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マックの期間限定商品に異議を唱える

30年前に家族を連れてアメリカにいった。わたしたち夫婦には1歳半になる長男がいっしょについてきた。まだ小さくて歯がそろっていない。食べ物は大丈夫だろうか。そんなことを女房と行きの飛行機の中で話し合っていた。アメリカの食べ物は油で揚げたものが多い。注意しながら食べよう。そんなことを理解してアメリカに着陸した。ついたところはジョージア州アトランタであった。

しばらくしてアパートを借りることになった。家具をそろえてなんとか暮らしていけるようにする。落ち着くまでに3か月近くかかった。手軽に食事をすまそうとショッピングモールにいった。モールの中には必ずフードコートがあった。ほとんどが階上にありファーストフードにあふれている。

お決まりのマクドナルドとバーガーキングがある。中華のパンダ・エクスプレスというのもよく利用した。レストランにはベビーカーを引きながらはいれない。しばらくして食事に注意することはすっかり忘れていた。

あるオンラインイベントでマクドナルドの新商品について話をした。期間限定商品だという。

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ハンバーガーの愛好家の間でいろいろな新商品が考えられているという。自分で考えて気に入った商品をSNSで公開する。それを見たマクドナルド社が期間限定でレストラン内で提供するということを試みている。

新商品には比較的人気のマックマフィンにハッシュドポテトを乗せたHash Brown McMuffinがある。そしてビックマックの2枚のハンバーグの間にフィレオフィッシュをはさみチーズバーガーと組み合わせる商品が登場した。Land, Air & Seaという名前で売られている。

チキンナゲットをパンで挟み上にダブルチーズにして食べるものがある。やがてダブルチーズバーガーにフィレオフィッシュを組み合わせたSurf & Turfという変わったものまで登場した。

さて読者の皆さんで食べてみたいとそそられる商品はあろうか。アメリカ国内では最初は話題になりHash Brown McMuffinがよく売れたそうである。一番人気のなかったのはLand, Air & Seaだった。あのような商品を市場に出すことには反対の声があがった。

なにより消費者を怒らせたのはあるファンが店に入ったときであった。6つの違うメニューを注文した。写真に掲載されているサンドイッチはひとつも渡されることがなかった。6つバラバラの品物が出てきたそうだ。写真にあるようなハンバーガーを店のスタッフがつくれないという事態が発生している。

わたしはマックのアイデアには異議を称えたらどうかと考えている。それはこのような商品は健康上よろしくないということ。消費者団体がだまってはいないだろう。これまでマックがしてきたよい会社のイメージを台無しにする。

まず健康への悪影響があげられる。面白がってアイデアを出したのであろう。しかしカロリーが高すぎる。それぞれどのくらいのカロリーがあろうか。これだけのカロリーを摂取すれば太り気味になることは確実であろう。

糖尿病になる可能性が高くなる。確かニューヨークに住んでいる人たちの8人にひとりは糖尿病を患っているという話を聞いた。糖尿病というのは怖い病気であって身体の一部が溶けて落ちてしまうような病気でもある。これにだけはかかりたくはない。いくら面白いアイデアであって少し食べてみたくなる気持ちはわかる。しかしこれはよくない。

次にこれらの馬鹿げたアイデアを商品化して客に食べさせる。健康が害される。ビジネスとしてはうまくいくかもしれない。ただし結果として糖尿病患者が増える。通院するひとが増える。医療費が高騰することはまちがいないだろう。人に害を与えることによってお金儲けをする。それには消費者団体がだまっていないであろう。

特にマクドナルドの商品は家族で食べに行く人たちが多い。そういうひとたちにわざわざそそるような商品を広告して食べさせなくてもいいのではないか。毒を盛っているようなものだ。だとすれば消費者団体が会社に圧力をかけるためになんらかのクレームと出すに違いない。

最後にこのアイデアはマクドナルド社のこれまでのマーケティングに逆行する。これまで環境にやさしい、社会にやさしいという取り組みを通じて会社のイメージ・アップをしてきた。

サンドイッチを提供するときに従来はプラスチックを使って提供していた。プラスチックの素材はしっかりとしておりレジから席まで持ち運びをするのに好都合だった。十分な強度が保証されており持ちやすかった。ところがプラスチックというのは環境にはやさしくない。ごみとして廃棄をしたときにひとつのところに集められ熱処理される。この熱がかなりの量になってしまう。

そういった反省からプラスチックの梱包をやめて紙を使ってサンドイッチを巻くようにした。店内に用意したトレイにのせて客席に運ぶように変更したのである。環境に配慮したビジネスは消費者からの好感されるはずだった。倫理的消費ということまでいわれるようになった。

どこにでもあるマックは震災といった大規模な被害を受けた人たちに対してハンバーガーを提供するということをやってきた。食品を提供するビジネスとして好感がもたれプラスに働くことはまちがいはなかった。

ところか今回のアイデアはいただけない。人の健康に悪影響が出ることがわかっていてそれを認めざるを得ない。にもかかわらずお金儲けに走っているではないか。そう解釈されてもおかしくはない。

わたしは異議を唱える。どうしてマクドナルド社のような会社がこのようなことが理解できなかったのだろうか。ビジネスにとってはむしろ悪影響が出るかもしれないにもかかわらず。

わたしたち家族は半年もするとすっかりとジョージア州の生活になじんでしまった。週1回は日本食のスーパーにいって買い出しをした。しかしアメリカ国内に住んでしまうといたるところにハンバーガーがあった。ショッピングモールのフードコートには必ずあって手軽に利用できる。

食べれるものが限られてくる。マクドナルドやバーガーキングしかないのだ。しかもそれがジャンクフードであることを忘れてしまった。ソーダも日本で提供されているものよりもかなり大きなサイズだった。

健康は損なわれる。イベントにきたひとたちの話では日本国内においても油揚げの多い食品は多くなってきているという。つい手を出してしまいがちだ。いずれ痛い目に会うことは間違いない。

大学生の読者の方はいかがだろうか。若いうちは油濃いものを食べても代謝がよいためそれほど太らない。ただついつい油濃いものは食べすぎてしまわないだろうか。抑えようにも抑えられない。つい野菜より揚げ物に手を出す。そのほうがおいしいからだ。

次第に代謝は落ちていき健康でなくなる。運動をしていれば別だがそれほど運動をしなければ痛い目に会うことはわかっている。