大切な人が被災したときに
昨日、一冊の本が届いた。
送り主は熊本県に住んでいる写真家でありライターの大塚淑子さん。
(名前の読み方がわからないので、私は勝手に脳内でシュクコさんと読んでいたが、instagramのアカウントをみるとyoshikoと書いてあった)
彼女の撮るフィルム写真もいつも目にしているし、以前にも大塚さんは撮影した写真を使ったステッカーを送ってくれたことがあったが、彼女がどういう人なのか会ったこともないし、実はあまり知らなかった。
今回、届いた本にも手紙が添えられていた。
届いた本は2022年2月の熊本・人吉での水害の記録したものらしい。
『The book about how to help your loved one who has been impacted by a natural disaster / 大切な人が被災したときに、自分にできることが見つかる本』というタイトル。
ページを開いてみると、いわゆる自治体が配っているような防災本では全くない。
それはタイトルからみてもわかると思う。
人物のポートレートや災害現場のカラー写真がふんだんに使われていて、なおかつ文字がカラフルに編集されていて、とても読みやすい。
ちょっとした雑誌というか、ZINEのような感じ。
紙質のせいか、昔あった雑誌「Relax」みたいな感じさえある。
途中、唐突に見開きで真っ黒なページが現れて、「ああこれは災害に直面した人たちが編集した本だった」と思い返させるが、それでも前向きにつくられている感じが伝わってくる。
文体や編集がいい本だなと思った。
奥付けを見てみたら、文章や編集を担当したのは送り主の大塚さんだった。
写真もとても素晴らしいのに編集までされるとは、多才な方なんだなあと思った。
それで、何が言いたいかというと、おしゃれなデザインとか写真とかは実は自分のなかではあまり重要ではなくて(結果的に重要になってくるんだけど)、とにかく思ったのはこの本はとても機能性があり、意味のある本だということ。
日本は面積の割にかなり災害が多い。
たとえばwikipediaで「日本」と調べてみると、概要にこんなことが書いてある。
「日本は安全で食べ物が安くて住みやすい」とよく耳にするが、それはある側面なだけで、こんなに災害が多いのになぜこの島国に人々は住み続けているのだろう、と私は思うことがある。
そういえば昨年、ウクライナ東部のハルキウにいたときだったか、キーウにいたときだったか、日本で大きな地震が東北で発生して、地球に安全な場所なんてあるのかなと思った。
災害は日本各地で起きる可能性があり、そういう意味ではこの本の機能としては、熊本に住む人だけではなく、日本各地の人が読むべきだし、なにより再現性があるので、とても意味がある。地域の特性もあるだろうけれど、それは誤差みたいに思える程度かもしれない。
それに比べて災害に直面したときに誰しもが抱える葛藤や、救いを見出す方法など、とても普遍性のあることだと思ったし、いざという時のために読んでおいた方がいいなと思った。
部屋に一冊あったらいい本。
こういうものを作る運動が全国に広がればいいなあと勝手に思う。
実はどこで入手できるのかわかっていないんですが、オフィシャルサイトがあったのでリンク貼っておきます。
大塚さん、ありがとうございました。
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