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ブラジル バレンタインデー

5年ほど前に1年弱ブラジルの南部の地方に住んでいた。ご当地の造船所に勤めていた。

ブラジルは米国と同じく他民族国家である。古くからブラジルに住んでいる人々もいる。アマゾンの原住民は有名だ。南部の草原が広がる地域はガウショあるいはガウチョと呼ばれる原住民がいる。牧畜に従事していたとのことで車社会の今でも馬にまたがり町を闊歩していた。しかし、大半は米国と同様移民としてブラジルに来た人々が多いのではないだろうか。人口の上ではおそらく黒人奴隷として過去にやってきた人々の子孫が多い気がする。

それはともかく他民族国家というのは日本にいると想像が出来ない。ブラジルのサンパウロは日本人やその2世、3世が多く暮らしていることで有名だ。なので黄色人種も珍しくないことになる。白人、黒人ももちろんいる。当然混血も多い。見た目は夫婦2人とも肌が白いのに生まれてきた子供は黒かったということもあるらしい。隔世遺伝なのだという。仕事でポルトガル語の通訳をしてくれた日系の人から聞いた話では小学校(に相当する)でブラジルの民族の系列を教える授業がかつてはあったのだそうだ。原住民や移民、その組み合わせが複雑になる。広大な国土の地方地方によっても異なる。ブラジルの発展とともに変遷してきた多種多様な民族の系列をその通訳の人も教わったという。それが今では人権の問題などで教えること自体がはばかられているらしい。

他民族であると人権についてもいろいろ微妙な問題があちこちに内在しているのだろう。

人権と言えば近年は人種問題だけではなくジェンダーも多く取り上げられる。

一度仲の良い同僚と2人でレストランに入り自分一人が食後のアイスクリームを注文した。「アイスクリーム1つ?」と聞き返された。そうだと答えると”One ice cream, Two spoons?”と聞いてきた。思わず「そんなわけないやろ!」と日本語で答えてしまった。日本語だったが相手に通じたらしくえらく恐縮して”Sorry!”を連発していた。レストランを出る際にも再び”Sorry”と繰り返したので返ってこっちの方が気の毒になった記憶がある。

そして今日6月12日はブラジルのバレンタインデー。ブラジルでは何故か2月14日ではなく6月12日がバレンタインデーである。別名「恋人の日」とも言うと教えてもらった。そんなことを知らずに夕食に出かけたレストランで男ばかりの日本人の集団は浮いて浮いて浮きまくりだった。他のお客さんは全てカップルだったのだ。

もともと浮いた話に縁がないのでレストランで浮いても特に動揺もせず気にもならなかったのは決して自慢にはならないのだが。

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