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ルーチェのお散歩日記 出張編1 竹島

出張編1 竹島
 「ついにたどり着いたぞ!これがビッケ島だあー」 ようやくたどり着いたビッケ島。この島すべてが、甘くておいしいビスケットでできているのだ。旅にでて、はや2か月。夢にまでみたビッケ島だ。日々の食事制限に嫌気がさし、ビッケをたらふく食べてやる!っという思いで、目指してきたビッケ島。見渡す限り、ビッケ。ビッケ。ビッケ。僕だけのビッケ。砂糖がふんだんに練り込まれて焼かれた、甘くて香ばしい香り。僕が追い求めていた幸せとは、これだ。神様、仏様、巨人様ありがとうございます。感謝してもしきれません。それでは、もうよだれで、顔がベトベトになってしまってますので、早速ですが、食べさせてもらいます。それでは、いざ!うぉー
ハシュハシュハシュハシュ!ハシュハシュハシュハシュ!ハシュハシュハシュハシュ!
甘いー!!うまいー!!糖分が染みわたるー!!食えるぞー!!なんだかうますぎて永遠に食えそうだ。私の胃袋は、宇宙だぁ!ハシュハシュハシュ。
その時です。ゴゴ ゴゴ ゴゴゴゴゴォー!
「しまったー島を食べ過ぎて、亀裂が入ってしまったぁー!沈むー助けてくれー」ゴボボボぼー。苦しー。

「ルーちゃん」
「ん?誰だ神様かー」
「ルーちゃん起きて!」

 はっ

「ずいぶんうなされてたけど大丈夫?」

「ええ、まあ、」

「準備して行きますよ。今日は、”朝日を見る会”の記念すべき初回なんだからね。」

午前2時半。そうか、今日だったね。
同居人の男は、せっせとコーヒー豆をガリガリ挽いている。

 朝日を見る会。2人に、日常の神秘をより敏感に感じてもらおうと、私が発足させた会なのだ。申し遅れました私、ルーチェと言います。犬やらせてもらってます。
 そんなわけで、毎日訪れる日の出を、いつもとちょっと違う場所から望むことで、日常生活での気付きがいろいろ見えてくるようになるんですけど。彼らは、どれだけ主旨を理解しているのか。。同居人の男は、妙にテンション上がってそうだが、ピクニック気分だろうなあれは。
 さあさ出発しましょう。うちの移動は、いつもチビ太です。コアラみたいな顔した、マーチです。コアラのマーチです。ロッテではなくニッサンです。ちび太に乗り込んだ後は、さらにたまきちゃんの肩と座席のヘットレストの隙間に乗り込みます。この場所が一番振動が伝わるからです。そして、ちび太とひとつになり、私が動かしております。ここは第2の操縦席なのであります。けっしてびびって隠れてるわけではありませんよ。そもそも怖いものは、ひとつもありませんよ。ちび太に乗って病院に向かうときなんかは、同じように肩とヘッドレストの間で、ブルブル震えおりますが、びびっているわけではないのです。武者震いってやつですね。心が勇みきりまくって。勇みきりまくって仕方がありません。たまきちゃんは、そのおかげで、肩凝りますでしょうが、今日は、そんな疲れも吹き飛ばしてもらうべく企画したのですからね。
 そうです今日の目的地は、ビッケ島!!! ではなく、愛知県の竹島ですね。ある意味ビッケ島みたいなものですね。神秘の場所ってことですね。
 夜は、天と地が、ひとつになりますが、ここでは、それが、見て撮るようにわかりますね。天は、聖。地は、俗ですね。夜になると、天から聖なるものが、降りてきて、橋を照らす灯りとなります。僕たちが、橋を渡るころには、辺りはうっすらと白んできており、ちらほらと聖なるものが、天に戻り始めているところでした。
「ルーちゃんすごい急ぐね!待って、待って」
「白みきっちゃう前に、森に入っちゃわないとだからさ!急いで!」
「わかったよーでもあんまり引っ張っちゃだめよーヘルニアぶり返しちゃうよ!」
「なんだか近そうで、けっこう長いね!」
「そうだよ、ここへ来ると地の感覚は、狂ってくるんだよ。当然だよ。そのかわり天の感覚が、入り込んでくるからさ。」
「そうなんだね。よしーもうちょっと。」
 スポッ。

 竹島へは、スポッと入りました。
「すごい階段。段数。死ぬね。」「にしても暗いな。」
 階段の角度が急で、もはや壁です。見上げた瞬間、絶望感がすごいです。足腰にかかる負荷と絶望の先に何が待っているのか。
 そこにあったのは、暗さと静けさ。心の静寂でした。時間の感覚は、なくなりました。茂った木々に囲まれて、空は見えません。海も見えません。夜が明けたのかもわかりません。外なのか内なのかもわかりません。
 「宇宙の中の地球みたいなものだね。まあそんのもんだね。小宇宙だよ。」「まさか宇宙旅行になるとはね。」「さあ、おしっこして帰りましょう。」おしっこは聖なる水。ただ、人間界のルールでは、してはいけないようなので、やめときますけど。あなた達は、備え付けのトイレでしてきなさい。「はーい。」
 石積みの階段を下り始めると、樹木のあいだから海が見えてきました。「もうこんなに明るくなってたんだね。気持ちいいね。なんだか清々しいいよ。とても。」「不思議な体験のあとは清々しくなるもんだよ。」「ルーちゃんもおしっこして来なさいよ。」
「ワン!」
やめなさいよ犬みたいな声出すの
ところでさ、なんか忘れてる気がするけど。
なんだっけ
日の出!!
まあ次回にお預けですね。
つづく

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