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PANTSにビタミンC?予兆のきざし

 朝晩、洗顔後は儀式のように化粧水や美容液、オイルなど、いろいろ顔にすりすり塗りたくっている。朝と晩とは違うものを使っていて、我ながらオタクな習慣だな、とも思う。

 今日は、朝、いつものように「儀式」をはじめビタミンC配合の美容液を塗っていたときに、イレギュラーなことが起こった。

 容器が鏡台から傾き倒れ、座っていたわたしの太ももに美容液がタラタラと零れていったのだ。美容液はお気に入りのもの。だけど海外から取り寄せているものだから、購入はちょっと面倒。そんな貴重な美容液が顔じゃなくて着ていたPANTSに染み込むなんて!

 PANTSにビタミンC?パンツに栄養与えてどうする?なんて妄想が浮かんでしまった。美容液効果で履いていた黒いパンツが白くなるのかしらん? 

 あり得ない妄想を浮かんでしまうほど、美容液のタラタラはショックだった。容器をすぐに起こしたけれど。零れる速さには勝てなかった。

 気を取り直し、「儀式」を終え(美容液のあとはオイルを塗ったり、まだまだやることがあった)、鏡台の前から立ち上がったとき、太ももだけだと思っていたら、くるぶし辺りまで濡れ染み込んでいた。それだけではなく、パンツを通して足にまで冷たさを感じた。

 足にもビタミンC。これもありかな!

 朝の何気ない行動。意識的にしない「習慣」は「儀式」となって目の前から物が遠ざかる感覚。物は見えているようで見えていない。

 そういえば、容器が倒れる少し前、注意力は散漫だったと思う。頭のなかは考え事でいっぱい。目の前にある美容液はそこに「あって」、「なかった」のかもしれない。容器が倒れてはっと意識が目の前にある『モノ』を『見た』ことになった。

 正確には、容器が倒れそうになっているほんの少し前、秒単位以下の時間かも知れないけれど、予兆みたいなものを感じ取っていた。それは、倒れるという予兆まで意識できたわけではない。

 もどかしいけれど、現実に起こるちょっと先の未来のことを、なんとなくわかるようでわからない。

 予兆といえば、明日 京都市はニュイブランシュが開催される。無鄰菴で「予兆」というタイトルのアート展示がある。それを観に行くことにしている。ずっと前から入場予約をしていたのだった。

 なんとなく、「予兆」のつながりに感覚が研ぎ澄まされるような。PANTSにビタミンCの栄養は、行き渡っているわけではないだろうけれど。私の中に新たな「気づき」という栄養が行き渡ったように思う。



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