「ママ、トゥーリ、つくって」から始まる連想ゲーム!成功への道のり〜岸田ひろ実のコーチングな日々〜
伝えたいことって、本当にちゃんと伝わっているのかな?
こんなことをふと考えてしまったのは、良太にお願い事をされたからでした。
「ママ、トゥーリ、つくって」
何かを作ってと頼まれているんだけれど、「トゥーリ」が何なのか、全くわかりません。
「トゥーリってなに?」
良太に聞いてみると、「もー!トゥーリやん、トゥー、リ」当たり前のように答えます。
言葉をうまく話せない良太との会話では、こういうことは日常茶飯事。すぐには理解できないことがしょっちゅうです。
そういう時には、良太が今何を言おうとしているのか、私の頭の中に保存している良太にまつわるエトセトラを思い出します。
最近、良太と話したことや、作業所との連絡帳に書いてあった出来事、夢中になっているゲームや、見ている映画などを思い出して、そこにヒントを探します。
とりあえず「つくって」なので、これはご飯系かなと思い、トゥーリに似たような音の食べ物を探しました。
きゅうり?鶏?カレー?
ちょっと発展させて、良太の好きそうな食べ物の、唐揚げ?チャーハン?焼肉?
「ちーがーうー、トゥーリ」
全てハズレ。全く正解がわかりません。伝わらなくて悔しそうな良太に申し訳なくなっていると、こんなヒントをくれました↓
出かける時にお茶を入れる水筒を持ってきてのこの表情(笑)
わかった!!!お茶のことね!!!
「お茶を作ってほしいんやね!」と言うと、「うん!」やっと通じて嬉しそうな良太。
良太は緑茶が大好きなんです。答えは緑茶だ!
早速、よく作って持たせる美味しい水出し緑茶を作ってわたしました。これで喜んでくれるはず。
なのにまたもや良太は「ちがう!トゥーリやん、トゥーリ!」とご機嫌ななめ。
「えー!なんで?緑茶つくったのに。美味しいよ」と、優しく説明も加えて渡しましたが、納得していません。少し怒りはじめてしまいました。
私は何を間違えているんだろう?
再び私の頭はフル回転。
緑茶じゃなければどんな飲み物?緑茶以外に良太が好きなお茶は……麦茶?ほうじ茶?
そうだ!!!もしかしたらルイボスティー???
そういえば、私が好きでいつも飲んでいるルイボスティーを、最近、たまたま良太が飲むことになる機会がありました。
何この味?って不思議な顔をしていたので、まさか好きだとは思わず、「トゥーリ」が「ルイボスティー」だとは思いもしませんでした 。
「もしかして、ルイボスティー?」と聞くと、めちゃくちゃ嬉しそうに、「うん、トゥーリ」と満面の笑みで返事が返ってきました。
やっと通じたという良太の嬉しそうなその表情を見たその時、私も同じくらいの表情で嬉しくなっていました。
自分の思いが伝わらないって、とても歯痒く、悔しいことです。良太は他の人よりもそれを多く感じているのです。
だからこそ、良太の口から出る言葉が何を意味するのか、何を伝えたいのかを、過去や今の出来事や、取り巻く環境を思い出しながら、あれやこれやと想像して考えることにしています。
話が通じ合わないときは、なぜそうなるのか、その理由を一生懸命に考えます。
時間はかかってしまうかも知れませんが、聞こえる言葉だけを信じてしまうのではなく、決めつけて都合のいい解釈をしてしまうのではなく、その先を考えてみることが大事なんだと、改めて気づかされました。
良太が飲みたかったお茶は緑茶だと、なんとなくの思い込みで決めつけて、わかったように押しつけてしまうのではなく。
もしかしたら他の何かなのかも知れないと、想像することが大切なのです。
トゥーリの意味を知ることを諦めて、緑茶でいいよね!と言い切って押しつけてしまったとしても良太はきっと、仕方ないなと飲んでくれるのはわかっています。
諦めずに、良太にトゥーリがなんなのかを聞きながら一緒に考えることで生まれる信頼が、何かあった時にはママに話してみようという気持ちに繋がればいいな。
いつも上手くいくとは限らないけれど、その言葉に込められた意味を、理由を、もう1つの視点で想像さえしていれば、上手くいかないことを減らすことはできます。
これは言葉を話すことか苦手な良太にだけではなく、他の誰かと話す時にも気にしておきたいとだと思っています。
思っているよりも、自分の思いを込めた言葉は相手に伝わっていないことがあるかもしれません。
思っているよりも、相手の言葉の意味を理解できていないことがあるかもしれません。
そう思っておくくらいがちょうどいいように思います。
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