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「勉強が嫌いになると困る」という理由で、子どもが勉強をしなくても放置するのは、とてもまずい

「子どもが勉強を嫌がるから」という理由で勉強から離れても、「勉強を好き」な状態になることはありません。

そういう子、というか親がたまにいます。
うちの生徒にはなり得ないので、生徒の保護者ではないのですが。

さりげなくその後のお子さんの様子を伺うと、勉強をしないまま放置した結果、もちろん勉強は好きになっていません。それどころか、苦手意識が増幅して学歴の世界で大成することは諦めざるを得ない状態になっていることがほとんどです。

勉強させすぎで「教育虐待」とか言われる世の中ですが、放置するのは「ネグレクトでしょ」と思います。


「勉強ができないけど勉強が好き」という状態は存在しない

4象限に分けてみました。

勉強しない子の多くは、緑の状態のお子さんなわけですが、一足飛びにオレンジにはいきません。もちろん、放っておいてもオレンジにはいきません。

好きの度合いもよりますが、オレンジの状態の子は多くはいません。少なくとも小学生は、勉強ができる子でも多くの子は青にいます。

ちなみに、ピンクはもっと少ない・・・というか出会ったことがない。社会人ならいるかもしれませんが。
学生時代にしてきたいわゆる学校教育の「勉強」は苦手だけど、社会に出てから新しいことを「学ぶ」のは好き、という人が。

だから、青でいいんです。

世の中にはやりたくないけれど、やらなくてはならないことがあります。多々あります。大人はみんな知っています。
やりたいことだけやって生きている人は、ほんのわずかしかいません。

小学生の「勉強」は、やりたくないこと、苦手なことでも成果を出せる人間になるためのトレーニングです。やりたくないことでもやれる力をつけて、世の中に認められた上で、やりたいことで生きていける人を目指すのです。

勉強は何のためにするのか?

よく親に問われることです。
我が子に「何のために勉強するの?」と聞かれたら、どう答えるか?

どう答えるのが最適解なのかは、別で書くので、ここでは割愛します。
まあ、正直に書いてしまうと、「子どもに何を言っても説得はできない」が行き着くところです。

多くの子は、勉強が必要である理屈を理解したからといって、勉強への意欲は出ません。
そもそも、子どもがこの問いを発する理由は、「勉強から逃げるため」に他なりません。「やる理由を知りたいから」ではないからです。

ここでは親がこの問いを「どう捉えるか」に注目します。

先生に怒られないように、出された課題をするため?
算数とか国語とかのテストでいい点をとるため?
受験に受かるため?
いい会社に就職するため?

どれも部分的には間違っていないけれど、本質ではないと考えます。

勉強の本質

本質は、「自分を成長させるため」です。
だから、勉強から距離を置く親には、「我が子が成長しなくてもいいんですか?」と聞きたい。

ドラクエのような成長系ゲームをやったことがある人なら実感があるでしょう。
楽しいと感じるのはレベルが上がって、魔法を覚えたり、技を覚えて「成長」する瞬間です。または、武器や防具をそろえて強くなる瞬間です。

レベルを上げるために敵を倒す「修行」の時間は、意外と地味で「苦行」です。でも、この「苦行」がないと、楽しさを得られないとわかっているからがんばるわけです。

自分が成長するために、「苦行」をすることに慣れるのが勉強の1つ目の本質です。

もう1つの本質は、「つまらないことを楽しむため」の練習です。

小学生の世界の中で、最もつまらないと思われがちな勉強をおもしろがることができたら、その態度が強みになります。
その子にとって「ふつうのこと」は「楽しいこと」になり、「楽しいこと」は「より楽しいこと」になるでしょう。

そうなると、「算数がどうこう」「漢字がなんたら」などは議論のポイントではないと思いませんか?

勉強が嫌いって何?

