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東大生の就職への考え方の変化

本日のおすすめの一冊は、植田統(おさむ)氏の『2040年「仕事とキャリア」年表』(三笠書房)です。その中から『「プロフェッショナル」マインドへ』という題でブログを書きました。

本書の中に『東大生の就職への考え方の変化』という興味深い一文がありました。

《東大生の「外銀・外コン」志向は、他大学にも広がる》

21年8月の「東大新聞オンライン」には、「東大工学部の年収と就職。メーカーが主流も、一部は外銀・外コンや受託開発で稼ぐ?」という記事が載っていました。高給を支払う外銀(外資系投資銀行)、外コンを超える卒業後の進路として、起業やフリーランスの選択肢までが紹介されていたのです。 

その記事には、AIの受託開発のPKSHA Technology (パークシャテクノロジー) を創業した上野山勝也氏のことが紹介されていました。上野山氏の経歴は、

「東京大学大学院工学系研究科修了後の2007年、新卒でボストンコンサルティンググループに入社。約4年間、コンサルタントとしてビジネス・インテグレーション等のプロジェクトに携わった後、米国にてグリー・インターナショナルの立ち上げに参画。

その後、東京大学に復学し、松尾豊特任准教授の研究室にて機械学習を学び、工学博士号取得。2012年、PKSHA Technologyを創業し、機械学習、言語解析技術を用いたアルゴリズムソリューションを大企業向けに提供している」 

というもので、東大生のあこがれる経歴そのものです。 外コン→米国(シリコンバレー)経験→東大博士号取得→起業という絵に描いたようなもので、資産数百億円を築いた人です。 

さらに、その記事では、ここまでいかないが、東大工学部出身者で、受託開発で月収数百万円を稼ぐ人がざらにいるというのも紹介されています。自分のスキルだけで、受託開発を請け負って稼ぐフリーランスですが、こんなに稼げるのです。 

以上が東大生の就職への考え方の変化ですが、こうした流れは他の大学へも急速に 広がっていくものと思います。 

大学生や大学院生は、有名大企業が決して安定した職場ではないと思っています。今やホンダやパナソニックのような就職人気上位の会社が大規模な早期退職を募集している時代です。30年、40年の自分のキャリアを会社に託せないことを知っているのです。 

それなら、年功序列ではなく若い人にもチャンスを与えてくれ、今高い給与を支払ってくれ、自分のスキルと能力を活かせ、さらに、それを高めてくれる可能性のある会社に就職したほうが得だと感じているのです。 

優秀な学生、やる気のある学生は外銀・外コンへ、もっと優秀で自分で起業できるスキルを持つ学生は、起業に踏み切るかフリーランスとなる――。 これが学生のあこがれる就職のトレンドなのです。

これは、現在の東大生の就職傾向だ。大企業は魅力ある職場として選択しない、というのが先を読んでいる東大生の考え方。これは、急速に他の大学生にも広がっていくだろう。つまり、企業もこの傾向に対処しないと、早晩優秀な学生が入らなくなるということになる。

逆にいうなら、若い優秀な学生がこういう傾向なら、30年間負けっぱなしだった日本企業の退潮にも、歯止めがかかるかもしれない。

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