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ファイナンスと経済の落とし穴

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経済学部に所属する大学生向けに書いています。金融や経済で気づいたことです。 抑制と均衡(Check and Balance)とは権力が特定部門に集中するのをさけ各部門間相互の均…
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#銀行

iPhoneでアフリカを救済できるのか

さあ、これから唯一の楽しみである夕食の時間だ。40年くらい前のわたしの毎日の楽しみは夕食であった。ミシガン大学の東側にある寮。そこには食堂があってミールカード(食事券)を使って入る。お決まりの順序で夕食時間を過ごしていた。そこにくる学生はいつも同じ時間に同じところで食べているため席が隣り合わせになる。すると不思議と会話がはじまった。今日はどうだった。何を勉強しているのか。 わたしはこういった光景は日本の大学ではいっさいなかったため羨ましい思いをしながら過ごしていた。そんなと

銀行破綻後も規制強化せず

2007年くらいから始まった金融危機。ニューヨークにあったリーマン・ブラザーズの経営破綻はだれもが記憶していることだろう。当時は金融機関による無謀な貸付や住宅ローンの崩壊がとりだたされていた。リーマンという投資銀行の中でも優秀な人材を集めていたところで金融派生商品(ディリばてぃぶ)を扱っていた。ほとんどだれでも豪邸が買えるようなうそっぽい話がささやかれた。うまくいくはずはない。 大銀行の倒産により連邦準備銀行(中央銀行)は税金を投入して救済しなければならなかった。銀行の不祥

SVB破綻から推察する銀行で働くということ

40年前にアメリカから帰国して仕事を探していた。とくにあてもあるわけではなくかったぱしから電話をかけて面接をとりつけた。なかなかうまくいかない。いかないけど面接でちょっと思い出深いところもある。それは浜松町駅に直結する東芝。そこの最上階に面接に行くとオレンジジュースが置いてあった。どうぞということでおいしくいただいた。その後東芝にいくことはなかった。これはいまからすればよかったのかもしれない。 職探しは難航した。気晴らしに飯田橋にあるユースホステルに泊まった。夕食後にいろい

銀行株値上がりの背景

おおよそ40年前のこと。正確には38年前になろう。アメリカのミシガン大学から帰国してスイス銀行の仕事をはじめたころのことだった。なにをしても新しいことばかり。同時に仕事をしながらわからないことだらけ。なにがわからないのかわからない。そういったときには周りの人のことを観察するか上司のいうとおりにするしかない。 とにかく血となり肉となる。そう信じて上司のいうことを忠実に聞いて仕事をがんばった。まずは日本経済新聞を読むことだった。わたしは証券部門の株式調査部というところの配属だっ