見出し画像

偶然から学び、可動域を広げる

今日のおすすめの一冊は、齋藤孝氏の『可動域を広げよ』(日経プレミアシリーズ)です。その中から「可動域の広い人」という題でブログを書きました。

本書の中に「偶然から学び、可動域を広げる」という興味深い一節がありました。

かつて「書を捨てよ、町へ出よう」と説いたのは、劇作家の寺山修司でした。 ネットをはじめ、新聞やテレビで情報を得るのもいいですが、さまざまな実体験はより脳に刺激を与えてくれます。

日常生活や仕事でもそれは得られますが、もっと刺激的な体験といえば旅行でしょう。 「知らなかった土地に出かけて見聞を広げることは、それだけでワクワクします。旅をさらにおもしろくするなら、偶然性を求めることです。 ツアーに参加して観光名所をざっと見る旅もいいですが、それだけではもったいない。

ニー チェも『ツァラトゥストラ』の中で、「偶然とは創造性の源だから、それを妨げてはいけない」 と説いています。そこから世界が一気に広がることもあるというのが、いわゆる「セレンディ ピティ」の考え方です。

言い換えるなら、可動域を広げる手軽な方法は、自分の身に降りかかる偶然を活かすことです。たまたま見かけて興味を持ち、調べてみたらおもしろかったとか、たまたま入った店で勧められた地元の食材を食べてみたらハマったとか、誰でも少なからず記憶にあると思います。これが「町へ出よう」の意味でしょう。 

これは、恋愛についても言えます。私は長く若者たちの恋愛事情を見てきた結果、ある傾 向に気づきました。男性は恋愛を通じて相手から学ぶ姿勢が乏しく、逆に女性は大いに学ぼ うとするのです。 

女性の場合、相手の男性の趣味や得意分野を吸収し、仮に別れてもそれを維持する傾向があります。例えば男性がジャズを好んで聴いていたら、いつの間にか自身もジャズ好きになっていたりします。 

むしろ、そういうことを目的として、つき合う男性を次々と変えるという女性もいるようです。その男性から吸収し尽くして、あまり刺激がなくなったら別の男性を探す。つまり恋愛を重ねるたびに、世界をどんどん広げているわけです。 

やがてその女性は非常に幅広く趣味や教養を身につけることになります。男性にとっては キツい相手ですが、こういう姿勢自体は少し学んだほうがいいかもしれません。

もともと女性のほうが、文化的な関心は高いと思います。女性から、例えば最近流行の ファッションを聞き出したり、旅行やイベントに連れ出してもらったり、人気スポットを一 緒に巡ったりする機会があってもいいはずです。 

それができないと、男女の教養格差・趣味格差が歳を重ねるごとに開いていく恐れがあります。その挙げ句、無趣味・無教養のおじさんに仕上がってしまいます。そうなる前に、つき合っている女性や奥さんの話を面倒くさがらず、もう少し聞く耳を持ってもいいのではな いでしょうか。

特に男性は、会社を定年で辞めると、無趣味・無教養のおじさんになりがちです。会社一筋できて、会社に在籍している間、一般社会との接点を持たない人が多いからです。コロナ禍が過ぎ(また盛り返してきてしまいましたが)、現在は、無料のSNS勉強会も多くあります。

しかし、少しずつ男性の姿も増えているとはいうものの、その手の勉強会に参加している人の大半は女性、というのが多くみられる現状です。

男女をとわず、年齢を重ねれば重ねるほど大事なのが、新しいものに対する好奇心です。しかし、やっかいなことに、年齢が高くなると知っていることが増え、それに反比例して好奇心が薄れてしまうのです。特に、新しい物やことへの関心が低下してしまうようです。

新しいことへの関心は、未来に対する好奇心でもあります。「老いるということはアップデートしていないこと」だと言いますが、同時に「未来への関心を失うこと」でもあり「可動域が狭くなること」でもあります。

そうならないために必要なのが、幅広い年齢層や性別を越えた越えた人間関係です。いくつになっても、「可動域を広げよ」という言葉を胸に刻みたいと思います

今日のブログはこちらから☞人の心に灯をともす


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?