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260兆円規模の経済政策を支持

1990年にバブル経済が崩壊し土地と株の神話が消えた。それまで投機的なマネーゲームをしていた一般投資家や機関投資家は一機に損失を計上した。日経平均株価はバブルの好調時には3.8万円をつけていた。もはやそんな株価がつくことはない。2000年になると失われた十年といわれた。経済は回復することなく2007-9年にはリーマンショック。多くの人が職を失った。

2011年には東日本大震災。そして2020年になるとコロナウィルスによる経済停滞。2022年からはウクライナ情勢が加わった。日本だけでなくどこの国でも国が公共投資に動き出す。大きな注目をあびるのがアメリカの政策であることは間違いない。

さてこの2年間でアメリカ議会では続けざまに経済復興のための法案を通したという。2033年までの十年間で総額260兆円の公共投資をする。インフラ、半導体、そして再生エネルギーを重点的に支援する。これによりおそらく世界はアメリカにとり残されるかもしれない。

わたしはどちらかというとこの議会の決定を支援する立場にいる。その理由はコロナウィルスによる物流の分断、中国への依存、そして製造業の国外移転によりかなりの痛手を被った経験がある。

サプライチェーンの分断により物資がアメリカ国内に行きわたらない状態が続いた。物が手に入らない状態というのは経済活動をしたくてもできない状態に陥る。ロサンゼルスの港ではタンカーが何日も停泊した状態が続いた。陸上まで運び出すことができなかった。この停泊している期間にもお金がかかる。物が港から動かない。その間にも保険料を支払わなければならない。そのつけが消費者物価に転嫁されてしまう。

必要なものは国内で調達できる方がよい。

次にこの20年でアメリカは輸出をしているよりも輸入大国になってしまった。その背景は中国の台頭によるもの。人件費の安い中国の労働者を使うことで比較的安くものを生産することができた。安く製造をしてそれを一気に船で運ぶ。そうすることで国内で製造をしなくてもいいものが多くできた。しかしコロナやウクライナのような情勢では輸送がうまくいかない。

中国の人件費も今後は上がっていく。すでに上がっているため労働賃金上での競争力はなくなっていく。国内にシフトしたほうがよい。

そして製造業をアメリカ国内に復活させたほうがいいであろう。アメリカはこれまで金融とITで経済を牽引してきた背景がある。金融は確かにお金の流れをつかさどる大切な機能ではある。しかしながらどちらかというと富の公平な分配といった金融本来の役割を果たすことができていない。むしろ金融はリスクマネーを巧みに操る資産運用会社が儲けを独り占めするだけになってしまった。

ITによる主導は確かにアメリカを牽引している。しかしMETA社やTwitter社のようなアプリケーションはどうも怪しい。ラスベガスのカジノを模したようなアプリである。それでエンターテインメント性は高まった。広告業は破壊された。本来の人と人とのネットワーク効果というのはそれほど高まっていない。弱いつながりが増えた。

製造業を国内にもどしたほうがいい。

アメリカのGDPは2200兆円。日本の4倍。日本はGDP540兆円と経済成長はとまってしまった。物資は途絶えることなく調達ができなかった。ここにきて車の生産はできない。ソーラーパネルの開発・生産にもブレーキがかかってしまったようだ。

わたしのセダンは2003年製。初年度登録から20年といえばディーラーにいけば必ず買い替えを勧められる。そうして買い替えの候補を見つける。これがほしいとセールスマンにいう。するとセールスマンは答える。わかりました。しかしいまは生産できません。2年待っていただけますか。

これが先週のイオンモールの中にあるトヨタ販売員との会話だった。ほしくても買えない。であれば国内で生産するようにするしかないのではないだろうか。アメリカもそのような状況に近いだろう。

260兆円の経済復興政策を支持する。