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写すのは、愛だ。

去し2022年12月6日〜12月11日に、Foveon展という写真展に出展者として参加しました。

出展した作品には僕なりに色々な想いを詰め込んだので、いつかこの展示を思い出す未来の自分のため、そして何よりもこの写真展に来られなかった方や会場でお話しできなかった方へ残しておきたいと思います。

Foveon展

Foveonセンサーという3層構造の特殊なセンサーを搭載したSIGMA社のカメラで撮影した写真のみの写真展というとてもニッチなものです。

そのセンサーが写し出す文字通り唯一無二の描写に魅せられた(もとい取り憑かれた)36人が参加した大変規模の大きな展示になり、結果的に6日間で700名以上も来場する非常に注目度の高い展示になりました。

そして僕が展示したのはこの2枚です。
キャッチーなタイトルを考えるのが苦手なもので、ストレートにしました。

北海道の草
鹿児島の草

1,このカメラとの馴れ初め

僕が使用したカメラは、SIGMA dp3 Quattroというものです。
レンズ交換式ではない、いわゆるコンパクトデジタルカメラで画角は50mm。APS-Cサイズのセンサーなので35mm判換算で75mmの中望遠レンズです。
元々植物を撮るのも好きで、Foveon好きの先輩方の勧めもありこのカメラを購入しました。


2,何を出展するか

この展示の話が出た時、草を出展するのは決めていました。
しかしテーマとなると難しい。
今思うと、展示というものが初めてということもあり難しく考えすぎていたのかもしれません。
そもそもこのカメラで撮る草が好きで草を撮っていたので、テーマは「草」しか思い浮かばなかったのです。

そこでこのFoveonという枠から少し広げて考えてみました。
初の写真展。
自分としても大切になるようなものを展示したい。
可能な限り米山大夢という人間の多くを詰め込みたい。
そんな風に頭の中を整理して行きました。


3,原点回帰

僕が写真を始めたことにたいそうな理由はありません。

でも初めてカメラを手にしたその日から、今もずっと恋人を撮っています。
いつか忘れてしまうであろう些末な瞬間すら写真に残す中で感じたのは「時間を超えてこの瞬間を未来に残す尊さ」でした。
誰もが忘れてしまうような瞬間も、僕が写すことで僕や恋人はもちろん、誰かの記憶に残ることだってあるかもしれない。
確かにそこに存在したということを証明することができるのです。

そこで思い当たったのは「植物も同じ」ということでした。

そこら中にある植物も、確かに存在しているのに誰の記憶に残ることもないものが多い。
これは事実だと思います。

そう考えてみるとどうでしょうか。
僕の原点でもある恋人を撮るという行為と、一見なんの関係もない植物を撮るという行為に共通項があるような、そんな気がしてきました。

4,北海道と鹿児島

今回展示した写真は2枚。それぞれ北海道と鹿児島で撮影したものです。
北海道は僕の出身地、鹿児島は恋人の出身地です。
僕が子どもの頃よく行っていた場所の草
恋人が子どもの頃よく行っていた場所の草
僕らが出会う遥か前(もちろん当時は見向きもしませんでしたが)、2人がよく訪れた場所に確実に存在し、今に至るまでその規模や色、形を変えながらも脈々と受け継がれてきた草に僕は愛を注がずにはいられないのです。

5,被写体の見方

北海道と鹿児島の2枚植物のサイズに違いがありますが、これは単純に僕らの身体的大きさをそのまま反映したような感じです。

また撮影は僕の目線に合わせて三脚を立てて真俯瞰でおこないました。
もしかしたら真俯瞰というのは写真の暗さも相まって伝わりにくかったかもしれません。しかしこの暗さも僕が撮影した時のリアルな暗さをそのまま残した故なのでどうか多めに見てやってください。
というのも三脚の高さもそうですがこの暗さも、その瞬間を残すという目的がある今回の写真にとって、僕自身が目で見た光景というのはとても大事にしていたことだからです。
そうすることで写真を見返した時に、よりリアルに思い出すことができる。そんな期待をしてしまうのです。

なので恋人を撮る時も、なるべくファインダーを覗いて撮るなんてこともしています。
そうだこの時はこんだけ暗かったな。
ああこの高さからよく見ていたな。
なんて後々強く記憶の引き出しを刺激される気がするのです。

6,最後に

この6日間、写真だけでなくデザインしたフライヤーもたくさん褒めていただきほくほくした気持ちになりました。
忙しい中貴重な時間を割いてお越しいただいた皆様、写真展の企画をしてくれた運営、全面的に展示をサポートしていただいた株式会社シグマの皆様、じゃじゃ馬を乗りこなすサポートを我々に根気強くしていただいた藪崎さん、そして一緒に写真展を盛り上げた仲間に心から感謝を伝えたいです。

ありがとうございました。

米山 大夢

■関連リンク

•Foveon展 主宰 藪崎次郎

•Foveon展 協力 株式会社シグマ

•米山大夢 Twitter


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