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【税務】弁護士報酬を源泉して受け取っていない弁護士がいるのはなぜかとの質問がありました。

 最近、税理士の先生から質問を受けました。

 弁護士法人ではない個人事業の弁護士事務所において、弁護士報酬を依頼先の企業から受け取った時に領収書を作成して依頼先の企業がこれをもらい、依頼先の企業がその税理士の先生の関与先ということで弁護士による領収書を見ることがありますが、それをみても源泉して弁護士報酬を受け取っていないのですが、なぜなんですか?

 源泉というとサラリーマンが給料を勤務先からもらうときに税金が引かれることをよく耳にするというか体験していると思います。

 これが一番有名でしょう。

 ただ、これだけではないんです。

 源泉されるケースは他にもたくさんあるんです。

 そのうちの一つが弁護士報酬でしょう。

 後記の所得税法の規定の通り、支払う方は源泉して源泉分を納付しなければならないんです。

 弁護士報酬をもらう弁護士の義務ではないです。

 ただ、知らんふりしてもらっても後で支払ってくれた側が税務署から指摘されるなど迷惑を受ける恐れがありますので、源泉した残りを請求するのが親切ですよね。

 これをなぜ弁護士はしていないんですか、という税理士さんからの質問でした。

 その疑問はごもっともです。

 弁護士が源泉していない理由、それは何でしょうか。

 これ、大した理由はありません。

 知らないからです。

 所得税法を弁護士は知らないからです。

 そのため源泉も知りません。

 知っていて源泉していないのではありません。

 知らないのです。

 所得税法?源泉?それは税理士さんに相談してくださいという感覚です。

 もちろん中には知っていて源泉して請求している弁護士さんもいるでしょう。

 ただ、源泉していないということは知らないからです。

 個人の依頼者から弁護士報酬をもらう場合は源泉しないで良いのですが、個人でも事業していて誰かに給料を支払っていたり依頼者が法人だったりする場合は源泉することになっています。

 質問してきた税理士さんは、驚いていました。弁護士は知らないんだと。

 弁護士は知らなくても本投稿をご覧いただいた方は知っておいていただければと思います。

 読んでいただきありがとうございました。

第四章 報酬、料金等に係る源泉徴収
第一節 報酬、料金、契約金又は賞金に係る源泉徴収
(源泉徴収義務)
第二百四条 居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。
一 省略
二 弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金
2 前項の規定は、次に掲げるものについては、適用しない。
一 省略
二 前項第一号から第五号まで並びに第七号及び第八号に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金のうち、第百八十三条第一項(給与所得に係る源泉徴収義務)の規定により給与等につき所得税を徴収して納付すべき個人以外の個人から支払われるもの

所得税法


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