ロシア見るより北を見よ
北朝鮮がやかましい。
正直どうでもいい国ですし、朝鮮半島のことを話題にするほどこちとら暇じゃないのですが、最近のニュースを色々とつなげてみるとちょっと笑える事情が見えてきたので箸休めに記事にしてみます。
・御用始めの経済ニュース
もう記憶にない方が多いと思いますが、実は今年の1月4日に北朝鮮の工作員が日本企業を利用して本国に外貨をせっせと送金していたというニュースが流れました。
まぁ何を今更というようなニュースではありますが、その直後の1月5日に北朝鮮が久しぶりにミサイルを発射しました。
思えば北朝鮮はこの日から立て続けにミサイルを撃ち続けています。
この年始早々の騒動は令和3年10月以来、3か月ぶりのことらしく何故このタイミングでとメディアが騒いでいました。
しかし私は上の読売新聞のニュースを見ていたので一つの仮定を打ち立てていました。
それはこのニュースが出た段階で、既に岸田政権は北朝鮮の息のかかった企業の規制に乗り出していたのではないか、ということです。
ご存じの通り、北朝鮮は先軍政治を掲げており国民の生活の豊かさよりも軍事力の増強に国力を注ぐ体制のため、どれだけ国民が飢えようが知ったことではないという前時代的な人権侵害がまかり通ったトラブル国家です。
国力に見合わない軍事力を維持するため、ソ連と同じように自国で取れない軍事にかかる資材を外国から買うために外貨、特にアメリカドルや日本円を必要としています。
一応北朝鮮はウォンを自国の通貨として採用しているようですが、ぶっちゃけ国民はその通貨を信用していないため実際の経済活動では日本円やドルの方が喜ばれるそうです。
家族を人質にとってまで軍事力に資源を注いでいる国家ですから、今回の規制が本当に実施されたら死活問題です。
そこでお得意のチャーハン戦法、つまり「やるぞやるぞ詐欺」を繰り出して日本に恫喝を加えてきたというわけでしょう。
北朝鮮は公式ではコロナ対策をバッチリしており、感染者ゼロを謳ってますが、おそらく実態はコロナが蔓延していて供給が混乱しているほか、中国との国境を封鎖したりしたせいで一層国内経済が困窮しているのは想像に難くありません。
そこでお人好しの日本に工作員を送り込んでコロナ禍でも外貨を得ていたのでしょうが、岸田政権は容赦しなかったということでしょう。
つまり「規制やめろ~。やめなきゃミサイル打ち込むぞ~。」と駄々をこねているわけです。一方で余りにも日本人の感情を逆なですると民意に従って現政権が本当に厳しく規制をかける可能性があります。よって日本人を刺激しすぎないような行動をとるはずです。
北朝鮮にとって一番困るのは、日本人の自衛意識が高まり憲法改正の機運が高まり工作員の活動がしにくくなることですから。
1月5日の速報が出た段階で私は大胆な行動には出ないだろうと踏んでおり、おそらく北朝鮮の領海か最低でも日本のEEZ内にするだろうなと思っていましたし、実際にその通りの結果でした。
相変わらずあの国はいつも半端者です。
そしてその証拠とも取れるようなニュースが飛び込んできました。
噂レベルのものもありますが、一般的にパチンコ業には朝鮮系の経営者が紛れ込んでいて北朝鮮と関係が深いと思われています。
裏を取ったわけでもないですし、たぶん一個人の力では取りようがないですがこの説を信じてよければ早速効果が現れた、ということになります。
岸田さんは温和な顔してなかなかヤリ手です。
・え?そっちが攻撃受けてるの?