私は、子どもの学習において、「勉強」という言葉は使いません。強いる感じになるから。「やらされ学習」=「勉強」という感じがします。

主体的に学んでほしいので、「学習」と言います。
あなた(子ども)があなたを磨くためにするの「学習」というスタンスでいたいからです。

我が子が「勉強が嫌い」になるのを避けたいから、無理に勉強させないという場合、すぐ思いつくパターンがあります。

1つ目は、子どもが逃避したいだけ。
自分がしたいこと、遊びやゲームの妨げになる「勉強」をスルーするために、めんどくさく思ってやらないというケース。勉強が「好き」「嫌い」の次元でない場合が多いです。

この理由で、勉強を回避させてしまうと、嫌なことから逃げる「逃げ癖」がつきます。子どもの成長を邪魔するのが「逃げ癖」というマインドセットです。
だから、絶対避けた方がいいです。
勉強以外でも嫌なことから逃げるようになるからです。
これが、子どもの成長にとっていいことのはずがないです。

そして、子どもは賢いから、「あー、こういう態度を取れば、勉強は回避できるんだな」と学びます。そして、くり返します。

もう1つは、親が「勉強=つまらない」と思っていること。
親の方が、「勉強は苦行だけれど、必要なことだ」と考えているから、強制力が働くわけです。

「勉強して新しいことを学び、成長すること」には、楽しい面もあると親が思っているだけで、嫌いになりにくいです。

だから、絶対やっちゃいけないのは、子どもに対する「忖度」です。ご機嫌をうかがって、「勉強していただく」みたいな構図になるのは最悪です。
「勉強させてあげている」
「したくないなら、しないでいい。その代わり・・・」
くらいのスタンスでいいと思います。

結局、子どもの問題というより、親の問題である場合が多いです。

「勉強したくない」と言われたときの親が知っておく方法論

とはいえ、子どもが勉強することに難色を示した場合、どうするのか?という疑問はあるでしょう。

注意したいのは、「ビッグワードで終わらせない」ということ。
「算数苦手」
「国語嫌い」
だと、全部同じような感じ方をしているように聞こえます。

でも、「計算は嫌いでも図形はパズルみたいで好き」かもしれません。角度は嫌いでも、面積は好きかもしれません。
少しずつかみくだいていくと、意外と好きだったりできる部分が見えてきます。

そういうところを突破口にして、「だったら計算もできるようになるよ」と励ましつつ、少しずつ取り組ませることです。

また、「何%やりたくないのか?」という質問をするのも有効です。
100%とは言わず、80%などと言ったらチャンスです。
「では、20%は何だったらいいのか?」
ときく。その20%に該当することをすることから始めるのも手です。

時間も同様。
「何分ならできる?」
と聞いて、「5分」と言ったら、5分だけ計ってやりましょう。
ただし、30分後にまた5分、さらに30分後にまた5分、・・・と5分を積み重ねていきます。
集中し出したら、5分以上あっという間にやることも少なくないはずです。
すると、
「5分って言ってたのに、20分も集中できたね。がんばったね」
とポジティブな声かけができるでしょう。

言われなくても勉強するとは?

我が家は、「勉強しろ」と言わないことを目標にして子育てをしてきて、未だに言っていません。

ですが、子どもたちが
「学習やだなー」
って言ってるときはあります。

そういうときにどうするかというと、
「確かにね、難しいしね。気合い入れて短時間でやっちゃえば?何か協力しようか?」
と言うくらいです。「やる、やらない」の議論はしません。
「やる」という選択肢しかないからです。
だけど、常に「どうやるか」については相談に乗るよ、という気持ちでいます。

すると、「そうだね。いいや、自分でやる」と言って、はじめます。手伝ってもらうと、その方が考えさせられるから、余計時間がかかるとわかっているのでしょう。

または、「じゃあ、やらなければ」と冷たく言うこともあります。その後、やっぱりやっています。
大切なのは、どんな言葉を使うかということではないんです。

歯磨きと同じくらい習慣になってしまえば、「やる、やらない」の議論にはなりません。「やるのはあたりまえ」だから。

その状態にもっていく。
親が「やるのはあたりまえ」と思うことからはじめるとよいです。幼児・低学年のうちから。高学年・中学生からではこれは難しいです。

やることやってからじゃないと遊べないしゲームもできない。それが体に染み込むほどわかれば、あたりまえになります。
もちろん量とレベルはよく考える必要があります。

その上で、早い段階で、「ちゃんとやったじゃん、えらかったね」というステージを卒業する。つまり、「勉強をやる、やらない」でほめられるのではなく、「やった内容」でほめます。

「ここ、こんなにできるようになったんだね」
「こんな問題できるなんて、頭使って考えられるようになったね」
と。

それだけでいい。
変にテクニカルなことはしなくても、「やるもんだ」と親に不退転の決意があれば、「やれ」とも「やらなくていい」とも言わずに、「子どもがする状態」をつくることはできます。

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