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人間から何を取ったら人間でなくなるか
今日のおすすめの一冊は、藤尾秀昭氏の『小さな修養論 5』(致知出版社)です。その中から「稲盛和夫に学ぶ人間学」という題でブログを書きました。
本書の中に「人間から何を取ったら人間でなくなるか」という渡部昇一先生の心に響く一節がありました。
「ゾウから鼻を取ったらゾウでなくなる。 キリンから首を取ったらキリンでなくなる。 では、人間から何を取ったら人間でなくなるか」
渡部昇一先生は生前、上智大学の教え子たちによくこういう質問をさ れたという。 味わい深い質問である。あなたなら何と答えるだろうか。 渡部先生がどういう回答をされたのかは知らないが、筆者はそれを 「心」だと考える。
詩人、坂村真民さんに「こころ」と題する詩がある。
こころを持って生まれてきた
これほど尊いものがあろうか
そしてこのこころを悪く使う
これほど相すまぬことがあろうか
その通りだろう。心があるから、世界があり、宇宙があるのである。 嬉しい、楽しい、幸せだという感情も、心があるからであり、心がなければ一切がなくなる。 心を持って生まれてきた、これほど尊いものはない。
しかし、その心を悪く使ってしまう。これほど相すまぬことはない、と真民さんはいう。 その通りである。なぜ素晴らしい心を悪く使うのか。それは心は放っておくと雑草が生えるようにできているからである。 私たちはたえず目を見開いて、心に生える雑草を抜き去り、心が本来の働きをするよう心の手入れを怠ってはいけない。
放っておけば雑草が生え、荒野と化してしまう心をたえず溌剌とした状態に保っておくために、心の手入れをすることを修養というのである。 その意味では修養の精神こそ人間から取ったら人間でなくなるものの最たるものだといえるかもしれない。
「人間から何を取ったら人間でなくなるか」という質問の答えとして、「魂」という回答もできると思います。
小林正観さんは「魂」についてこう言います。
「魂」は生まれ変わりを重ねながら成長していきますが、「魂」が成長できるのは、「肉体を持ったときだけ」のようです。なぜか。「魂」だけで過ごしているときは、「事件」が起きないからです。
輪廻転生という生まれ変わりの理論からすると、魂は人間という肉体を持った時だけ成長できるといいます。肉体を持った途端、病気や、人間関係や、事故や、仕事上のトラブル等々、様々な困難が押し寄せてきます。
そして、その困難やトラブルを乗り越えたときだけ、人は成長できるということです。そのために必要なのが、人間修養。困難やトラブルを自分の磨き砂として、自分を高めていきたいと思います。
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