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ミネルバの梟(ふくろう)

今日のおすすめの一冊は、面白法人カヤックCEO、柳澤大輔氏の『リビング・シフト 面白法人カヤックが考える未来』(KADOKAWA)です。ブログも同名の「リビング・シフト」で書きました。
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本書の文中にヘーゲルの「世界は螺旋(らせん)的に発展する」という言葉がありました。ヘーゲルには「ミネルバの梟」という私の大好きな話があります。これは、フィルムのデジタル化の中で、不死鳥のようによみがえった富士フイルム復活物語の中でも語られた話です。それは次のようなものです。

デジタルカメラを世界で最初に開発し、「フィルムの巨人」として君臨していたコダックが2012年に経営破綻した。片や、富士フィルムは、売上の6割、利益の3分の2を占めていたカラーフィルムを捨て、医療や化粧品、情報など、「総合ヘルスケア企業」に生まれ変わり、2015年3月期の最終利益は46.4%増の1185億円と、過去最高となった。
2006年4月に開所した富士フィルム先進研究所には、一つのシンボルがある。それが、「ミネルバ」という女神と梟(ふくろう)だ。哲学者ヘーゲルは『法の哲学』の序文で、『ミネルバの梟は黄昏(たそがれ)に飛び立つ』という有名な言葉を記している。
ローマ神話の女神ミネルバは、技術や戦の神であり、知性の擬人化と見なされた。梟はこの女神の聖鳥である。一つの文明、一つの時代が終わるとき、ミネルバは梟を飛ばした。それまでの時代がどういう世界であったのか、どうして終わってしまったのか、梟の大きな目で見させて総括させたのだ。そして、その時代はこういう時代だったから、次の時代はこういうふうに備えよう、と考えた。(魂の経営/東洋経済新報社)より

黄昏(たそがれ)とは薄暗くなった夕暮れどきです。盛りが過ぎ、勢いが衰えたころ、という意味でもあります。時代が終わりを告げる頃に、梟を飛び立たせ、世の中がどうなっているのかを女神のミネルバは見たということです。つまりその黄昏時とは、その時代において当然のこととして考えられていた常識や価値観が劇的にひっくり返り、変化するという「パラダイムシフト」が起こっている、まさに、この今のことをさしているのかもしれません。

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