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速報 保育ニーズの最新動向【令和6年4月保育所等関連状況取りまとめ】

みなさん、いつもご愛読ありがとうございます。
カタグルマの大嶽です。

セミナー情報以外のnoteの更新頻度がすっかり少なくなってしまいました。。

久しぶりに保育業界の市場動向について述べたいと思います。


毎年こども家庭庁がこの時期に発表する「保育所等関連状況取りまとめ」の令和6年度版が先日発表になりました。

https://www.cfa.go.jp/policies/hoiku/torimatome/r6

15年以上もこのレポートをチェックしてきましたが、保育市場の動向を掴む上では、とても分かりやすい内容なので、今年度のポイントをお伝えしたいと思います。

概要版も出てるので、こちらもチェックを。

https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/4ddf7d00-3f9a-4435-93a4-8e6c204db16c/490e7d02/20240830_policies_hoiku_torimatome_r6_06.pdf


あ、あと、少しお堅い文面になりますので、眠くなって離脱しないようにお願いします🤲

▪️待機児童は減少、保留児童は増加

待機児童は今年度も減少しました。
受け皿の拡大と少子化による対象人口の減少が主な理由です。

一方で、除外4類型(特定の保育園等を希望、育休中など)を含む保留児童は+7.5%で増加してます。

少し前に、育休延長のために特定の保育園を希望して不承諾通知をもらう行為が問題となり、その改善が来年度から行われることになりましたが、このような方々も含め、増加しています。

また、待機児童が減り、園によっては空き定員が増加したことで、保護者の「買い手の力」が強まり、人気園に申し込みが集中する傾向も高まっているようです。

▪️供給量は3年ぶりに大幅増の見込み


今年度は見込みで供給量が7万人を超える予定です。一昨年度、昨年度よりも増加することになります。

また、縮小量も昨年と比較して2.3万人ほど減りますので、昨年度は供給量の純減でしたが、今年度は純増となります。

施設類型別に見ると、目立つのは地方単独保育施策(東京都認証など)と企業主導型保育。

実は小規模保育の供給量は未だ増加してます。
これは待機児童が存在するエリアで、認可保育所の新設までの必要性は感じない、投資リスクが高いと判断し、小規模保育で機動的、局所的な対応を求める自治体の意向が表れています。

しかし、地域型保育事業全体では全国でわずか4施設しか昨年比較で増えてませんので、廃園、撤退も相当数あることは確実に言えそうです。

さらに、認可保育所(保育所型認定こども園を含む)は4.1万人も受け皿が減少しています。

これは、認定こども園への移行ももちろん含まれますが、幼保連携型認定こども園の供給量が2.6万人しか増えていないこと、この中には幼稚園からの移行も含まれることから、少なく見積もっても、定員縮小による認可保育所の縮小量は2万人程度になると思われます。

中小都市、特に過疎地域における空き定員の活用方法で最多の施策が「定員縮小」というデータもあることから、これら地域での認可保育所の定員は益々増えることが予想されます。

▪️2歳児の申込者の増加、0・1歳児は減少

この傾向は今年度の大きな特徴ですね。

0歳児の申込数は、出生数の減少と産育休制度の充実などの理由により、ここ数年継続的に申込数が減少しているのは周知の事実です。

一方で、1歳児はコロナの影響で一時的に減りましたが、昨年度は増加に転じました。

それにも関わらず今年度は再度減少に転じています。

この理由も産育休制度の定着して、より長い休暇を希望する保護者が増えていることも影響していますが、それ以上に子どもの数が減っていることが起因していると思われます。

逆に2歳児が増加したことはとても興味深いです。

昨年度よりも約1.6万人も申込が増えています。
そして、過去5年間で最大の数字になりました。

理由は同じく産育休制度の充実でしょう。

よって、既に多くの園が検討していると思いますが、今後はさらに定員の付け替え(年齢ごとの定員変更)を多くの園で考えていかなければならなくなるでしょう。

▪️保育利用率は全年齢で増加

女性の就業率、共働き世帯比率が増加してますので、対象人口は減っているものの、保育所利用率は、すべての学年で増加してます。

昨年度は初めて0歳児の利用率が減少しましたが、今年度は+0.3%ではあるものの、増加に転じてます。

益々対象人口に占める保育施設利用者の割合は高まるでしょうから、1号認定ニーズ、対象者は減っていることになります。


▪️定員充足率の格差が広がる

最後に定員充足率です。

全国平均で見ると、ここ数年毎年1%前後減少してきましたが、今年度は▲0.3%ということで、少し留まった印象です。

都市部と過疎地域で見ると、都市部は昨年対比で現状維持、過疎地域は大きく減少しています。

都道府県別に見ても地域差がかなり出ていますので、市町村別で見てもかなりバラツキが出ていると思われます。

さらに、利用定員ベースなので、定員縮小をした上でのこの結果ですから、利用実態として、特に多くの中小都市や過疎地域の施設で園児の減少が深刻化していることが予想されます。


▪️まとめ

昨年度と比べて、出生数、出生率等を指標とした少子化傾向は益々深刻になっていることで、保育ニーズに大きな影響を及ぼしているのは言うまでもありませんが、一方で、共働き家庭比率や女性就業率はこれまで以上に高まっているため、保育ニーズは最小限の減少で留まっていることが分かります。

また、産育休制度の充実により、入所申込時期が後ろ倒しになっている傾向が見て取れるので、今後は定員規模の適正化に加え、「定員の付け替えによる適正化」も検討が必要になります。

具体的には、

・0歳児の定員を現状から減らし、1、2児クラスの定員を増やすべきなのか?
・その際に適正なクラス編成は組めるのか?
・部屋の変更が必要にならないか?
・保育への支障はないか?

ということですね。

0歳児の期中入園申込が発生する園がほとんどだということを踏まえると、その分を確保しておく選択肢も当然ありますので、慎重な判断が必要です。

さらに、定員の有効活用としては、こども誰でも通園制度やインクルーシブ保育、産前産後ケア等の多機能化は多くの園で検討していると思いますが、人材、マネジメント、収益性、そして、地域ニーズの問題とよく照らし合わせながら、こちらも慎重に検討すべきです。

また、依然として保育ニーズには地域格差が根深く残り、今でも1000人分近い受け皿の拡大をしている自治体もある一方で、統廃合や定員縮小により受け皿を減らす自治体もたくさんあります。

大切なのは、皆さんの地域の実情と保育ニーズ、自治体の意向をしっかり捉えた経営をすることです。

是非参考にしてください。

ではまた。

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