって(笑)。
物事がどんどん進んでいきます。

採用面接に来てくれる人はみんなママ。苦しい思いをしてきた分、だれかを助けたいという人ばかりです。
なかには「速水さんのそばで勉強したい」と言ってくれる人も。そういう人と出会えたのは、RING HIROSHIMAのおかげでどんどん進んで来れたからだと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?