介護現場をかき乱すお局ナースたち

先日、居室にておやつと水分の介助をしていたところ、医務の看護師が検温に来て、その際に介助の仕方について文句をつけられたことがあった。
 問題なのは、そのナースの主張が正しいか否かではない。問題なのは、「看護師が介護のことに関して口を挟んできたこと」自体が問題なのである。

ナースから見れば、自分たちはケアの専門家で、いろいろと口をはさみたくなる気持ちがあるのだろうし、おせっかいを焼きたいのだろう。
 しかしケアの専門家というのであれば、介護の方にしても同じであり、むしろ介護職のほうが専門家ではないだろうか? ちなみにわたしは、介護福祉士も正看護師の免許も持っている。もちろん看護教育の厳しさも知っている。
 お互いがお互いを資格職として、きちんと尊重できているのであれば、そうした軽率な行動をナースも取らないと思うのだが、どうだろうか? おそらく看護師のなかには、介護を小ばかにしているところが、心のどこかにあるのではないか?

ユニット型特養では、よく知られているとおり、現場の介護職がすべての業務を並行して進めなければならない。
 ご飯がきたら配膳して、その前にあらかじめエプロンやお茶を準備して、食事を介助して、与薬も絶対に間違いのないように行って、片付けと洗い物をやって、それからトイレ誘導・おむつ交換、口腔ケア、移乗、臥床時のポジショニング、ナースコール・センサー対応、バイタル測定、パソコンで記録をつけたり、利用者の事故や感染者への対応、清掃をしたり……文字通り、すべての業務を一人で、こなさなければならないのだ。
 介護職がこうしたマルチタスク/多重業務をこなさなければならない職場環境は、現場の負担が非常に大きく、極めて問題があるとわたしは感じている。しかし、現にこのような勤務環境のなかで介護職は働かされていて、こっちはなんとか無事にその日一日の仕事を終えたいとも思っている。

こうした勤務環境を知ってか知らないかわからないが、現場にいないナースがふとやってきて、小言をいわれたら、介護職としてはどう思うだろうか?
そういう想像力を少しくらいは働かせてもらいたいものだ。
 最悪、看護師とのくだらない会話に時間をとられたせいで、介護職の注意力が奪われてしまい、十分に見守りが行えなかった結果として、ほかの入居者が転んだり、危険行動を行ったりして、大きな事故に発展する可能性さえあるのだ。冗談抜きで。

あらためて言うまでもないが、そもそも現場に身をおいていないナースは、介護のことに口を挟むべきではないし、その資格もないと思っている。
 それでは、お互いが不満を持っていたとしても、会話をせずに黙っているのがいいかというと、それもまた違うと思っている。
 まずは、介護と看護、隣接する他職種が腹をわって、日頃から抱えてる不満を吐き出して相互に伝え合うような場をつくるべきではないだろうか? そうしたミーティングを定期的にかならず開催すべきだと思っている。そうすることで、お互いの不満や苛立ちを解消することにもつながるし、施設の利用者へのケアを改善することにもつながると思う。

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