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コンパッション #1

読中のレビューを書くということは今までそれほど機会がないのですが、自分の魂を揺さぶる本に出会った、そんな想いを持って拝読しているのが、こちらの「Compassion(コンパッション)――状況にのみこまれずに、本当に必要な変容を導く、「共にいる」力」。いまこの状況にこの本と出会えたこと自体が運命ではないかと。

コンパッションとは

コンバッションとは以下として定義されています。

人が生まれつき持つ「自分や相手を深く理解し、役に立ちたい」という純粋な思い。自分自身や相手と「共にいる」力。一般的には「思いやり」「慈しみ」と訳されることが多いが、本書では「同情」「憐憫」と明確に区別するため、そのまま「コンパッション」としている。

その上で、以下の5点の枠組みがコンパッションを構成する資質であると定義づけています。

1.利他性
2.共感
3.誠実
4.敬意
5.関与

そしてこの5つの資質には"エッジステート"(崖の境界)が存在。エッジステートとは、境界線であり、この境界線を冷静に認識し、向き合うことがコンパッションを実現する上で重要となると述べています。

すべての物事は多面性がある

すべての物事や意思決定にはpros./cons.があるということ、メリット・デメリットがあり、陰と陽だけではなく多面性があります。そしてコンパッションを実現するための5つの資質にも表裏・多面性が存在します。例えば利他性は、一歩間違えば自身の虚栄心や自己承認欲求を追求するというイシューずれの結果となってしまうということ。共感が過度になると、自分を痛めつけてしまうということ、など。これらは一例ですが、5つの資質を追求するのではなく、グレーゾーンとしての幅を持ち、崖の足場を見据えた上で、実行するしなやかさを鍛えることが重要と説かれています。

人間の幅はグレーゾーンの幅

話は変わり、大学院のクラスで倫理観について問われるという経験があり、とても苦しい想いをしました。「不正を追求するべきかどうか、不正を追求してその後厳しい人生を送ることになり家族を不幸にすることは人間としてあるべき姿か」という論点で、今も明確な答えは出ませんが、その時に講師からアドバイスをもらえたのは「人間の幅というのはグレーゾーンの幅なのかもしれない」ということ。

慈悲の心を持つことは本当に素晴らしいことだと思いますが、果たして自分と自分の大切にしているものを犠牲するまでに無償の奉仕をすることが、人生として正しいのか、そして無償の奉仕によって助けた相手に対して後日自分が持つ想いは曇りがないか、相手が再現性をもって自立できるかどうかなど、人へ貢献することにおいて、考えなければいけない論点はたくさんあります。即ち物事には多面性があり、二極的でもない。そして多面性がグレーゾーンとして、そして崖として存在していて、常にどちらへ進むかを意思決定することが我々に課せられていることです。

コンパッションをここまで読んで

現在、同書については1/3程度拝読し、5つの資質についての表裏あるエピソードを理解できるように努めているところです。つまるところは、慈悲喜捨の心を持って世の中を見、在り続けられるかどうか。このwithコロナ、afterコロナという不可逆的かつ急速なPEST環境の変化の中、コンパッションの心をもって、私は在り続け、共にいたい。この本はそのTipsを私たちに教えてくれるようです。



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