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「ここがおちつくんです」と誰もが安心できる「すみっコぐらし」的暮らしのススメ

 SDGsが採択された2015年よりも3年前の2012年、サンエックスから誕生したキャラクター「すみっコぐらし」はSDGsの先駆者だ。
 訳ありのキャラたちがそれぞれ秘密や悩み、コンプレックスを抱えたまま、すみっこに集まり、共に暮らしている。例えば、寒がりの「しろくま」は寒さから逃れるため、氷の島から「ふろしき」という相棒と共にすみっこにやって来た。「とんかつ」や「えびふらいのしっぽ」、「たぴおか」は食べ残されてしまった悲しい存在。「とかげ」は実は恐竜だけど、バレると捕まってしまうため、とかげになりすまして生きている。とかげと仲良しの「にせつむり」も本当はなめくじだけど、殻を背負ってかたつむりのフリをして生きている。ネガティブな性格で落ちこぼれキャラが多い中、「ざっそう」や「あじふらいのしっぽ」はポジティブで、自身の存在を肯定的に捉えている。
 動物に限らず、食べ残された物や植物など様々な存在を寄せ集めた上で、本来なら廃棄されてしまう物たちも魅力的なキャラに変えてしまった「すみっコぐらし」はまさに持続可能な社会の模範と言える。
 サンリオのハローキティのように、すみっコぐらしのキャラたちもシンプルに描かれ、表情の変化が多くないため、キャラを愛でる側の私たちの心に寄り添ってくれる。表情が豊かでないシンプルなキャラほど、都合良く心情に合う(気になれる)。
 キティも含めて、多くの人気キャラたちは女の子向け、男の子向けに分かれがちだが、すみっコたちはジェンダーレスだ。それぞれのキャラ自体の性別がはっきりせず、見た目でも男女の区別はつけ難い。そのおかげですみっコぐらしのキャラに関しては、性別に関係なく人気だ。さらにキャラクター商品というのは子ども向けの場合が多いが、すみっコは性別のみならず、大人にも人気で支持層が広いのが特徴である。性差も世代も越えている点で、すべての人に平等で寛容な存在と言えるだろう。
 どんなちっぽけな存在にも、背景や人生があり、それを決して蔑ろにせず、分かち合える相棒や友だちという存在をあてがい、共に暮らすというすみっコぐらしこそ、私たちが目指すべき理想の世界だ。すみっコぐらしの小さな世界を知ることこそ、より良い社会を築くための視野を広げる第一歩につながる。ミニマムなすみっコワールドから、地球上に住むすべての人や生き物たちが落ち着ける居場所を見出すことが、未来のためにできることではないか。

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