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【税務】法人税の理解の要

 法人税というのは知れば知るほどわかりづらい
ですが、幹となるところを押さえれば大きく誤ることはないでしょう。

 まず法人税とは何かというのを一言で言います。

 いわば所得税の法人バージョンです。

 条文上も、所得の金額に税率を乗じて計算した金額であると定められています(法人税法21条・66条1項)。

 なので所得税と同じです。

 そして所得税とは異なる概念を用いているのですが、これがわかりづらくさせている所以です。

 それは、所得の金額とは何かということを定めた条文があります。

 それは、益金の額から損金の額を控除した金額とする、と定めています(22条1項)。

 そして、益金の額に参入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、収益の額とすると定められ、損金に参入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、原価、費用又は損失の額と定められています。

 さらにこれらの額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとすると定められています(同条4項)。

 こういった基本構造があることを前提に、法人税法では多くの別段の定めを定めているということになっており、この別段の定めが法人税の具体的内容の中心であるということです。

 これがわかりづらい部分です。

 これに対して所得税法における事業所得については、総収入金額から必要経費を控除した金額とすると定められています(所得税法27条2項)。

 文言としては比較的わかりやすいですね。

 もちろん所得税法においても総収入金額または必要経費に当たるか否かという争いはありうるところです。 

 しかし、法人税法とは異なり、総収入金額または必要経費という文言以外の概念を用いてはいません。

 法人税法では収益の額または原価・費用・損失の額という文言を、益金または損金という文言に置き換えて、益金に算入するのかしないのか、損金に算入するのかしないのか、ということを定めているのです。

 会計処理の基準によって決めた取り扱いを、益金に算入したり、損金に算入しなかったりなどの税務調整というものを行うわけです。

 これが理解の要です。

 会計処理の基準だけわかっていても理解したことにならず、かといって会計処理の基準がわかっていないと理解できないのが法人税法です。

 今回はここまでとします。読んでいただきありがとうございました。

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