1月11日にミサイル発射した後も3日に一度のペースで発射し続けており、正直食傷気味ですがここで面白いニュースを見つけました。
なんといつもサイバー攻撃を仕掛け、ビットコインなどを奪おうとしている北朝鮮自身がサイバー攻撃を受け長時間通信障害に陥ったらしいというものです。
そして関連記事には、遡ること1月14日にも通信障害が発生していたらしいのです。
さて多くのマスコミは何故こんなことが?みたいな書き方をしていますがこの疑問を解決するカギがすぐ近くに存在します。
それは、今ウクライナで揉めているロシアです。
え?ウクライナは遠いヨーロッパで北朝鮮は極東アジアなんだから別の次元の話じゃん?って多くの方は考えるのではないでしょうか。
ロシアとウクライナの関係については私が記事を書いていますので興味のある方はそちらをご覧ください。
ウクライナ危機に関する様々な軍事考察の中で、ロシアはウクライナを三方から囲んでいるという観測がなされました。
地図で見てみると分かりますが、ウクライナを中心にすると東はロシア、南はロシアに奪われたクリミア半島、そして北はロシアと仲良しのベラルーシにそれぞれロシア軍が配備されていると想定すると確かにウクライナの置かれている状況は絶望的です。
しかしこのことは実はロシア自身にも適用されるのです。
下の地図を見てください。
どうでしょう。このように俯瞰してみればロシアも3方を囲まれています。北極圏に軍隊が存在するわけではありませんが、冬場の北極圏には厚い氷が張り当然に補給も碌にできないことから実質的に退路が塞がれています。
現在公表されているロシアの陸上兵力は33万人と推定されています。ちなみに陸上自衛隊の兵力は16万人とされています。
(下の資料は自衛隊が公表しているロシアの資料です)
https://www.mod.go.jp/j/approach/surround/pdf/rus_d-act.pdf
もしあるニュースでの情報のように17万人をウクライナ国境に集結させているとなると、陸上戦力の半分をロシアの西側の狭い地域に配置していることになります。そうすると広大なロシアの領土の防衛が手薄になります。
特にロシアにとって日米同盟の存在は脅威です。世界1位と3位の経済大国がタッグを組んで極東に陣取っているわけです。
何が何でも2正面作戦だけは避けなければなりません。つまり間違っても極東情勢を荒立ててはいけないのです。
しかしそこで空気を読まずに極東に向けてミサイルをバカスカ撃っているバカがいるわけです。それが北朝鮮というわけです。
もとは同じ共産主義の申し子。中国にとっての弟、ソ連にとっては息子のような存在だったかもしれませんがとんだドラ息子です。
もし北朝鮮をサイバー攻撃した存在がロシアだとしたらこの一連の流れに合点がいきます。
つまり北朝鮮に「極東で余計なことするな。」とお灸を据えたと考えることができるわけです。
時系列で今月の北朝鮮関連ニュースをまとめてみるともっとわかりやすくなります。
1月4日 読売ニュースで日本企業を使った外貨取得手段が報じられる
1月5日 今年最初のミサイル発射(予想通りEEZ外に着弾)
1月9日 1月末までにパチンコ店続々廃業か、の報道
1月11日 2回目のミサイル発射
1月14日 3回目のミサイル発射
同日 北にて通信障害発生か(サイバー攻撃の可能性あり)
1月17日 4回目のミサイル発射
1月26日 6時間にも及ぶ大規模なサイバー攻撃を受けたか
1月27日 5回目のミサイル発射
同日 北にて通信障害発生か
あくまでニュースを受けての情報なので時間までは分からないのが悔しいところですが、いずれにしてもミサイル発射に合わせて通信障害が北で発生するのは偶然ではないでしょう。
まさかこの緊迫した時勢に(想像かもしれませんが)コメディが繰り広げられているとは思わなんだ。
ここまでくると北朝鮮のミサイル発射は「通信回復」を確認するためにやっている可能性すら出てきましたからね。
正直「遺憾砲」ですら言うのがメンドクサイくらいのしょっぱさです。
皆さん、岸田政権にあまり強く批判を言わないでくださいね。北朝鮮に関しては、おそらくは私が述べたようなしょうもない状態なわけですから。我が国の政府にはもっとやってもらうことがたくさんあります。
・笑い話で終わらせたいが・・・
ここで筆を止めれば、「あぁ北朝鮮面白かった」で終わっちゃうのですが一方で懸念も生じます。
北朝鮮にお灸を据えてまで極東情勢に敏感になっている、ということは今回のウクライナ危機が現実のものになる可能性がやっぱり高いということです。
