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香港にあるウサギ専用のホテルから推察できること

わたしが東京にきたのは約40年前。一人暮らしでさすがに物事をやりくりすることが辛くなってきた。東京のこともまだよくわからない。霞が関での仕事ばかりで明け暮れる平日。週末は掃除と洗濯、そしてジムでの運動であっという間に時間が過ぎる。仕事でパソコンも導入されて肩こりがするようになるとマッサージを受けるようになった。そして大学の友人もひとりふたりと結婚をしはじめた。

東京に来てから4年後に結婚した。そして翌年に長男が誕生。あっという間に30年が過ぎて長男もなんとか仕事をがんばってやってくれるようになった。そうすると家にいて何かしらやることがない。外にいくと近所にはやたらにペットショップが目立つ。ペット専用のクリニックやマッサージルームまでできている。何かが起きているのか変わってきている。

あるオンラインイベントで香港にできたウサギ専用のホテルについて話題になった。香港ではウサギをペットとして飼う傾向にあるという。オーナーは休暇になるとペットをどこかに預けて旅行にでかける。1週間欧州、北米、あるいは日本にいく。そこである起業家がウサギ専用のホテルをビジネスとしてはじめた。1泊15ドル。日本円で約2千円だという。そのビジネスを展開するのはBunny Style Hong Kongというブランドだ。

わたしはイベントに参加してきた4人の方に聞いてみた。これはちょっとどこか変ではないか。これを理解してうなずけますか。そう質問してみた。参加者からの意見はさまざまなものだった。

あるひとはいった。うなずける。2千円というのは決して高くはないであろう。ウサギをペットとして飼うことは不思議ではない。ひとつのステータスシンボルとして飼っているのであろう。つまり資産家であることの象徴でもある。またそこまででなくても趣味の範囲として許容できる。

それに対して同調する意見があった。知り合いに羊を飼っている人がいた。そしてその羊からミルクをとって家族で飲んでいたという。またアヒルをペットして飼っていて卵を料理に使っている人もいた。そういった犬や猫ではない動物を家で飼うことができるのはお金持ちの印であろう。

さらに興味深いのはある会社の社長は実家に羊を飼っていてその羊からとれるミルクから特製のチーズを作ったという。お金持ちの趣味というのはどこまでいくのか計り知れない。ウサギ専用のホテルがあったとしてもおかしくはないであろう。

そしてウサギはオーナーが旅行中には食べ物がいるではないか。それが含まれているのならこの宿泊ビジネスはいいのではないか。ウサギはとても敏感な動物であり雨の多い香港で湿気により病気になってはいけない。

わたしはこれを聞いてやや怪訝な顔つきになってしまった。というのはこのペットビジネスはこの話だけに終わらないからだ。その理由は2つある。まずペットとしてウサギを飼うというのがこれからどこまで許容されるか。そしてホテル内のサービスの行き過ぎ。そこには追加料金が発生する。

まずいくらお金を持っているといってもウサギをペットとして選ばなくてもいいであろう。犬や猫がいるではないか。まずそういったペットとして人に懐く動物があるではないのか。そしてウサギというのは香港ではどのような動物として理解されているか。そこから発信した方がいいのではないか。そういった考えがある。なにもペットとして飼ってはいけないといっているのではない。合法的でありそれがなにかしらの身元の象徴のようなものと誤解されなければいいであろう。

もうひとつはこのホテルビジネス内ではサービス過剰がやや懸念される。一泊食事付きで2千円。そしてペットがプレイグラウンドで運動できる。そこまではいいであろう。しかしこのビジネスはそこだけに終わらない。追加サービスとして課金対象のものがある。通常の草でなく特別な食べ物を注文することができる。ビューティーサロンやマッサージサービスがある。また飼育係が付き添いで決められた時間にエクササイズに同行するというのである。

これはさすがに行き過ぎではないだろうか。なにもそこまでサービスを提供しなくてもいいのではないか。

私の家族内でもペットのことはときどき話すことがある。女房は犬が好きだし長男はいまでも陸の動物と海の動物のことは詳しい。わたしは亀や金魚が好きなので飼ってみたいといっている。水槽を買ってきてお世話するだけで普段なにげなく観察をする。するとなにかしらの潤いとストレス軽減になるだろう。

ただウサギとなるとちょっとなにかしら不可解なことになってしまう。さて大学生の読者の方はどうだろう。この香港でのウサギを飼うというトレンド。ここでは何かしらが起こっている気配がある。そしてオーナーにサービスをほどこすものとしてホテルビジネスが誕生した。どうでしょうか。ちょっと変わっているのではないでしょうか。うなずけますか。