「ゴッドファーザー」シリーズ
昨日、ふとAmazonプライムのトップページを見てたら「ゴッドファーザー」シリーズが無料で公開されていました。(以前は有料でした)
あまりにも好きすぎる映画なので「ちょっと見てみるかな…」でハマってしまったのは言うまでもありません。(長かったけどね〜)
私にとってゴッドファーザーは、まさに「これこそが映画!!」と言える名画中の名画です。
特にPart1とPart2は長い映画の歴史の中でも最高峰の2作品だと思っていて、リバイバル上映の映画館を含め、ビデオでもDVDでも飽きるほど見てますけど、それでも見直す度に感動します。
ちなみに映画は総合芸術とも言われますが、たしかに様々な項目がバランス良く高レベルでないと名画にはなりません。
その項目というのは、人によってあれこれあるでしょうけど、私が思うのは以下のようなものです。
監督が良いこと(演出力、撮影&編集におけるクリエイティビティ)
俳優が良いこと(演技力、容姿を含む個人的な魅力)
脚本が良いこと(ストーリーの秀逸さ、斬新さ)
撮影が良いこと(光の演出、ショットのクリエイティビティ)
美術が良いこと(背景、衣装、小道具、※CG)
音楽が良いこと(テーマ曲、挿入曲)
さらに言えば、その作品が公開された時代とのマッチングや宣伝戦略が優れていると、なお良いと思います。
翻って「ゴッドファーザーはどうか?」といえば、もう全ての項目で満点です。
若き天才監督フランシス・フォード・コッポラの演出は言うまでもなく、俳優を見ても、主要キャストのマーロン・ブランド、アル・パチーノ、ロバート・デニーロの3人は当然として、それ以外のロバート・デュバル、スティーブ・カーン、タリア・シャイア、ダイアン・キートン…みんな魅力たっぷり。
原作者でもあるマリオ・プーゾとコッポラが共同で書いた脚本もまさに珠玉。
そして撮影に関しては賞賛しかありません。
これは一般の方にはあまり響かないかもしれませんが、映像制作を生業とする私にとって、この映画の魅力の少なくとも3分の1は撮影監督を務めた巨匠ゴードン・ウィリスによる撮影&画作りにあると思っています。
全てのカットが放つ、オランダのバロック絵画かと思うほどの格調高さと美しさ。
ゴールデンアンバーと称される黄金色の光の中で、きらびやかな陽光と漆黒の闇、愛と憎しみ、緩と急、心やすらぐ平穏なシーンと目を背けたくなるほどの残酷なヴァイオレンスシーンを見事に捉えきった、もしくは創造したゴードン・ウィリスの力無くしてはこの作品は成り立ちません。
当時としては常識外れなミニマム・ライティングと豊かな黒。
あの映像に影響を受けた映画制作者は数知れず。
シリーズ3作全ての撮影監督を務めたゴードン・ウィリスが一般の映画ファンにも、もっと知られてもいいのに…と思いますね。
おっと、個人的な感慨で「撮影」が長くなってしまいました。
衣装を含む美術もアカデミー賞を取ったことからもわかる通り、素晴らしい。
特にPart2の20世紀初頭の描写などうっとりしますね。
さらに絶対に忘れてはいけないのが、ニーノ・ロータの音楽。
あの「愛のテーマ」が流れてくるだけで、むやみやたらと感動して泣けてくるのは私だけでしょうか?
映画文化の金字塔ともいえるゴッドファーザー。
公開以来50年。これを真似た作品は多くとも、越えられた作品はいまだに現われていません。
本質的にはヴァイオレンス&マフィア映画ではなく、家族愛の映画であるという部分を誤解されている面もあるのでしょうね。
自分を殺し、非常に徹し、愛する者を守ろうとすればするほど愛する者が離れていくマイケルの悲劇。
本当に胸が締め付けられます。
本来、私はワクワクドキドキの冒険活劇が好きなので、重くて暗い悲劇は見るのを敬遠するのですけど、ゴッドファーザーに関しては、あまりにも見事に描ききってあるため、ついつい見てしまうのですよね。
心から偉大な作品だと思います。
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