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【経営】外からは分かりづらい弁護士と税理士の事務所運営の内情

 弁護士業務は税理士業務とは異なり、必ず弁護士が対応しなければならないことがあります。

 それは法廷に立つことです。

 法廷において傍聴席ではなく柵の内側に入って代理人として活動できるのは弁護士に限られます。事務職員はできません。

 弁護士のお客さんはどうでしょうか。お客さんは弁護士を信頼しているのであって事務職員を信頼して依頼しているものではありません。やりとりも当然弁護士と行います。

 税理士はどうでしょうか。

 メインとなる業務は申告でしょうけれど、申告の名義は当然税理士ですが、税理士名義の書面を作成することは税理士ではなくてもできます。事務職員が申告しているのが実態です。

 申告にあたっての会計処理のチェックなども税理士でなくても事務職員でもできます。

 お客さんはどうでしょうか。税理士を信頼しているという人ももちろんいるでしょう。しかし、税理士ではなく事務職員を信頼して依頼している場合があるのが実態です。

 その場合、担当となっている事務職員を税理士と勘違いしている場合があります。税理士という有資格者かどうかの区別がついていないのです。

 お客さんの側も資格ありますかということは思ったとしても失礼なので言えないでしょう。

 ある税理士は、資格を取る前と取った後で業務の内容は異ならないという人もいました。このような感覚は弁護士ではあり得ません。

 こうした弁護士と税理士の違いは、代表者が亡くなった場合などでもその後の動向が異なります。

 弁護士が亡くなった場合、事務所として存続することはないでしょう。依頼していたお客さんは別の弁護士を探して依頼することになると思います。

 税理士が亡くなった場合、事務所として存続することは弁護士と同様にないと思うのが通常と思います。しかし、前述したようにお客さんは税理士ではなく担当者を信頼して依頼しています。その担当者は亡くなっていません。会計、申告の業務は従前の通り行うことが可能です。

 この場合、事務所を存続させるために、代表者となる税理士をその事務所に入れることで、お客さんを維持し、事務所を維持するのです。

 税理士自身にお客さんがいない場合、税理士側としてもこうした事務所に入る動機はあるのです。

 税理士法人の場合には、社員たる税理士が2人以上でなければならず、1人になってしまった場合、解散することになります(税理士法48条の18第2項)。

 解散を防ぐため、もう一人の税理士を確保して、税理士法人を維持するということもあります。

 弁護士法人の場合には上記の定めがなく、社員たる弁護士の欠亡が解散事由となっているだけですので(弁護士法30条の23第1項7号)、1人であっても弁護士法人を維持できます。

 税理士登録してから、各種の広報の資料で「ニセ税理士」に注意、という表記を見かけますが、資格がないのに税理士として振る舞っているという人がいるということが横行しているのだと思います。

 納税者の側も、もちろん会計税務という自分にとってはとても面倒なことだからそれをやってもらうだけでありがたいという面があるのでしょうけれど、果たしてそれで今のままで本当に良いのかどうかということは考えた方が良いように思います。
 
 

  



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