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設備業界・50代未経験でも引っ張りだこな国家資格

私の会社(設備業界)には、50代半ばにして中途入社されたAさんがいらっしゃいます。

Aさんは大手企業に30年以上勤務されていましたが、大手ならではの厳しい環境と、お子さんが手を離れる年齢になったきっかけもあり、未経験ながら設備業界への転職を決意し、晴れて入社が決まりました。

私とAさんは所属部署は違うのですが、先日たまたま業務をご一緒する機会があり、雑談の中でAさんのお話をいろいろとお聞きすることができましたので、個人が特定されない範囲内でお話したいと思います。

Aさんは前職の退職を決意された後、転職活動を行うこととなりましたが、やはり50代半ばという年齢もあり、「大手企業に30年在籍」という肩書も有利に働くわけではなく、多くの不採用通知を手にする結果となりました。

むしろ転職面接では、「これほどの有名企業に勤められて、定年もあと数年ということであれば、退職されない方が良いのではないですか?」と言われることもあり、厳しい現実を思い知ったと語っていました。

しかしAさんは、設備業界では大きな武器となる国家資格を2つ、保有していました。それが、


  ① 第三種電気主任技術者
  ② エネルギー管理士


でした。ご存じのない方もいらっしゃるかもしれませんが、設備、特に電気設備を扱う業界にとって、この2つの資格は取得難易度が高く、資格保有者が少ないという状況もあり、非常に価値のある国家資格と言えます。

具体的には、①の第三種電気主任技術者は、特に大規模施設に使用されている、高電圧の電気設備について保安・監督を行うため、施設ごとに必ず有資格者を選任しなければならず、これらの電気設備の維持・管理も、有資格者の監督下でなければ行うことができません。いわば電気設備のスペシャリストであることの証明とも言うべき資格です。

②のエネルギー管理士は、電気はもちろん、ガス等のエネルギー関連施設で、一定以上のエネルギーをを製造・管理する場合に選任が必要となる資格で、こちらは使用者に供給される前のエネルギーを製造・貯蔵施設の段階で、有資格者が監督を行う必要があります。電気設備のみならず、エネルギー全般のスペシャリストというべき資格です。

たらればではありますが、もしAさんがあと5年早く転職活動をしていれば、①や②の資格保有者というだけで、経験に関係なく採用通知を出す企業は多いのではないかと感じました。

そんな、非常に価値の高い資格を2つも(実際、Aさんはこれ以外にも多くの資格を保有しています)保有し、設備業界では無敵にも感じるAさんではありましたが、それでも年齢的に転職には非常に苦労され、前職が大手企業ということもあり、転職後の年収もある程度妥協しなければならないという、厳しい現実を痛感したと話してくれました。

そんなAさんですが、さらに好条件・好待遇で転職するとしたら、下記2点の国家資格はより効力を発揮すると、転職活動の中で強く感じたそうです。

その国家資格とは……


  ① 第二種電気主任技術者(もしくは第一種電気主任技術者)
  ② 施工管理技士
   (建築・土木・電気工事・電気通信工事・管工事・建設機械・造園の
    7種類があり、それぞれにさらに1級と2級がある)


とのことでした。

①の第二種、及び第一種電気主任技術者は、名前を見てもわかる通り、先述の第三種電気主任技術者の上位資格であり、第三種でさえ高難易度の資格ですので、第二種、第一種ともなれば、有資格者がほとんどおらず、資格を持っているだけで希少価値の存在であると言えます。その資格保有者の少なさに対し、発電所をはじめ有資格者を必要とする施設は非常に多く、年齢や経験の有無よりもとにかく資格保有者を採用したい、という企業は非常に多いというのが現状です。

実際、Aさんが前職で一緒に働いていた方で、第二種電気主任技術者として現場で活躍をされていた上司がいたようですが、決して若い年齢ではなかったにも関わらず、資格を武器に好待遇での転職を何度も成功させてきた経験があり、Aさん自身も、もし自分も取得できていたら、もっと楽に転職活動を終わらせることができました、と語っています。

もう一つ、②の施工管理技士は、分野によって細分化されており、2級と、その上位資格である1級が設定されている資格ですが、実際Aさんは「1級土木施工管理技士」を保有しています。この施工管理技士は、電気主任技術者と比べると、資格自体の難易度はそこまで高くありません(ただし、実際に施工管理の実務に関わっていないと回答できない問題もあり、試験自体が簡単というわけではありません)が、資格保有者はそこまで少なくもなく、どちらかというと、働き手が確保できないというのが現状のようです。

施工管理の業務内容は、現場監督や現場代理人といった、建設や土木、電気工事の現場を取りまとめる立場となりますが、業務が多岐に渡りハードな現場も多いため、慢性的な人手不足が課題となっています。そのため、資格を保有しさらに実務経験もあるに越したことはありませんが、有資格者というだけでも歓迎され、企業によっては年収1,000万円越えの報酬を提示する場合もあると、Aさんが教えてくれました。

いずれの資格も、取得には相当の努力と、資格を活かして実際の現場に携わるにもある程度の覚悟が必要、さらに、「エネルギー管理士」と「施工管理技士」に関しては、いずれも免状取得に一定の実務経験が必要(「電気主任技術者」に関しては、第三種・第二種・第一種いずれも実務経験は不要)というのが現実ではありますが、50代未経験の転職も夢ではない、というのはなかなか魅力的ではないでしょうか。

私自身、現在「第三種電気主任技術者」と「1級電気工事施工管理技士」の取得を目指しており、現在電気工事の現場代理人の仕事を、補助として経験させていただいています。試験勉強は確かに大変で、取得できるまで時間もかかりますし、施工管理業務も決して楽な仕事ではない、というのが正直なところですが、その分、勉強になること、自分の成長に繋がることは非常に多く感じます。

Aさんが良い見本ですが、何事も、実際に行動して、挑戦して、やってみなければ、成功も失敗も、もちろん成長もありません。私自身、「失敗したらまた別の道を探せばいいかな~」ぐらいの軽い感覚でいますし(笑)それはAさんも共感してくれました。

資格で人生一発逆転、は決して夢ではない話です。それを掴むも逃すも、やってみてから決めるも、自分自身で自由に決めればいいことです。今回私はAさんのお話をいろいろと聞くことができて、人生についても考え直す良い機会をいただいた気がします。改めて、この場を借りてAさんにお礼を申し上げます。本当にありがとうございます!

皆さんのこれからの人生も、後悔なく明るいものであることを、心からお祈りいたします。

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