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2023年2月定例議会の一般質問の報告(その3)。「避難行動要支援者の防災の課題」

 名取市議会議員のさいひろみです。

 昨年12月議会で「医療的ケア児等への支援の充実」を取り上げました。このとき、次に取り上げることに触れていた話題になります。

 この話題の中で、指定避難所と福祉避難所の位置、65歳以上の人口の割合(100mメッシュ)等の公開されているデータ(オープンデータ)をQGISで組み合わせて資料として使いました。
 通告の時に、担当課にも事務局を通じて先行で渡しています。

QGISで作った地図

◇ 質問と答弁(概要)

Q:医療的ケア児、障がい児者及び高齢者など避難行動要支援者の個別避難計画の策定状況と課題は。

A(市長):2023(令和5)年度中の計画策定に向け、スピードを上げる。

 避難行動要支援者の個別避難計画は、2021(令和3)年災害対策基本法等の一部を改正する法律により、避難行動要支援者の円滑かつ迅速な避難を図る観点から、個別避難計画の策定について市町村に努力義務化された。
 個別避難計画策定にあたっては、お一人お一人置かれている状況が異なっている避難行動要支援者について、支援者や避難経路等を記載することになるが、支援者が、いつでも支援できるかわからないことや、災害の種類や発災時期、時間によっても状況が変わってくることなど、策定にあたり多くの課題がある。
 このため、現時点では現状把握に留まっており、まだ策定には至っていない状況だが、令和5年度中の計画策定に向けて検討のスピードを上げたい。

市長答弁概要

Q:避難行動要支援者の個別避難計画を早急に策定すべき。

A(市長):早急に課題を整理し、優先度の高い避難行動要支援者から、また、地域の協力が得られた地区からなど、順次、策定したい。

 避難行動要支援者の個別避難計画につきましては、令和3年災害対策基本法等の一部改正により、地域の実情に応じて優先度の高い方について概ね5年程度で作成に取り組むことになっているところですが、早急に策定する必要性を認識しております。
 個別避難計画の具体的策定手法、スケジュール等は、現時点では未定でありますが、早急に課題を整理し、優先度の高い避難行動要支援者から、また、地域の協力が得られた地区からなど、順次、策定したいと考えております。

市長答弁概要

Q:福祉避難所の数や収容人数には限りがあるため、有事の際に適切な対応ができるのか課題と考える。まずは、一次避難所である各指定避難所に十分な福祉避難スペースを設け、福祉避難所への移動は事例に応じて移送して対応すべき。場合によっては、近隣自治体との一時的な連携で対応すべき。

A(市長):災害の状況に応じて、必要なスペースの確保に努める。
 また、福祉避難所への移動では、要支援者の程度に応じて、その家族や市職員による移送のほか、専用の福祉車両が必要な場合には、可能な範囲で福祉避難所の協力を得ながらの対応としている。さらに、福祉避難所での受入れが難しい場合には、近隣自治体と協議して対応したい。

 二次避難所となる福祉避難所への移動までの間、指定避難所の一般の避難スペースでの滞在が難しい場合は、福祉避難スペースを設けることは必要であり、災害の状況に応じて、施設管理者と協議しながら必要なスペースの確保に努める。
 また、福祉避難所への移動について、要支援者の方が必要とする支援の程度に応じて、その家族や市職員による移送の他、専用の福祉車両が必要な場合には、可能な範囲で福祉避難所の協力を得ながら対応をする。
 さらに、福祉避難所での受入れが難しい場合には、近隣自治体と協議して対応したい。

市長答弁概要

Q:医療的ケア児など、在宅医療を必要としている方は、自助の観点では3日間の準備が必要とされている。医療機器などには電源が必要だが、停電への備えのためのポータブル電源等購入費用の補助金制度を創設し支援すべき。

A(市長):在宅で医療機器を利用されている方には、災害時の電源確保は重要な課題である。課題について、先進自治体の取り組み事例など調査研究をする。

 在宅で人工呼吸器等の医療機器を利用されている方にとって、災害時の電源確保は重要な課題である。
 提案いただいた独自の補助制度の創設や、本市の日常生活用具給付事業の対象品目に加えるなど、機器の購入に係る対応の他、関連する諸課題について、まずは、先進自治体の取り組み事例など調査研究に取り組みたい。

市長答弁概要

Q:避難行動要支援者が福祉避難所に避難した際に、間違いのない対応が受けられよう、緊急時ショートステイ事業のような事前登録を行い、情報の共有ができるようにすべき。

A(市長):受け入れ施設の確保、受け入れに伴う人的確保など課題が多くあるので、引き続き、市内の障害福祉事業者と協議を深める。

 本市では、6法人13施設と福祉避難所の協定を締結しているが、その中で、障がい児者の受け入れが可能なのは1法人2施設であり、市としても受け入れ施設の拡充が課題と捉え、令和5(2023)年2月に市内の障害福祉事業所の代表と懇談を行った。
 懇談では、障害の特性も様々であり、事前に体験利用されていない方の受け入れは難しく、全ての方を受け入れるのは難しいなどの意見をいただいている。
 また、医療行為を必要とする方は、主治医の指示書が無ければ適切な支援を行うことはできないとのご指摘も頂いた。
 この件については、受け入れ施設の確保、受け入れに伴う人的確保など課題が多くあるので、引き続き市内の障害福祉事業者と協議を深める。

市長答弁概要

Q:要支援者、福祉避難所及び関係者で「要支援者避難支援演習」を行い、対応や連携、資機材の過不足など、課題の整理を行うべき。

A(市長):市関係部署連携の上、場合によっては地域の方々に協力を頂きながら、実施を検討したい。

 毎年6月頃に市内で防災訓練を実施しており、その際、町内会などの協力を得ながら地域住民の方々に訓練の参加を頂いているが、避難行動要支援者の方々の参加はあまり見受けられないことから、有事の際にとるべき行動について要支援者の避難支援演習を行うことは、支援を行う側にとっても、支援を受ける側にとっても有意義である。
 まずは要支援者の方が必要とする支援の程度などにより避難者の受入れの流れや手順を確認するなどの演習の実施に向けて、市関係部署連携の上、場合によっては地域の方々に協力を頂きながら、実施を検討したい。

市長答弁概要

Q:デマンドバス事業者と、災害時・緊急時の人員輸送の協定を結び、避難行動要支援者などの移動を支援すべき。

A(市長):移動支援は想定はしていないが、災害時等の移動手段としてのデマンド交通事業者との協定の可能性は、今後調査研究する。

 避難行動要支援者の災害時等の避難のための移動については、避難支援を行う支援者や障がいの程度などの情報をまとめた個別計画に委ねられているものと捉えており、避難支援を行う方を中心とした支援が基本であると考えております。
 そのため、デマンド交通による避難行動要支援者の移動支援については想定していないところですが、災害時等の移動手段としてのデマンド交通事業者との協定の可能性については、今後調査研究して参りたいと考えております。

市長答弁概要

◇ まとめ

 医療的ケア児の保護者からの相談にあった「個別避難計画の策定」は、防災対策上の大きな課題です。
 一般質問に続いて、新年度予算の審査の中でも取組を重ねて確認しています。

 その後に、こんな記事を見つけました。

 今年度の中で、いろいろな課題が出てくると思います。

 県の支援が欲しいことを、3月22日(水)に宮城県議会の大震災復興調査特別委員会が来訪したとき、個別避難計画作成への県の支援することを意見として述べました。

 議論しながら課題を整理し、場合によっては国や県に対しても強く要望していきたいです。

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