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【研究】半年で論文15本分の執筆練習をする方法

佐藤ひろおです。早稲田の大学院生(三国志の研究)と、週4勤務の正社員(メーカー系の経理職)を兼ねていました。いまは有給休暇の消化中です。8月下旬に退職します。

早稲田大学の春学期(上半期)の授業が、昨日で終わりましたよ!
いやー、楽しかったし勉強になったけど、大変でした。。

今学期に強く意識したのは、
「論文を書く」スキルを磨くことです。

いやいや!「論文を書く」にはセンスが必要で、一部の頭のいい人だけができる、再現性のない専門的な作業ですよ!
という見方もあるでしょうが、ぼくは違うと思ってます。

「論文を書く」ことを、
ぼくは今回、あえて「スキル」と表現しました。

人間の活動には、先天的に差があって大人になってから変化しないことと、後天的に変化することがあるでしょう。論文を書くことは、後天的なスキルだとぼくは捉えています。
※研究をしたいと思うか?は、先天的なセンスかも知れない。そんなセンスがないほうが、人生が捗るかも知れない。

論文を書くことが後天的スキルならば、練習・訓練の方法を間違えなければ、あるていどは機械的に(そこそこ誰にでも)身につくということです。時間をかけた分だけ、上達するでしょう。

神の領域(論文書きのプロ、生涯で数百本を書くレベル)にならなくても、恐らく博士論文は完成させられます。
あえて定型的なスキルだとドライに割り切って、これを身につけたいなと思って、今学期を過ごしました。おかげで、「半年で論文15本分の執筆練習をする方法」を編み出したんです。その方法とは、

他人の研究報告を、あたかも自分の論文のように読み、よりより論文の書き方について書き手と一緒に悩むこと。

これが結論です。

自分で研究報告をするのは、ものすごく大変です。
しかるべき手順を踏んで(手順の中身はこの記事では書きません)、研究報告のかたちに仕上げ、大学院のゼミや先生の前、学会で報告して、他の院生や先生たちからご意見をいただき、ブレイクしたメンタルを修復するまでには、膨大な時間がかかります。
1回のサイクルをまわすのに、3ヶ月では収まりません。
腰が重すぎる。

自分の研究報告「のみ」によって、論文を書き、成功と失敗を経験して、反省してスキルアップするのは、単純に大学院の在籍期間に「試行回数」を全然稼げなくて、タイム・パフォーマンスが悪いです。
※タイパばかり求めればいいという意味でもないですが

他人の研究報告ならば、受け取った論文・レジュメを1時間もあれば読めるでしょう。それを、あたかもわが論文のように意図的に勘違いして、「このように論理展開をしたほうがよい」「このように説明すべきだ」と考えるのは、とても省エネです。

上では「書き手と一緒に悩む」と書きましたが、これは一種のフィクションです。そういう設定というだけ。実際に書き手に話しかけなくてもOKです。とはいえ、可能ならば、論文をつくってきた著者に直接質問を投げかけ、「ここは、こういうつもりで書いた(ようだ)けど、うまく表現できてるのか?」「この論証はおかしくないか?」みたいに会話したほうが、圧倒的にスキル習得が高速化すると思います。
※相手との関係性による
※嫌われたら撤退したらいいんですよ
※礼義とギブアンドテイクは大事かと

大学院は、他人(他の学生)の研究ができあがる過程を見ることができます。並走することができます。鍛えるチャンスが多いです。
大学院で半年に15週間の授業があり、論文15本分の試行錯誤に接して、かつ発言権(著者と会話するチャンス)があるならば、15回分の論文作成の疑似体験することができます。これだけ反復していれば、1人で自分の論文だけを目の前に悩んでいるよりも、スキルの習得に断然有利。

研究指導の授業をまじめに受けましょう、積極的に発言して活躍をアピールしましょう、という狙いとは(次元が)違います。スキル習得のために、互いを暗黙の合意の上で、利用しあうのです。

いやいや、同じゼミでも研究の題材が違いますよ、専門的で分かりませんよ、他のゼミならば、分野の基礎知識すらありませんよ、
という反論もあるでしょう。しかし、問題なしです。
ここでは、「論文を書く」というスキルだけの話をしています。個別の資料の解釈や結論が正しい/正しくないというのは、同じ題材で研究をしていないと分かるわけがない。開き直りましょう。
大学院生であるぼくらは、指導教員ではないのだから、具体的な内容を指摘しなくていいんです。
内容は不案内でも、ただ単に「論じ方」ならば、専門の題材が違っても、スキルとして切り出し、良し悪しが分かるはずです。むしろ、方法論のみを切り離して判定できるぐらい、「論文を書く」というスキルを外部化・客観視していないと、自分の論文すら覚束ないはずです。魂を綴った珠玉のエッセイ、泣きながら徹夜で一気に書きました、では困るんです。

大学院生が目標にすることが多い職業が「大学教員」です。
大学教員になれば、学生が突拍子もない題材を選び、これで論文を書きたいデスといって、よく分からないレポートを持ってくるでしょう。これを指導するときは、もっぱら「論文を書く」というスキルを使うはずです。

授業や学会で、他人の研究を「すごいなー」「分からんなー」と聞き流すのではなく、あたかも自分の論文のように読み、よりより論文の書き方について書き手と一緒に悩むと、効率よく論文を書くスキルが身につきます。

このように訓練をしておくと、自分にとって大切な(できれば失敗したくない、かけた時間をムダにしたくない)研究内容を、いざ論文として表現するときに、うまくいきやすいと思います。論証した結果、分かりにくくなって評価されずにコケても、軌道修正がしやすいです。

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