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ふたたび、派遣介護士にもどりました

以前、不眠症になって医者にかかり、そこで睡眠薬をだされて薬漬けにされていた。医者も医療も信用しないおれは、自分の意志で生活を全体から変えていこうとした。同時に、薬も少しずつ減らしていき、きっぱりと断薬したのが、ちょうど一年前の今頃のことだった。

それから介護の仕事に復帰したのだが、この一年で4回も職場を変わっている。最初のころは仕事のストレスからか、夜はほとんどまったく眠れた気がしなかった。夜中にずっと意識がある、というのはこの世でもっとも恐ろしいことの一つだと思う。
 いまでは、当時よりはるかに睡眠は改善したが、それでも中途覚醒は日常茶飯事で、夜中に2〜3回は目が覚める。

おれにとっては、夜はぐっすり眠りたいわけだから、働いたとしても睡眠への影響を最小限にしたいし、生活リズムが乱れるような職場は避けたいと思っていた。そうしてまた新しい職場に来たのだが、いいかげん職場を転々とすることにちょっと疲れてきているというのは感じている。
 こんどの職場は有料老人ホームで、3フロアあり、合計で70〜80名もの入居者がいてその顔と名前を覚える必要があるらしい。これまでにも、とても覚えられそうにないと思ったことはあったが、だいたい2〜3週間あればだいたい覚えることはできたと思う。
 施設によっては、車椅子にその人の氏名やADL情報が書かれたカードが付いていることもあり、そういうものがあると新人職員にとって助かるのだが、今回の施設はそういう配慮もないらしい。一人ひとりの介護職員をみると、優しい人も多いのだが、これが施設全体になると、途端に冷淡に見えたりするところが不思議なものです。

介護現場で、新人はどんなに経験があったとしても、まるで一から分からないという環境のなかでスタートすることになる。まず、その施設の構造とか独自ルール、はては人間関係における空気の読み方にいたるまで。次に、入居者の情報も憶えていかなければならない。そういった事柄を、新人はまるで弾丸のように情報を頭に叩き込んでいくことになる。
 なにしろ、一週間前はユニット型特養で働いていたのだ。そしていまは、まったくべつの世界にきたみたいだ。
 入居者のことを知らなくても、介護職がやることにたいして変わりがない。しかし、入居者のことを知らないと困るものがあり、たとえば薬を間違えて与えてしまう服薬事故とか、食事や水分をまちがえて配膳してしまうこと、麻痺の有無とかその人の身体と精神状況などがある。

派遣で働くのは、常勤よりもずっと気楽な面はある。しかし、いつまでも派遣を続けることに対して疑問はつねにある。
 まえにニュースで見かけた記事なのだが、介護派遣の大半は、3ヶ月とか半年で辞めていくということらしい。同一の職場で、派遣職員が一年以上つづくというのは少数なのだ。もっとも、それだけ派遣期間が短く区切られているからで、べつに派遣職員がわるいわけではないのだが。
 あと、派遣で働いてうっとうしい文句の一つに、「派遣さんは即戦力だから」というのがある。当たり前だが、派遣だから短期間で覚えられるということはないし、学習能力に差はないわけなんだが。
 以前、常勤で働いていた施設では、さんざんダメな派遣職員を目の当たりにしてきた。数日で来なくなってしまった人も珍しくなかったし、遅刻や欠勤の常習犯もいた。ひどいケースになると、夜勤中に派遣職員が休憩に行ったまま戻ってこない(そのまま帰ってしまい、二度と戻らなかった)という話も聞いた。
 その多くは、介護技術以前の問題で、マナーや人間性の問題のように思えた。そういう人たちの存在が、派遣のイメージを悪くしてるというのはよく分かるのだ。

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