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武漢と大連で医療保険削減で反政府抗議集会 rfi 2023/02/15

 以下はrfi(フランス通信社AFP傘下の情報媒体)の2023年2月15日付け報道である。報道は、ネット上の資料をもとにまとめられている。武漢に加え大連での2月15日午前の集会の様子を伝えているほか、なぜ武漢で運動が生じたかについての分析、政府側の主張、識者の見解なども交えて、バランスの良い記事になっている。
   別の記事でも説明したが、示威を「デモ」と訳すべきかもしれないが、実際の状況は不満を持つ人が集まったという状況というのが正しく、デモという日本語が示唆する積極的意思表示とは状況は少し異なる。そこにはプラカードもデモ行進もない。そこで集会と訳しておく。人々は集まることで、政府に無言の圧力をかけようとしているのだと考えられる。

武汉大连爆发反政府削减医保示威   「白发运动」蔓延   rfi    2023/02/15

(翻訳) 2月8日に続いて武漢で、健康福祉給付(健康福利)削減に抗議する大規模な街頭衝突が発生した。退職老人を主体とする「白髪運動」が再び同市(武漢)で発生した。同日、東北の大連で千を数える(数以千計的)退職老人が、医療保険福祉給付(医保福利)縮小に抗議して立ち上がった。
   
法新社(訳注 フランス通信社AFPのこと)が報道で指摘しているように、穏(社会の安定)が高く維持されている中国で、街頭での集団活動はとてもめずらしい。とくに中国の二つの人口1000万の大都市での同時発生はとてもめずらしい。
 中共総書記の習近平が第三期に入ってから、このような大規模な抗議はすでに11月にも生じている。その時は青年たちを主体にゼロコロナ政策に反対するもので、大規模抗争は中国の数十の都市に及んだ。抗議者たちは、改革を求めて政治的要求を掲げ、あまつさえ習近平の下野を要求した。巨大な抗争は「白紙運動」と形容された。しかしその時間は短かった。
 政府が医療保険福祉給付を削減したことで、2月8日、退職者たちは武漢で初めて爆発した。
 武漢市民によれば、当局は最近、退職者たちの毎月の個人医療保障を毎月260元から83元に削減した。抗議者たちは当局に直接表明した、問題がもしも解決されなければ、彼らはまた街頭を歩くと。
 武漢当局2月1日に発表した「武漢市職工基本医療保険問診共済保障実施細則」は広汎な反対に遭遇した。当局側はこの改革は統合(統筹)資金を強化し、医療保険の支出範囲を拡大するためのもので、目的は(保険に)参加する職工の権利と利益とをさらに有利になるよう保障することにあるとしている。
 ツイッター上に続々と上げられる大量の映像によれば、2月15日、武漢(市)中山公園一帯に抗議する多数の群衆が集まった。その多くは退職老人で、彼らは封鎖線を張った多数の警察(官)と対峙し、押し合いが発生した。映像は数人の老人が転倒したことを示している。抗議する人の中に「打倒反動政府!」と叫ぶものがあり、多くの人が「インターナショナル(国際歌)」「団結こそ力(団結就是力量)」を高唱した。
 SNS上で伝えられた多くの映像が示すところでは、同じ時、(2月)15日午前、中国東北の都市大連の人民広場にも千人に達する民衆が、主として政府が医療保険福祉給付(医保福利)を縮減したことに不満を表明するため集まった。映像は、大連の集会場で警察に拘束されたものが、バスに乗せられるところを捉えている。
 武漢の抗議の声はなぜかくも大きかったのか。「良知欣然自知」(著名なツイッター口座名)が米国の声(VOA)に示したところによれば、「武漢は最初に都市封鎖され、都市中が血の涙であふれた(ところである)。封鎖を解除されたとき、ほぼすべての人が感染していた。本当に多くの老人が皆世を去った。彼ら(武漢の退職老人)のほとんどが医療資金の削減(克扣)は、老人を死に追い込み、政府の負担を減らす(ためのもの)と考えている。」
 中国の政治と経済を専門に研究する「透視中国」(SinoInside)のある人は、研究(論文)の中で「もし中国が正しく医療保険改革を実施できなければ、社会の緊張と政府への憤懣を高めることになる」と警告している。
 研究は、この医療保険改革は地方政府が3年にわたる高くついた(昂贵的)ゼロコロナ政策を経験後、地方財政が深刻な財政困難に直面する時期に行なわれると指摘している。
 米国の声は、米国情報戦略研究所の学者李恒青の「中国民衆の医療保険福祉給付の不足(欠缺)の現状への不満は広がっており、一般の人々が街にでるように(抗議するように)なれば、落ち着かせること(平静化)はむつかしい」との発言を引用している。


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