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Starlink:ウクライナそして日本でも

 ロシアによる武力侵攻後、ウクライナは善戦している。要因としてアメリカを中心とする欧米諸国による軍事支援も大きいが、通信回線の維持が出来ていることも大きい。これには既存のシステムが攻撃を受けて破壊されたり障害を受ける中、Spaec X社の衛星インターネットアクセス「starlink」が開戦直後、ウクライナに供与されたことが大きいとされている(もともとウクライナはロシアの通信衛星に、国内のインターネット回線を8割依存。ロシアは侵攻と同時にこの回線を遮断。これを救ったのがstarlinkの迅速な供与だとされている。ロシア制裁が引き起こすリスク Newswitch 2022/04/04)。
 ムコハタワカコ「衛星インターネット」 SignalDiamond, Mar.3, 2022

 この仕組みは(地上の小型アンテナ局を経由して衛星に送信)、ポーランドの地上局で仲介させて、地上戦闘によるウクライナ国内基地局の破壊にかかわらず通信回線を維持するというもの。ロシアによるサイバー攻撃の標的になるリスクを指摘する声もあるが、この間、通信回線の維持に成功してきた。
    鳥嶋真也「宇宙インターネット」Telesope Magazine, Sept.1, 2021
 How Starlink is helping Ukraine, India Today, Mar.11, 2022  

 かつて衛星電話というと手元の端末が大きなものだったが、starlinkの場合は、通常の携帯電話がそのまま衛星電話に変身する。
 なおサイバー攻撃について、以下の記事はSpace X側がサイバー攻撃や電波妨害の防止(anti-jamming)に一定の対策を施したことを指摘している。
    Space X shifts resources cyber security, Space News, Mar.3, 2022 

    以下の記事は、 ウクライナを始めヨーロッパを広くカバーするネットプロバイダーViasatが管理する通信衛星システムKA-SATが、ウクライナへのロシアの武力侵攻以降、サイバー攻撃を受けて長期間ダメージを受けていることを伝えている。Starlinkももちろん攻撃を受けているが堪えている。
Viasat’s KA-SAT network still disrupted, Datacenter Dynamics, Mar.17, 2022

 以下はStarlink, Oneweb, GPSの各衛星の現状を示している。夥しい数の衛星が、存在していることが分かる。

日本では
 2021年9月にAU(KDDI)とStarlinkの業務提携が発表されている。これによりAUはバックホール回線としてStarlinkを利用するとのこと。山間部、島しょ部、災害時などで、Starlinkの衛星回線を使って、高速通信を実現できるとしている。
 これは将来的には既存の回線を徐々にStarlinkに乗り換えることを意味しているのかもしれない。となると基地局建設やケーブル敷設に投資が必要だった、携帯電話会社のビジネスの在り方は日本でも根本的に変化するのではないだろうか?
 また2022年10月から、Starlinkは、AUを通して日本国内でのサービス提供を開始している。法人・自治体が対象ともされるが、一般の個人でもニーズは大きいのかもしれない。


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