先ほどの話で、私はあえて中国の動きについて言及しませんでした。
というのも、ご存じのとおり中国では2月4日から(一部の競技は2月2日から)北京にて冬季オリンピックが開催されます。
様々な批判があるなかIOCを抱き込んでの強硬開催ですので失敗は許されません。中国という国は面子だけは一人前ですから。
中国とロシアの関係は良好のように見えますが、歴史的に見ると小競り合いがずっと続いていました。
清国とは黒竜江(別名:アムール川)を巡って紛争を起こし、現在の中国になっても珍宝島(別名:ダマンスキー島)を巡って紛争を起こし、その前には中ソ論争も起きていました。
つまりロシアは中国に心は許しておらず、オリンピックの成功に中国が執心している時期でなければ「事」を起こせないと考えることができます。この期間であれば「極東にだけ」気を付けていればウクライナに意識を注ぐことができるからです。
とはいえ、さすがのプーチンも北京オリンピック中に騒動を起こせば習近平の面を汚すことになり、後日何らかの報復を受ける可能性があります。言うても今の中国とロシアとでは経済力に雲泥の差があります。
ここから推察するに、もしウクライナ侵攻を成功させるならば「オリンピックが始まる前」に「なるべく短期間」で成功させ、オリンピック中は「オリンピック停戦」を演出する、という流れが現実的です。
わずか1日足らずでウクライナに侵攻し、首都キエフに迫った状態でオリンピック開催を理由に「停戦」を持ち掛ければ、IOC的には「美談」になってくれますし中国にとってはギリギリ面子を保ったことになります。
そしてオリンピック期間中に停戦協定をウクライナと結び、オリンピックが終わって中国が軍事行動可能な時期になる前に速やかにロシア本土に撤兵して中国国境に兵を再び備えれば十分に間に合います。
そしてオメオメとロシアの侵攻を許したゼレンスキー大統領を糾弾する声がウクライナ中に広まり、親ロシア派の議員や国民によるデモ、批判に晒され退陣を余儀なくされ、ひいては選挙という「民主的な」手続きを経てロシア寄りの大統領が誕生し、近々国民投票を経てロシアに併合される。
・・・こんなシナリオだって十分に描けます。私みたいな素人が考えつくことですからKGB出身のプーチンならお手の物でしょう。
・日本に打つ手はあるか
悲観的なシナリオを描けばウクライナが助かる術はありません。
しかし逆に言えば極東情勢が荒立てばロシアにとっては痛手になります。日米は世界の秩序を守るために何か手を打つのでしょうか。
とはいっても日本単独では何もできないでしょう。現在の憲法では自衛隊は独自に動くことができません。
折りしも1月24日から衆議院予算委員会が始まってしまいました。国会の審議中に有事対応ができるほど我が国の政治体制は強くはありません。
極東情勢の命運を握るのはアメリカです。
特にアメリカ大統領は議会から独立していますので、議会が紛糾していても大統領独自の判断で有事の対応ができます。
トランプ大統領であれば、もともと議会を軽視していた人ですので有事対応を優先したことでしょう。
しかしあのバイデン大統領にそこまでの気概はあるのでしょうか。
ウクライナ方面のNATOにおいても極東情勢においてもキーマンはアメリカなのに具体的な動きがさっぱり分かりません。
一応前向きな動きは見られます。
このニュースではアメリカが原子力潜水艦をグアムから極東に展開する可能性が示唆されています。
中国が相手となっているような報道ですが、私の見立てではアメリカ軍の本命はロシアだと考えています。
もし日本が明治政府のようにしっかりとした軍隊を保有していたとしても果たしてウクライナ情勢に対し安易に手を出していいかは悩むところです。
ヨーロッパ情勢については静観を決め込み、その後粛々とロシアやロシア政府の要人に対して経済制裁をしていき、貿易関係も弱くしていくことでロシア経済をひっ迫させ、プーチンの失脚を狙うことも視野に入れているでしょう。
しかしそんなやり方で北方領土問題を解決できるものでしょうか。
この機会に北海道に米軍基地を作るくらいの発破をかけないと我が国の領土は守れないかもしれません。
北朝鮮を通してロシア動静を観察してみましたが、果たして2月の世界は平和なままなのでしょうか。
少し不安な週末を過ごすことになりそうです。
令和4年1月28日
坂竹央
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