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一期一度

今日のおすすめの一冊は、出口治明氏の『人生の教養が身につく名言集』(三笠書房)です。その中から「若者の言葉に耳を傾ける」という題でブログを書きました。

本書の中に「一期一度」という心に響く一節がありました。

「一期一会」という言葉は、茶道の茶会に由来するものです。 この言葉自体は、幕末の名大老、井伊直弼(反対勢力を大局観から弾圧した安政の大獄で恨みを買い、桜田門外で暗殺された)が書いた『茶湯一会集』に出てくる言葉です。
ただ、これには元になる言葉があって、それは千利休の高弟・山上宗二 (やまのうえそうじ)が言った「一期一度」にあるとされています。 意味は、今、目の前にいるお客様をお迎えしているこの茶会は、一生に一度のこと と心得て、心を尽くし、真剣な思いで相手に対すべきであると。
海外旅行も、同じだと私は考えます。 「時間はいくらでもあるのだから、次の機会でいい」とついつい思ってしまいがちですが、実際は、そうした機会を再び持つことは難しい。その景色も、その品物も、今 を逃すと、じつは二度と会えない可能性のほうが大きいのです。 だから、一生に一度の機会と思って、ちょっとでも心が動いたら行ってみる。 ちょっとでも心が動いたら買ってみる。もちろん、買うと言っても、宝石など、も のすごく高いものは別ですが......。
「迷ったら行く。迷ったら買う」は、仲間たちと一緒に海外旅行に行ったときにも、 よく言っています。とくに、「迷ったら買う」は奥様方にはとても好評です。 「どうせ帰国したら捨てるんだから、やめなさい」というご主人に、奥様は「でも、 出口さんは、迷ったら買うと言っているし。せっかくだから買いましょうよ」で対抗 します。ご主人たちからは、「余計なことを言って......」と思われているかもしれま せんが。
ただし、私は日本では、「迷ったら行かない、迷ったら買わない」派です。迷うく らいなら、行かないほうがいいし、買わないほうがいい。とくに買いものでは、いつでも買えるわけですから。そういうスタンスで、とりあえず、旅先と日常とでは、メ リハリをつけています。
ちなみに、先述の山上宗二の「一期一度」の言葉が出てくるのは、彼が師匠である 利休の教えをつづった『山上宗二記』という本です。つまり、「一期一会」は、千利休の考え方でもあったわけです。 山上宗二も、師匠の千利休と同じく、茶の湯における己の道を貫いたがゆえに、時の天下人、豊臣秀吉の怒りを買い、処刑されてしまいます。
それはさておき、「一期一会」という言葉は、海外旅行に限らず私のすべての行動の指針となっています。頂いたメールやDMになるべく返事をするようにしているの も、講演会のあと、飲み会に誘われたら都合のつく限り参加するようにしているのも、 それこそ心の底から「一期一会」だと思っているからです。

森信三先生の教えに「人生二度なし」があります。森先生は、この「人生二度なし」という事実は、誰にとっても一人の例外もない真理だといいます。人間は死を意識したときに、たった一度きりの人生だったことに気づきます。人生は終わりがあるのだ、ということを。

「あなたが空しく生きた今日は、昨日死んでいった者があれほど生きたいと願った明日」という言葉があります。だからこそ、「一期一度」であり「人生二度なし」なのだと思うのです。目の前の一瞬一瞬を大事に、日々過ごしたいと思うのです。

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