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現代アート小説 キタタミ

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現代アート小説 キタタミ #1「逃亡編」

現代アート小説 キタタミ #1「逃亡編」

キタタミ

 真夜中に、キタタミがコトコトと動き出した。
「どこに行ってしまうの?」、ぼくはベッドから飛び起きて、キタタミを追いかけた。「ここが、君のおうちじゃないか」

「イシガミさんのところに帰るのさ」、キタタミは固まった表情で、そう言った。
「何が不満なの?」
 ぼくは、とても悲しかった。毎日ピカピカに磨いて、穴の中をこちょこちょしたり、一緒にひっくり返って、笑ったりしたじゃないか。

 ぼ

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現代アート小説 キタタミ   #2「デビュー編」

現代アート小説 キタタミ #2「デビュー編」

キタタミ

 あの子が、この部屋にやって来たのは、どれくらい前のことだったのかしら?  まるで自分の娘のようで、毎日、座ったり、飛び越えたりして、気持ちが通じあっていたような気がする。

 それなのに、だんだん気持ちが遠ざかってしまった。あの子にも、俗にいう思春期が訪れたっていうことなのかしら?

「ねえ、あなたの夢って何なの?」、私は、キタタミの気持ちを刺激しないように、そっと聞いた。「将来、こ

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現代アート小説 キタタミ   #3「キタタミ編」

現代アート小説 キタタミ #3「キタタミ編」

キタタミ

「イシガミさんが金沢の石畳を歩いているとき、木のかたまりと石畳が頭の中でぶつかって、キタタミが生まれたのさ」、ネコが言った。
「ひょえ~」、男の子は言った。「ねえ、そのとき、どんな音がしたの?」

「パチンって,はじける音が響いたのさ」、ネコは言った。「そう、その一瞬、頭と宇宙がつながったのさ」
「ひょえ~」、男の子は、空を見上げた。

 ネコは、スギのキタタミの上で丸まっていた。やっ

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