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意味が分かると怖い話 part③

○非リアの逆襲           ★☆☆
 僕の周りには熱愛中のカップルが居る。何処でも常にイチャイチャしている。僕は彼らをもっとアツアツにしてあげた。
 僕の目の前にある、炎が出ているドラム缶でね。


(解説)
その名の通り「アツアツ」にした。


○優しい隣人            ★★☆
 おんぼろアパートの二階の部屋に住んでいた俺は、隣に住む女の人が好きだった。彼女は俺が大学へ急がないといけない時などに、代わりにゴミ出しておきましょうかなどと気遣ってくれ、かなりの美人でもあった。
 しかし、最近あまり見ない。それどころか生ゴミのような臭いまでしてくる。
 まぁ、疲れているんだろうなぁと思って大学へ行き、アパートに帰ってくると人だかりが出来ていた。
 俺は近くの男の人に尋ねた。
「何かあったんですか?」
「いや、なにか変わった清掃業者が来ているらしいんだ」
男の人は俺の隣の部屋を指差した。
 俺は泣いた。


(解説)
生ゴミのような臭いとは死体の腐臭のこと。変わった清掃業者とは「特殊清掃」の事を指している。女の人は孤独死していた。



○唄                ★★★
 俺には妹が居る。俺によく懐いていたが、人前でもくっついてくるので段々と邪険にするようになった。
 俺はある日、妹を道路へ突き飛ばしてしまい車に轢かれて重傷を負わせてしまった。俺は悔やんだ。両親にはしばらく口を聞いてもらえなかった。
 そして病院へお見舞いに行った。顔には包帯がグルグル巻きにしてあった。
 妹は何故か俺にこれまでと同じように、優しく接してきた。学校のことや遊びのことなど。
そして何やら唄を口ずさんでいた。

 果てしない後悔の念を持って〜優しくしてくれないと思って〜苦しい思いをして〜暗くなってる〜絶えず泣いて〜馬鹿なんだと自信を責めてる〜連鎖しても良くはならないから〜

 変わった唄だなと言ったら、妹は入院してる同年代の子から教えてもらったと言った。その子は親に重傷を負わされたという。保険金目当てに階段から突き落とされたという。親は既に捕まったらしい。
 妹はにっこりと笑って言った。
「恨んでも良くならないでしょ?」
俺は言った。
「嘘をつくなよ。お前は俺を恨んでるだろ?」
「いや、そんな事ないよ」
そんなこんなで帰路についた。
 妹は退院してからも、その唄を口ずさんでいた。友達を忘れたくないから、と言っていたが俺はやはり妹は嘘をついていると思った。




(解説)
妹の唄の〜で区切られた文の最初の音をそれぞれ繋げて読んでいくと「早くくたばれ」になる。妹はやはり兄を恨んでいた。



○宗教勧誘             ★☆☆
 俺は仲間とキャンプへ行く為、駅前で大学のサークルのメンバーと合流したのだが、家へ忘れ物して来た事に気づいた。
 焦っていると、近くにいた老人が何やら本を渡して来た。『復活の方法』。怪しげな宗教団体の本だった。俺はこういう時にこれは良いな、と思って、老人に感謝して受け取ってキャンプへ向かった。
 数日後、またあの駅前で老人が宗教の勧誘をしまくっているのを見た。老人は俺に気づいて、あの本は素晴らしかったでしょう?と尋ねてきた。
 俺は満面の笑みで言った。
「あぁ、あの本ですね。よく燃えましたよ。ありがとうございます」



(解説)
着火剤に使ったということ。 

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