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ポーラ美術館

 ここも久しぶりの再訪だ。今回は、「部屋のみる夢 ボナールからティルマンス、現代の作家まで」(2023.1.28-7.2)+所蔵名品展を見て来た。ポーラはきちんとしたレストランがあるし、写真撮影がかなり自由であることは嬉しい。今回の展示で所蔵作品では、藤田嗣治(つぐはる 1886-1968)の作品が多数出ていた。ただ残念に感じたのは、現代美術の作品が多数、並べられているなか、所蔵品の核であるはずの印象派の作品は少数しか展示されていなかったことだ。ポーラの所蔵品が現代美術に広がっていることに感心しながら、久しぶりにポーラに来たのだから、もう少し印象派の作品を数多く見たかった。

 展示会の題目に重なるように感じたのは高田安規子・政子(1978-)の作品だった。無数の窓、あるいは無数の鍵をモチーフに使った二つの作品は、展示会の題目とぴたりと重なっていた。どうもこれは今回の展示にために作成されたインスタレーションアート(据え付けとか配置:インスタレーション自体を芸術するもの)のようだ。
 またドイツの写真家ヴォルフガング・ティルマンス(1968-)の作品は、部屋の中という私的な空間という日常の風景から、彼が何かを感じた瞬間を、切り取っていることを感じた。そこで大事なのは、多分、窓から部屋に差し込む光である。

ティルマンス「静物 ボーンエステート」(2002)
佐藤翠+守山優一郎 「Rose Room」(2022)

 ポーラは写真撮影は展示品ほぼすべてがOKだが、一部の作品はSNSに上げることが禁止されていた。
 すべてを見終わったあと、美術館外の遊歩道を少し歩いた。この遊歩道もポーラの売りだ。
 箱根の山の中は東京から出かけると少し遠い。箱根と往復することは昔は全く苦痛でなかったが、今日は少しキツイと感じた。今では老人の立場からすれば、箱根の山の中の不便な場所にわざわざ穴を掘ってポーラ美術館を作る必要はそもそもあったのだろうか、という不謹慎な疑問が頭をよぎった。
 アクセス 新宿から小田急ロマンスカー+直通バスを試した。
 「アーティストは何を見てきたのか」『美術手帖』2023.1.31 


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