武漢で大規模集会 医療保険改革に抗議 纽约时报　2023/02/16

　以下の記事はニューヨークタイムズ中国語版が2023年2月16日に報じたもの。記事はネット情報によるほか、武漢で取材したことも明かしている。また、湖北省武漢のほか、遼寧省大連、南方の広州省にまで抗議が広がりを見せたことを伝えている。なお示威をデモと訳すべきかもしれないが、デモという語感から受ける積極的な意思表明活動と少し状況は異なる。映像で見る限り、抗議をする人が集まったといった状況である。そこで示威を集会と訳すことにした。ほかの記事で示すことができると考えるが、実は、政府の庁舎に入って、政府の責任者と交渉している人たちがこのほかにいる。この交渉する人たちと、集まった人たちとの関係は正直分からない。集まった人々は、交渉する集団とはあくまで距離をとりながら、その交渉に数で圧力をかける役割があるのではないか、と私は考えている。
   武汉爆发大规模示威，数千名退休人员抗议政府医保改革   纽约时报中文网2023/02/16   KeIth Bradsher他

武汉爆发大规模示威，数千名退休人员抗议政府医保改革

（見出し）武漢で大規模な集会が発生、数千名の退職者たちが政府の医療保険改革に抗議した
（翻訳）中国武漢　中国中部の都市武漢のある有名な公園の外で、数千名の退職者たちが、当地の官僚・警察と対峙し、最近実施された老人医療保険の政府による削減の中止を要求した。
    水曜日（訳注2023年2月15日）の抗議は、武漢で1週間で2度目の抗議活動であり、また中国の地方政府財政逼迫の最新の徴候（迹象）でもある。地方政府は医療から暖房まで様々な費用の大きな部分を負担している。北京（政府）が過去3年間実施した（制定）「ゼロコロナ（清零）」政策により、これら地方（政府）は追加の（額外的）費用を負担させられた、（また）不動産市場の低迷は頼れたはずの収入源を奪うことになった。
　ネット上で流通する映像が示すところでは、多くの群衆が武漢市中山公園の周辺に集まり、警察側は障害物を設置して、群衆の分断（拆散）を試みた。警察が人々を追い払おうとした時、老人たちは後退を拒み、警察側に大声で叫んでいる。一部の抗議者は、執政党の共産党と抗議者とがともに使用する賛歌である「国際歌（インターナショナル）」といった歌を歌っている。この歌を用いることで抗議者は、共産党がそのもともとのイデオロギー（意識形態根源）から乖離（偏離）していることを暗示している。
　武漢において、七名（訳注　取材班のことと判断される）は現場で抗議活動をする人を目撃した。二人の住民から当日の大規模集会についての供述を得た。警察が乱暴に抗議者を拘留し連れ去るのを見た一人の目撃証言がある。
　木曜日（訳注2023年2月16日）昼近く、数百人の老人がかの公園に集まり、医療保険政策変更の問題（不快）について憤りながら討論した。現場の管理（安保）は厳しく、私服警官（便衣警察）が周囲をうろつき、人々が話すときはその様子を録画していた。人々への障害物の背後には100名近い制服警官が立っていた。
　経済成長の鈍化と人々の高齢化（老齢化）に伴い、中国社会の摩擦は今後も生じるだろう。中国は世界で所得（収入）の不平等度が最も激しい国の一つだ。水曜日の抗議活動は、ぜいたく品販売の中心付近で生じた。そこにはデイオール、ルイヴィトン、ヴェルサーチなどのブランドの路面店（临街门店）がある。
   抗議は、集団資金と個人勘定という二つの部分から構成されている、中国都市住民の医療保険制度（改革）に向けられたものである。国民健康保険制度の構造調整の一部として、地方政府は個人勘定の預金金額（存款金额）を減少させた。
　2月7日に参集した抗議者は、当地の政府に退職した人の保険交付額（保険缴款）を以前の水準に戻すことを要求した。彼らはもしも要求が満たされなければ、1週間以内に再度抗議すると誓った。
　武漢政府は、ネット上で発布した文書のなかで、確かに各個人の個人勘定の支出補填額は減少するが、集団医療保険は個人についてより多くの医療費用を負担できるので、最終的に一定の（某些）個人の自払費用は少なくなると、述べている。
　武漢市の抗議活動のほか、水曜日には遼寧省の港湾都市大連市の退職者の集会の映像が現れた。ネット上ではさらに、2月上旬、南方の都市で広州政府事務室の外で、一群の退職者たちが彼らの医療保険勘定のお金（款项）を政府が減らしたことを抗議している映像が流れている。