見出し画像

受験国語 随筆文「作法」

「小説文」作者が虚構の世界を作り出し、心情表現する。
「論説文」話題に関して結論を論理的に説明する。


「随筆文」作者の体験や見聞に対し、感想を述べる。

構造は、出来事→感想→出来事→感想→のくり返し。日記のようなものに近い。どこが感想でどこが出来事なのかを読みとる。

必ず本文を読む前に、問題を確かめる。何を聞かれているのかを知ることで、効率よく点を取ろう。

問題

問一 ____①それとは何か答えなさい。

問二 ▢アイウエに、次の接続詞を入れなさい。
   そこで さて たとえば また
   ア
   イ
   ウ
   エ

問三 パリ高官初め、全員、フィンガーボールの水を飲んだのは、なぜですか。20字以内で答えなさい。

本文

 茶道を極めようとするにしたがって、不愉快なことを経験するようになった。
 ア▢、由緒ある禅寺で、お点前が始まっているのに、茶道会の地位のある方が、上座に割り込んで、全員が下座にずれなければならなかったりする。
 イ▢、ある茶会では、結婚指輪を外し忘れた女性が、ご亭主に、師もろとも激しく叱責された。
 ウ▢、作法を考える時、いつも思い出すエピソードがある。
 日本が高度成長期の頃、日本企業のパリ支店長が、政府に招かれてフルコースのテーブルについた。皆が、主客が口をつけるのを待っている。困り果てた支店長は、フィンガーボールを飲んでしまった。一瞬その場が凍りついたが、パリ高官初め、全員フィンガーボールの水を飲み、和やかに談笑が始まった。
 エ▢、私は、作法というものは気遣いであり、①それこそが「茶の心」だと思っている。
                             題<作法>
※お点前(てまえ)→茶道で、お茶をたてて出すこと 
※上座(かみざ)→上の身分の人が座るところ 
※下座(しもざ)→上座の反対 
※ご亭主→茶会を主催してお茶を点てる人 
※もろとも→一緒に 
※叱責(しっせき)  
※フィンガーボール→指先を洗う大きめのグラス 
※気遣い(きづかい)
※茶席では、お道具に傷をつけないように、指輪は外しておくのが礼儀


解答

問一 ____①それとは何か答えなさい。

気遣い

指示語「それ」がでたら、解答は直前にあるのでしたね。また、「それ」は代名詞ですから、解答を「それ」にあてはめてピッタリなら正解です。


問二 ▢アイウエに、次の接続詞を入れなさい。
   そこで さて たとえば また

ア たとえば お茶会で不愉快な経験をした例が書いてある冒頭。
   
イ また お茶会でのふたつめの例が書いてある冒頭。
   
ウ さて 話が別のエピソード(できごと)に切り替わる冒頭。
   
エ そこで 結果をのべる段落の冒頭。

問三 パリ高官初め、全員、フィンガーボールの水を飲んだのは、なぜですか。20字以内で答えなさい。

<模範解答例>
「なぜ」ときかれたら、「~から」と答える。

支店長が恥をかかぬよう、気遣ったから。
支店長が恥をかかないよう、気遣ったから。
支店長に恥をかかせぬよう、気遣ったから。

フランス料理の作法通りに、その席にいたフランス人たちがナプキンを取り
フィンガーボールで手を洗ったら、支店長は恥をかいたと思い、気まずく話も和やかに進まなくなることでしょう。
茶会の場面でも「遅れてきて割り込み、下座へ皆を座り直させる」ことは、相手に恥をかかせることになります。「あなた達より、私が偉い」という意味ですから。
指輪の外し忘れも、茶席にいる全員の前で先生まで一緒に叱るというのは、大恥をかかせることです。小声で「お外しになるのを忘れていらっしゃいますよ。」と言えばすむことです。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?